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【社説】尹大統領、違憲的戒厳の政治的・法的責任を取るべき

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が一昨日の夜中に起こした非常戒厳騒動は6時間後に終了したが、韓国政治史に消すことができない大きな傷を残した。尹大統領は1979年以降に消えた軍事独裁時代の亡霊を45年ぶりに現実世界に呼び戻した。完全武装した部隊員がガラス窓を割って国会本館に進入する場面を見ながら、多くの国民は不可逆的に確立されたと考えていた韓国の民主主義システムが一瞬にして崩れることもあるという恐怖と無力感を感じた。

憲法77条は戒厳宣言の要件として「戦時・事変またはこれに準ずる国家非常事態において兵力で軍事上の必要に応じたり公共の安寧秩序を維持する必要がある時」と規定している。戒厳は大統領が国民の基本権を制約し、三権分立を停止させる超越的な権限であるため、国の存亡がかかる非常事態に限り許容されるということだ。現在の状況は果たして戒厳が必要なほどの国家的危機なのか。国民の大多数は同意しないだろう。

尹大統領は昨日、与党指導部に会い、「民主党が弾劾を乱発する暴挙に出るため非常戒厳を宣言した」とし、自分に過ちはないという趣旨で話したという。尹大統領は一昨日の談話で民主党の相次ぐ弾劾(推進)を「内乱を画策する明白な反国家行為」と主張した。民主党の予算単独処理に言及しながら「悪行を繰り返した亡国の元凶、反国家勢力を必ず剔抉する」とも述べた。民主党が李在明(イ・ジェミョン)代表の防弾のために国会で暴走するのは批判されるべきだ。しかし民主党がした行動はあくまで憲政の枠内のことだ。


民主党が武力クーデターをしたのではない。なら大統領の対応も政治の領域内で行われてこそ正しい。4月の総選挙で巨大野党を誕生させた民意を尊重し、野党との対話と妥協を図るのが道理だ。政治の現実が気に入らないからといって戒厳を突如宣言し、国会と政党の活動を中断させようとしたのはとんでもない独裁的発想であり違憲の余地が大きい。2024年に韓国の大統領が下した決定とは信じがたいほどだ。

特に尹大統領が軍の兵力を動員して国会を封鎖し、本会議の進行を阻止しようとしたのは、戒厳の権限を越えて「内乱罪」に該当するという解釈までが可能だ。非常戒厳を宣言しても憲法の規定上、大統領は行政府や司法府に関して特別措置が可能であるだけで、立法府である国会に対しては手をつけることができない。国会が戒厳解除要求権を持っているからだ。

また尹大統領は非常戒厳宣言の過程で主要参謀といかなる意思疎通もしなかった。金竜顕(キム・ヨンヒョン)国防部長官など数人の側近とだけ相談したという。このため昨日、鄭鎮碩(チョン・ジンソク)大統領秘書室長をはじめとする3室長と首席秘書官が一括で辞意を表明したのは大統領に対する抗議の意が込められたということだ。非常戒厳を事前に審議した国務会議でも大半の長官が反対したが、尹大統領が強行したという。長官と参謀の信頼を失った大統領が果たして国政運営をまともにできるのか強い疑問を抱く。国務委員全員の辞意表明で公職社会も混乱している。何よりも国民的な信頼を失ってしまった大統領の席に何の意味があるのか問わざるを得ない。

これらすべてのことを招いた尹錫悦大統領に厳重な政治的・法的責任を問うことは避けられない。金竜顕長官ら戒厳の関連者に対する問責も必須だ。民主党をはじめとする野党6党が昨日、尹大統領弾劾訴追案を国会に提出し、7日ごろ議決するという。大統領の自業自得だ。与党の一部では、弾劾でなく野党と交渉して挙国内閣の構成と大統領任期を短縮する改憲を推進しようという意見も出ている。どのように進もうと、戒厳宣言以前のような国政運営は不可能とみられる。現在は大統領室の機能がまひしただけに与野党が協議して賢明な決定を出さなければいけない。



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