米海軍艦艇を建造する造船所の問題のため適時に艦艇を受け入れられず頭を悩ませているが、今回は溶接問題で心配が深まった。米海軍の空母と潜水艦を建造するニューポートニューズ造船所で一部の溶接工に限り、米海軍は調査の結果、艦艇の運航に大きな支障をきたさないと明らかにしたが、米議会では報告書を提出するよう圧力を加えている。今回の事態は米国造船会社の人材問題を端的に見せる事例だ。

＜１＞米海軍艦船の一部に溶接問題

９月末、米海軍艦船を建造する主要造船所の一つ、バージニア州ニューポートニューズ造船所で艦船に致命的な問題を招きかねない溶接問題が発生したという事実が明らかになった。米軍事メディアのＵＳＮＩが初めて報じた後、米議会が海軍に該当報道に対する答弁を求めるほど深刻な問題として受け止められている。


報道が出た後、ニューポートニューズ造船所を保有するハンティントン・インガルス・インダストリーズ（ＨＩＩ）は一部の溶接工が特定溶接手続きを故意に回避したという事実を発見したという内容を発表した。初期調査の結果、悪意は見られず、発見直後に顧客および規制機関と意思疎通し、調査をして根本的原因を把握、問題を解決し、長期的な解決策を模索しながら即刻是正措置を取ったと付け加えた。しかし声明には是正措置や長期的な解決策に関する追加の情報はなかった。

ＨＩＩの声明に先立ち米下院軍事委員会所属の議員らは深く懸念するという共同声明を発表した。議員らは声明で、国防部は海軍艦艇をどう保護するかに対する答弁と計画を委員会に直ちに提供するべきだと明らかにした。

米海軍はこの問題を認知していて範囲を決めるために徹底的な評価が進行中だと明らかにした。米海軍はこれまでに溶接問題で影響を受けた艦船は空母「ジョージ・ワシントン」、攻撃潜水艦「ハイマン・Ｇ・リッコーヴァー」「ニュージャージー」の３隻と明にした。そして船舶の安全や作戦に影響を及ぼす部品には標準以下の作業が行われていないと説明した。

カルロス・デル・トロ海軍長官は米議会に送った書簡で、造船所の関係者の話を引用し、溶接手順を正確に踏んでいない溶接工が問題だと明らかにした。長官は海上システム司令部（ＮＡＶＳＥＡ）がこの溶接が船舶の安全や運営に影響を及ぼす部品やシステムに関するものではないと評価し、技術を保証するＮＡＶＳＥＡが船舶の運航は安全だと判断したと伝えた。海軍は３隻のほか建造中または整備中の２３隻に対しても調査を行っている。この問題については司法省も調査を始めたという。

＜２＞米国・欧州が国防関連技術会社への融資拡大

米国と欧州が防衛産業関連企業を支援するのに融資を積極的に活用しようとしている。９月３０日（以下、現地時間）、米国防総省は需要が多い国防関連部品および技術を作る米国企業に融資を提供する直接融資政策を初めて発表した。国防部は１０００万ドルから１億５０００万ドルの直接融資を提供するために約１０億ドル（約１４８０億円）の予算を設定した。

米国防総省は米国家安全保障に重要とみられる宇宙発射、量子センサーなど３１件の技術範疇で生産を増やすのに必要な建設および装備に予算を支援できることを希望した。

この努力は、国防総省が民間資本を国防総省と米国経済安全保障に最も重要な技術とサプライチェーンに誘導するのを支援するために２０２２年１２月に設立された国防総省戦略的資本局（ＯＳＣ）が主導する。国防総省と管理予算処が定めた特定資格要件を満たし、プロジェクトが経済的に実行可能で、政府に対するリスクが低く、産業市場に迅速に進入できるほど成熟した企業に融資が可能だ。

欧州では１０月２日に欧州投資銀行（ＥＩＢ）と欧州防衛庁（ＥＤＡ）が新しい契約を締結した。これを通じて欧州連合（ＥＵ）の資金および国防部門が欧州大陸の軍事産業団地を強化するためにより一層緊密に協力することになった。

報道資料によると、欧州の競争力を強化しようと欧州全域の企業とプロジェクトに資金を支援する欧州投資銀行は今後、欧州防衛庁から業界指針を受けることになるという。声明はこのパートナーシップは欧州連合の集団防衛力量を強化するための投資拡大を目標にするとした。

欧州投資銀行は厳格な民間機関だった。融資および資金支援政策に関する制限のため多くの軍事プロジェクトまたは調達に対する資金支援が排除されたが、ウクライナ戦争以降はこれが弱まった。欧州投資銀行と欧州防衛庁は２０１８年初めに了解覚書に署名し、最近の合意は最初の合意をアップデートしたものだ。

欧州投資銀行は２０２７年末まで戦略的欧州安保イニシアチブを通じて８０億ユーロ（約８８億ドル、１兆３０００億円）の資金を支援するという目標を設定し、このうち最初の２年間ですでに２０億ユーロを執行した。


【ミリタリーブリーフィング】世界最強米空母に致命的欠陥、溶接の問題（２）