イスラエルがレバノンの武装組織ヒズボラの資金管理を行っていたとみられる金融機関に空爆を加えた。特に現金保管所などを集中的に攻撃してヒズボラが隊員に給料を支給できない状況に陥っているとの報道も出てきた。

現地メディア「タイムズ・オブ・イスラエル」などは、イスラエルが２０日（現地時間）、ヒズボラに関連した融資機関「アルカード・アルハッサン」支部３カ所を空爆したと伝えた。これに関連してイスラエル高位情報当局者は「ボイス・オブ・アメリカ（ＶＯＡ）」に対して「（イスラエルの空爆は）ヒズボラが終戦後に再建できる経済能力を狙った攻撃」と説明した。

アラビア語で「慈悲深い融資」を意味するアルカード・アルハッサンは、名目上、イスラム法に伴う無利子の小額融資ために１９８３年に設立された非営利機関だ。しかしイスラエル側はこの機関がヒズボラの偽装団体で、銀行業として登録しないまま融資を通じて富を築いてきたとみている。


米国安全保障シンクタンク「スティムソン・センター」が今年７月に出した資料によると、アルカード・アルハッサンは金と外貨を担保にレバノン人に融資を行い、このように稼いだ収益はヒズボラに流れて行った。これを通じてレバノン最大の金保有機関になったヒズボラは建設・太陽光事業などに参入することができたという。

アルカード・アルハッサンは融資だけでなく資金預置機能も備えているという。レバノンが経済難で銀行の業務が麻痺（まひ）し、アルカード・アルハッサンに預けるほうが安全だという理由だった。事実上、銀行の役割を果たしていた格好だ。

西側はアルカード・アルハッサンをヒズボラの資金源と認識し、いち早く制裁に入った。マネーロンダリングなどに関与した容疑で２００７年・２０１６年・２０２１年にわたり、アルカード・アルハッサンやその関係者が数回米国の制裁リストに入った。１２２０２１年制裁当時、米国はアルカード・アルハッサンが５億ドル（約７５４億円）を保有していると発表した。

そのためイスラエルは９月レバノンへの攻撃を開始した初期からアルカード・アルハッサン関連の事務所を標的としていた。レバノンの現地メディアは最近「イスラエルが金庫をターゲットに空爆し、アルカード・アルハッサンが財政危機に陥った」と伝えた。ヒズボラが隊員に給料をまともに払うことができなくなっているという話も出ている。

これに関連して、イスラエルのガラント国防相は２０日、国境地帯で会ったイスラエル国防軍将兵に「われわれの目標はイスラエル北部地域の住民たちが帰宅して人生を再建することができるように（ヒズボラ）地域を完全に清掃すること」としながら「ヒズボラは崩壊している」と話した。

イスラエルはガザ地区に対する空襲も継続している。１９日、イスラエル国防軍の攻撃でガザ地区住民の少なくとも８７人が死亡あるいは行方不明となり、４０人以上が負傷したとガザ地区保健省が明らかにした。国連の中東特使トール・ウェンズランド氏はこの日、Ｘ（旧ツイッター）に「民間人に対する相次ぐ攻撃を糾弾する」としたが、イスラエルは「ハマスの主張は誇張されたもの」と反論した。