◆トランプ氏の関心を引く戦略
その一方で北朝鮮が今月に入ってミサイルカードを取り出したのは、トランプ2期目と無関係でない。米国で新政権が発足するたびに核・ミサイルカードで関心を誘導してきた北朝鮮の動きは今回も例外でないという点でだ。金委員長はトランプ氏と3回会い、ブロマンスを誇示した。トランプ氏は選挙中、何度も「金正恩と仲がよい」と強調した。もちろん北朝鮮が最近発射するミサイルは開発過程における技術レベルの点検かもしれない。しかし「親しい」トランプ氏の就任を控え、軍事的緊張を通した関心誘導戦略、すなわち一種の「我々を見ろ」または「様子見」戦略が繰り返されているのだ。
北朝鮮はジョージ・W・ブッシュ元大統領が2期目に入って1カ月後の2005年2月に核兵器保有を電撃宣言した。続いて翌年7月と10月にはそれぞれ長距離ミサイル発射と最初の核実験を強行した。米国本土を核で攻撃することが可能という極限のカードはその後も続いた。オバマ政権に入った2009年には長距離ロケット「銀河2号」発射と2回目の核実験を、2013年には3回目の核実験をした。トランプ政権が始まった2017年は「火星12」型中距離弾道ミサイルがカードだった。2021年のバイデン政権発足直前には平安北道亀城(クソン)から巡航ミサイル2発を撃ち、第8回党大会を開いて国防発展5カ年計画を確定した。
北朝鮮が全員会議で最強硬対米政策を確定し、米国のリーダーシップ交代の前後に軍事的緊張を高める行動をするという点から、こうした対立はしばらく続く可能性が高い。22日に予定された最高人民会議で南北の境界線を確定するなど南北関係、朝米関係の緊張を高める政策を見せることも考えられる。ロシアを後ろ盾にした一種の瀬戸際戦術だ。しかしトランプ氏がロシアのプーチン大統領と対話を推進しながら北朝鮮問題の再解決を図る可能性もあり、ウクライナ戦争が終わったりロシアが対北朝鮮制裁にまた参加することになったりすれば、朝ロ関係が調整される可能性も排除できない。朝米関係の改善なしに北朝鮮の発展は不可能という事実を誰より金委員長がよく知っている。北朝鮮は状況に合わせて中国、ロシアに交互に手を伸ばして過渡期を乗り越えてきた。現在の北朝鮮の「節制された」挑発は2019年の「ハノイノーディール」の仕返しという分析がある。しかし内心は、たとえトランプ2期目序盤は武力誇示で緊張を高めるとしても、時間が経過すれば米国との対話・協議に入ろうというものではないだろうか。北朝鮮はすでに「前戦後通」戦略を実行中かもしれない。
チョン・ヨンス/統一文化研究所長/論説委員
【コラム】トランプ2期目を控えた金正恩の3無、「前戦後通」戦略を準備したのか(1)
その一方で北朝鮮が今月に入ってミサイルカードを取り出したのは、トランプ2期目と無関係でない。米国で新政権が発足するたびに核・ミサイルカードで関心を誘導してきた北朝鮮の動きは今回も例外でないという点でだ。金委員長はトランプ氏と3回会い、ブロマンスを誇示した。トランプ氏は選挙中、何度も「金正恩と仲がよい」と強調した。もちろん北朝鮮が最近発射するミサイルは開発過程における技術レベルの点検かもしれない。しかし「親しい」トランプ氏の就任を控え、軍事的緊張を通した関心誘導戦略、すなわち一種の「我々を見ろ」または「様子見」戦略が繰り返されているのだ。
北朝鮮はジョージ・W・ブッシュ元大統領が2期目に入って1カ月後の2005年2月に核兵器保有を電撃宣言した。続いて翌年7月と10月にはそれぞれ長距離ミサイル発射と最初の核実験を強行した。米国本土を核で攻撃することが可能という極限のカードはその後も続いた。オバマ政権に入った2009年には長距離ロケット「銀河2号」発射と2回目の核実験を、2013年には3回目の核実験をした。トランプ政権が始まった2017年は「火星12」型中距離弾道ミサイルがカードだった。2021年のバイデン政権発足直前には平安北道亀城(クソン)から巡航ミサイル2発を撃ち、第8回党大会を開いて国防発展5カ年計画を確定した。
北朝鮮が全員会議で最強硬対米政策を確定し、米国のリーダーシップ交代の前後に軍事的緊張を高める行動をするという点から、こうした対立はしばらく続く可能性が高い。22日に予定された最高人民会議で南北の境界線を確定するなど南北関係、朝米関係の緊張を高める政策を見せることも考えられる。ロシアを後ろ盾にした一種の瀬戸際戦術だ。しかしトランプ氏がロシアのプーチン大統領と対話を推進しながら北朝鮮問題の再解決を図る可能性もあり、ウクライナ戦争が終わったりロシアが対北朝鮮制裁にまた参加することになったりすれば、朝ロ関係が調整される可能性も排除できない。朝米関係の改善なしに北朝鮮の発展は不可能という事実を誰より金委員長がよく知っている。北朝鮮は状況に合わせて中国、ロシアに交互に手を伸ばして過渡期を乗り越えてきた。現在の北朝鮮の「節制された」挑発は2019年の「ハノイノーディール」の仕返しという分析がある。しかし内心は、たとえトランプ2期目序盤は武力誇示で緊張を高めるとしても、時間が経過すれば米国との対話・協議に入ろうというものではないだろうか。北朝鮮はすでに「前戦後通」戦略を実行中かもしれない。
チョン・ヨンス/統一文化研究所長/論説委員
【コラム】トランプ2期目を控えた金正恩の3無、「前戦後通」戦略を準備したのか(1)
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