下半期だけでなく来年も世界的な経済不確実性が大きくなる中で、財界に「役員週６日勤務」が拡散している。危機状況が厳しいため組織内に「働く雰囲気」を作るという趣旨だ。ただ勤務時間拡大よりは実質的な生産性向上案が必要だという指摘も出る。

韓国財界によると、ＳＫイノベーションは来月から役員を対象に毎週土曜日の「コネクティングデー」を始める。ＳＫイノベーション役員５０人余りとＳＫエネルギー、ＳＫジオセントリック、ＳＫエンムーブなど系列会社役員が土曜日午前に出勤し専門家の講演やワークショップをするというもの。チーム長クラスは自主選択とする。すでに非常経営中であるＳＫオン、来月１日にＳＫイノベーションと合併予定のＳＫ　Ｅ＆Ｓは土曜勤務から除外された。

ＳＫイノベーションは通常の週６日出勤とは異なると強調した。役員が組織間の協力と学習時間を確保するために土曜日に出勤するという説明だ。同社関係者は「平日にしていたことを週末にもするのではなく、互いに協力と疎通を強化するために設けた席。土曜日午前中にだけコネクティングデーを進める可能性が大きい」と話した。ただ社員は役員の土曜出勤で規律引き締めに出たものと受け止める雰囲気だ。ＳＫイノベーションは２４日、ＳＫエネルギー、ＳＫジオセントリック、ＳＫＩＥテクノロジーの子会社３社の最高経営責任者（ＣＥＯ）を早期に交代し組織再整備に出た。


今年に入りサムスンやＳＫなど大企業を中心に役員の週６日勤務など非常経営体制を稼動する雰囲気が拡散した。ＳＫグループは今年の初めに主要経営陣が参加する「土曜会議」を２４年ぶりに復活させた。１１期連続赤字を出したＳＫオンは役員の午前７時出勤を施行し、最近は会社創立から初めて希望退職を受け付けた。

サムスンの場合、サムスン電子一部部署の役員が週末に出勤してできた週６日勤務が４月に主要関連会社に拡大した。サムスン電機とサムスンＳＤＩ、サムスンＳＤＳ、サムスンディスプレーなど電子関連会社が参加し、一部金融関連会社も導入したという。その後ＨＤ現代（ヒョンデ）オイルバンク、ＢＧＦリテールなどで役員の週６日制公式化が相次いだ。ロッテ持ち株もやはり８月に非常経営を宣言し役員が週末会議をするなど事実上週６日勤務をしている。財界では業績が悪化した企業を中心に役員の週６日制を導入する所が増えると予想する。

役員が週末も出勤する企業は組織内の緊張感が高まったと口をそろえる。週５２時間制を適用されない役員はこれまでも週末に出勤して働くことが多かったが、これを公式化することにより一般社員も危機を体感することになったという。財界関係者は「役員が平日に日常業務で細かく見られなかった報告書と電子メールを週末に取りまとめ、月曜日の朝には金曜日より発展した指示を出せるので業務効率が高まった側面がある」と話した。

しかし社員まで週末勤務に動員されることが増えたという不満も出ている。サムスン系列会社のある社員は「役員が平日はとても忙しいからと『土曜日に軽くミーティングしよう』ということ多い。週末出勤が確実に多くなり勤務時間が増えた」と話す。役員の週末出勤により実務担当社員も週５２時間の範囲で週末出勤が避けられなくなったという意味だ。

一部では週末出勤強制が組織内の規律引き締めやアピール式解決策になりかねないとの懸念が出ている。週６日出勤中というある大企業役員は「業務の性格と関係なく週末に出勤印を押さなければならず非効率的な面がある」としながらも「主要大企業がこうした雰囲気を主導するので業績が多少良い企業でなければこの雰囲気について行くほかない」と話した。硬直した組織文化がさらに強まれば世界的な人材招聘にも否定的な影響を与えかねないとの指摘も続いている。世界的先端産業人材は勤務時間ではなく成果中心で評価されることになじむが、韓国の大企業は反対に進んでいると指摘される。世宗（セジョン）大学経営学部のキム・デジョン教授は「業績悪化で企業が焦るようになったため勤務時間を増やしているが、社員の業務没入度と集中度を高める方法を探すのが（業績改善に）もっと有効だろう。経営陣は危機状況を打開する長期的な戦略を提案するリーダーシップを備えなければならない」と話した。