国連、米国、欧州主要国などが尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領の非常戒厳宣布と６時間ぶりの解除を鋭意注視しながら懸念の声を出した。また、民主主義と法治主義に基づく平和的事態解決を促した。

国連のドゥジャリク事務総長報道官は３日、尹大統領の非常戒厳宣布と関連し「われわれは韓国の状況を非常に綿密に、懸念しながら見守っている」と話した。ドゥジャリク報道官はこの日ニューヨークの国連本部で開かれた定例会見で「状況が早く変わっており現時点ではこのようにしか話せない」とした。

欧州でも懸念の声が出てきた。欧州連合（ＥＵ）はこの日報道官を通じ「状況を鋭意注視している」と明らかにした。ドイツ外務省はＸを通じて「われわれは韓国での状況を大きな懸念を持って綿密に見守っている。民主主義は勝利しなければならない」と述べた。


英外務省はウエスト政務次官（インド太平洋担当）名義で出した声明で「３日に韓国で起きた事件に対し深く懸念しわれわれは韓国の法律と憲法に基づきこの状況の平和的解決を促す」とした。ロシア大統領府のペスコフ報道官も現地メディアに「韓国の状況を懸念し綿密に見守っている」と話した。

米国も今回の事態に神経を尖らせている。ブリンケン米国務長官は「米国は２４時間にわたり韓国の状況を綿密に注視してきた。われわれは尹錫悦大統領が国会の全会一致での戒厳解除決議案通過後に憲法に基づいて非常戒厳令を解除した発表を歓迎する」と明らかにした。その上で「われわれは政治的な意見対立が平和的で法治により解決されることを期待する」と付け加えた。

予測していなかった事態に米政界もざわついている。米政府系ラジオのボイス・オブ・アメリカ（ＶＯＡ）によると共和党のマルコ・ルビオ上院議員は「韓国は躍動的な民主主義国として立法府を通じ問題を解決していくだろう。状況がどのように進むのか見守りたい」と話した。彼はトランプ次期政権で国務長官に指名されている。

民主党のティム・ケイン上院議員は今回の事態と関連し「政治的反対勢力との対立は普通政治的な領域内で解決されなければならない」と指摘した。民主党のアンディ・キム下院議員はこの日声明で「こうした形で戒厳を宣言したのは国民統治の根本的土台を傷つけ国民が安全保障と安定を享受しなければならない時期に韓国の脆弱性を劇的に高めた」と批判した。トランプ氏の後援者であるテスラのイーロン・マスク最高経営責任者（ＣＥＯ）はＸを通じ「衝撃的」との反応を見せた。

各国政府は韓国を訪れる予定や滞在中の自国民に格別の注意を促した。英首相官邸副報道官はこの日「韓国の状況を綿密にモニタリングしている。韓国内の英国国民は旅行安全勧告事項の変更内容をチェックし、現地当局の助言に従うよう勧告する」と明らかにした。英国外務省はこの日ホームページを通じて「（韓国で）政治的デモを避けるように」という内容の旅行安全勧告を発令した。

在韓米国大使館は韓国の非常戒厳撤回後の４日、「状況は依然として流動的。米国市民とビザ申請者に向けた定期領事日程を取り消す」と明らかにした。続けて「大使館職員は在宅勤務を最大化し、米大使館子女の学校出席を制限せよ」と呼び掛けた。在韓中国大使館はこの日、「尹大統領が戒厳令解除を宣布し韓国社会の秩序は正常に戻った」としながらも、「中国国民は警戒を緩めず現地の情勢を鋭意注視して安全意識を強化しなければならない」と伝えた。

今回の事態の余波で外交日程にも影響が出そうだ。当初５日に予定されていたスウェーデンのクリステション首相の訪韓が無期限延期となった。日本のメディアは、来年１月に石破茂首相が訪韓し尹大統領と首脳会談することで調整中だったが、今回の事態で日程変更の可能性があると報道した。