11月5日の米国大統領選挙を控え、民主党大統領候補のハリス副大統領と共和党大統領候補のトランプ前大統領が薄氷の接戦を行っている。10日にABC放送が主管したテレビ討論後にハリス氏がわずかなリードを継続しているが誤差範囲内で、現時点では勝敗を予測するのが難しい。両候補はこれまで党大会と全国各地での遊説を通じて差別化された政策を掲げ投票者の心をつかむのに総力を挙げた。実際に両候補が掲げた経済、外交、移民、堕胎などに関連した政策は大きな違いを見せる。韓半島(朝鮮半島)政策もくっきりと対照的だ。したがってだれが執権するかにより韓半島情勢の変化とともに韓国の対米政策も大きく変わることになるだろう。トランプ氏がホワイトハウスに入る場合、不確実性はさらに大きくなるものとみられる。ハリス氏とトランプ氏の政策が韓国に及ぼす影響と関連し、梨花(イファ)女子大学国際学部の朴仁煇(パク・インフィ)教授と、慶熙(キョンヒ)大学政治外交科の徐正健(ソ・ジョンゴン)教授の専門家2人の分析と見通し、対策などを聞いてみた。
――トランプ氏は7月の党大会で「再執権する場合、金正恩(北朝鮮国務委員長)とうまく過ごすだろう」と話した。トランプ氏が勝利する場合、朝米関係をどのように予想するか。
朴仁煇「トランプ氏は自身が世界で金正恩を最もよく知る指導者だと考えている。こうした点が米国の対北朝鮮政策に反映され、現在の対北朝鮮基調とは大きく異なった政策が出てくるだろう。この政策の成功の可否により米朝関係は大幅に改善されるか大きく悪化する可能性がある」。
徐正健「トランプ氏が再執権する場合、2期政権は最も重要な初年度である2025年に主に中国牽制、ウクライナ戦争、国境問題、官僚制など山積した問題に没頭するだろう。北朝鮮問題は2026年の中間選挙後に自身に対する注目度を高めるための手段として使われる可能性がある」。
◇金正恩氏も対米政策変化に躊躇する可能性
――文在寅(ムン・ジェイン)政権とは違い尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の対北朝鮮政策は強硬だ。もしかしてトランプ氏の政策と衝突することはないだろうか。
朴「そのような可能性もある。だが同時に注目する部分は2016年の大統領選挙に臨んだトランプ陣営と現在大統領選挙戦を行っているトランプ陣営が明確に異なる点だ。トランプ氏周辺の専門家が以前よりもとても精巧に政策を開発している。これにより韓米同盟の重要性に対する理解度がはるかに深まった」。
徐「トランプ氏が金正恩氏とまた会おうとする時、いわゆる『悪いディール』にならないよう対策を講じなければならない。最悪のシナリオはトランプ氏と金正恩氏が大陸間弾道ミサイル(ICBM)廃棄と制裁緩和を引き替えることだ。これに対する情報をあらかじめ収集し戦略を立てなければならない。また、米国の政権、議会、メディア、政党などを対象に公共外交を積極的に展開しなければならない」。
――トランプ氏は金正恩氏に対し「核兵器を多く持っている人」と言及した。米国が北朝鮮の核保有を実質的に認めるということなのか。
朴「選挙遊説過程で出たコメントだと考える。公式なメディア会見や会談だったならトランプ氏はそのように話さなかっただろう。レトリック次元で投げた言葉とみるべきだ」。
徐「トランプ氏個人が支持者の前で行った発言を公式的な外交政策とみるのは難しい」。
――金正恩委員長が本心ではトランプ氏の勝利を望んでいると思われるが、トランプ氏再執権時の北朝鮮の対米政策をどのように予想するか。
朴「金正恩氏がトランプ氏に対し若干の自信を持っているかもしれない。外交談判をしたためだ。こうした脈絡から金正恩氏がトランプ氏の再執権を望んでいるかもしれない。しかしトランプ氏が北朝鮮の核兵器に対し最終的にどのような立場を出すかは確実でない。これによってむしろ金正恩氏が対米関係の根本的な変化に躊躇する可能性が大きい」。
――トランプ氏が勝利すれば再び在韓米軍を担保に防衛費分担金引き上げ問題が議論されそうだ。どのように対処するべきか。
朴「トランプ氏の再執権時に防衛費分担金引き上げは避けられない。共和党と民主党を問わず『米国優先主義』を好む米国人の感情も韓国政府には負担だ。一定部分の引き上げは受け入れるが、それに見合った反対給付を勝ち取らなければならない。例えば、より強力な核の傘などだ」。
――韓国では独自の核保有を求める声が出ている。米国内でも韓国の原子力潜水艦保有が議論されたりもした。軍事的側面でトランプ氏執権時に韓国が得られる、狙うことができる利益は何か。
徐「共和党側から出ている話だ。核政策において民主党とは差がある。したがって米国を代表するとはいえない。原子力と関連しては米議会の立法が重要だが、韓国が米議会を説得して核保有を勝ち取るのはかなり難しいだろう」。
――トランプ氏は経済対策も出した。サムスン電子とSKハイニックスが米国に作る工場に対する補助金の根拠となったインフレ抑制法に対し、「環境と関係がない詐欺」と話した。韓国企業の打撃が予想されるが対策は。
朴「2種類の対策を考えることができる。最初に、実際の産業政策は議会が決めるケースが多いため、議員外交などを通じて米上下院の意志決定過程に肯定的な影響を及ぼすことだ。また、韓国企業と工場がある米国の地元議員に積極的に韓国の立場を説明することだ。2番目に、サムスン電子とSKハイニックスのような企業が米国民を相手に積極的なESG(環境・社会・ガバナンス)経営を実践し企業価値とイメージを引き上げることだ」。
「ハリス氏とトランプ氏の韓半島政策」専門家対談(2)
――トランプ氏は7月の党大会で「再執権する場合、金正恩(北朝鮮国務委員長)とうまく過ごすだろう」と話した。トランプ氏が勝利する場合、朝米関係をどのように予想するか。
朴仁煇「トランプ氏は自身が世界で金正恩を最もよく知る指導者だと考えている。こうした点が米国の対北朝鮮政策に反映され、現在の対北朝鮮基調とは大きく異なった政策が出てくるだろう。この政策の成功の可否により米朝関係は大幅に改善されるか大きく悪化する可能性がある」。
徐正健「トランプ氏が再執権する場合、2期政権は最も重要な初年度である2025年に主に中国牽制、ウクライナ戦争、国境問題、官僚制など山積した問題に没頭するだろう。北朝鮮問題は2026年の中間選挙後に自身に対する注目度を高めるための手段として使われる可能性がある」。
◇金正恩氏も対米政策変化に躊躇する可能性
――文在寅(ムン・ジェイン)政権とは違い尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の対北朝鮮政策は強硬だ。もしかしてトランプ氏の政策と衝突することはないだろうか。
朴「そのような可能性もある。だが同時に注目する部分は2016年の大統領選挙に臨んだトランプ陣営と現在大統領選挙戦を行っているトランプ陣営が明確に異なる点だ。トランプ氏周辺の専門家が以前よりもとても精巧に政策を開発している。これにより韓米同盟の重要性に対する理解度がはるかに深まった」。
徐「トランプ氏が金正恩氏とまた会おうとする時、いわゆる『悪いディール』にならないよう対策を講じなければならない。最悪のシナリオはトランプ氏と金正恩氏が大陸間弾道ミサイル(ICBM)廃棄と制裁緩和を引き替えることだ。これに対する情報をあらかじめ収集し戦略を立てなければならない。また、米国の政権、議会、メディア、政党などを対象に公共外交を積極的に展開しなければならない」。
――トランプ氏は金正恩氏に対し「核兵器を多く持っている人」と言及した。米国が北朝鮮の核保有を実質的に認めるということなのか。
朴「選挙遊説過程で出たコメントだと考える。公式なメディア会見や会談だったならトランプ氏はそのように話さなかっただろう。レトリック次元で投げた言葉とみるべきだ」。
徐「トランプ氏個人が支持者の前で行った発言を公式的な外交政策とみるのは難しい」。
――金正恩委員長が本心ではトランプ氏の勝利を望んでいると思われるが、トランプ氏再執権時の北朝鮮の対米政策をどのように予想するか。
朴「金正恩氏がトランプ氏に対し若干の自信を持っているかもしれない。外交談判をしたためだ。こうした脈絡から金正恩氏がトランプ氏の再執権を望んでいるかもしれない。しかしトランプ氏が北朝鮮の核兵器に対し最終的にどのような立場を出すかは確実でない。これによってむしろ金正恩氏が対米関係の根本的な変化に躊躇する可能性が大きい」。
――トランプ氏が勝利すれば再び在韓米軍を担保に防衛費分担金引き上げ問題が議論されそうだ。どのように対処するべきか。
朴「トランプ氏の再執権時に防衛費分担金引き上げは避けられない。共和党と民主党を問わず『米国優先主義』を好む米国人の感情も韓国政府には負担だ。一定部分の引き上げは受け入れるが、それに見合った反対給付を勝ち取らなければならない。例えば、より強力な核の傘などだ」。
――韓国では独自の核保有を求める声が出ている。米国内でも韓国の原子力潜水艦保有が議論されたりもした。軍事的側面でトランプ氏執権時に韓国が得られる、狙うことができる利益は何か。
徐「共和党側から出ている話だ。核政策において民主党とは差がある。したがって米国を代表するとはいえない。原子力と関連しては米議会の立法が重要だが、韓国が米議会を説得して核保有を勝ち取るのはかなり難しいだろう」。
――トランプ氏は経済対策も出した。サムスン電子とSKハイニックスが米国に作る工場に対する補助金の根拠となったインフレ抑制法に対し、「環境と関係がない詐欺」と話した。韓国企業の打撃が予想されるが対策は。
朴「2種類の対策を考えることができる。最初に、実際の産業政策は議会が決めるケースが多いため、議員外交などを通じて米上下院の意志決定過程に肯定的な影響を及ぼすことだ。また、韓国企業と工場がある米国の地元議員に積極的に韓国の立場を説明することだ。2番目に、サムスン電子とSKハイニックスのような企業が米国民を相手に積極的なESG(環境・社会・ガバナンス)経営を実践し企業価値とイメージを引き上げることだ」。
「ハリス氏とトランプ氏の韓半島政策」専門家対談(2)
この記事を読んで…