１年間に数百億ウォン規模の政府予算支援を受ける大韓サッカー協会の国家代表チーム前・現監督選任過程で複数の内部規定違反が確認されたと昨日、文化体育観光部が発表した。

文化体育観光部は２日、サッカー協会に対する監査の結果、７月に選任された洪明甫（ホン・ミョンボ）現代表監督の場合、規定上権限がない李林生（イ・イムセン）技術総括理事が不透明で不公正な面接過程を経て監督最終候補に推薦したと明らかにした。前任のユルゲン・クリンスマン監督の任命には最終候補を理事会に推薦する国家代表戦力強化委員会の権限が当時のマイケル・ミュラー強化委委員長一人に委任され、事実上、機能が無力化したと指摘した。特に鄭夢奎（チョン・モンギュ）サッカー協会会長は権限がないにもかかわらず、クリンスマンを含む１、２順位の候補者をオンライン面接した。関連資料さえも残していないため、面接の性格がどういうものか、最終決定に影響を及ぼしたかは把握できない。サッカー協会理事会も監督選任手続きを省略したり可否だけを表示する書面決議形式で進めた。

文化体育観光部はこうした問題点にもかかわらず、問責などの個別的な処分は要求しないという。今月１０日の北中米ワールドカップ（Ｗ杯）３次予選のヨルダン戦（アウェー）、１５日のイラク戦（ホーム）は洪明甫監督体制で行われることになった。監督選任過程の不公正に対するサッカーファンの非難が激しいが、いま監督を交代するのは時期など現実的に難しい状況を考慮したとみられる。


鄭夢奎会長は先月２４日の国会懸案質疑に続いて、今回の監査結果発表でまたリーダーシップに傷を負うことになった。国際サッカー連盟（ＦＩＦＡ）は各国のサッカー協会運営の自律性を理由に政界の介入を定款で禁止しているが、尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領が「間違った慣行を正す改善案を用意するべき」と指示したのに続き、今月末の文化体育観光部の最終監査結果が出れば辞任など去就に圧力を受けかねない状況だ。

サッカー界の一部では、政府の支援を受けるとはいえ社団法人のサッカー協会の運営に一点の汚点がないことを望むのは無理という見方があるのも事実だ。国家代表チームの競技力に大きな影響を及ぼす監督選任過程は非公開にするのがサッカー界の慣行という。しかし欧州のプロ舞台で孫興慜（ソン・フンミン）選手、李康仁（イ・ガンイン）選手らが活躍中であり、サッカーファンの期待値は高まっている。選手らは世界レベルであっても代表チームの成績が良くない現実にもどかしさを感じている人は少なくない。今はいつよりも公正と透明性に対する要求が強まっている。

サッカー協会は大ざっぱな行政慣行を自ら刷新する必要がある。その土台の上で長期的な競技力向上も期待できるはずだ。