◆トランプ氏も女性票を意識

民主党は中絶など女性の再生産権利に対するトランプ氏の一貫性のない態度を批判している。トランプ氏は先月２９日、中絶権利を拡大し、体外人工受精費用を政府や保険会社に負担させると明らかにした。しかし保守陣営の反発で翌日には「フロリダ州で中絶権利拡大投票に反対する」と言葉を変えた。これに対し民主党は攻勢をさらに強めている。

バイデン陣営はまた声明を出し「トランプ氏の厚かましい嘘」とし「生殖権に積極的に反対してきたＪ・Ｄ・バンス氏を副大統領候補に指名したトランプ氏が執権すれば女性の権利は後退するはず」と主張した。ニューヨークタイムズ（ＮＹＴ）もこの日、「トランプ氏が政治的利益のために中絶に対する立場を歪曲している」とし、ウォールストリートジャーナル（ＷＳＪ）は「オバマ元大統領の健康保険改革法をトランプ氏が模倣する点はアイロニー」と指摘した。


それでもトランプ氏は若者の票を意識して立場を変えることに抵抗がない姿だ。トランプ氏はこの日、自身のソーシャルメディアに厳罰の意思を強調してきた麻薬類に関し「マリファナの公共場所喫煙は禁止するものの、少量所持では処罰を受けないようにするべき」とコメントした。これは民主党の立場と事実上同じだ。

◆弱点を露出した討論…「マイク消音」の損益計算

互いに弱点が露出する中、１０日のＡＢＣ主催のテレビ討論会の規則をめぐり双方は損益計算に忙しい姿だ。核心は発言時間が終わった後にマイクをオフにするかどうかだ。

民主党は消音規則に反対してきた中、この日はハリス氏が自ら「討論中はマイクをオンにする透明な方式で討論しよう」と主張した。６月のバイデン氏とトランプ氏の初のテレビ討論当時に合意した規則を変えようという提案だ。法曹人のハリス氏の立場ではマイクをオフにしない方が有利と判断したという意味と解釈される。

一方、トランプ氏は「消音は私にとって重要ではなく、マイクをオンにする方がよいこともある」としながらも「（６月の）ＣＮＮ討論と同じ規則で民主党と合意した」という立場を明らかにした。消音規則がそのまま適用されるべきという主張と共に、合意した規則を変えようとするのがハリス氏という点を強調しようという意図と解釈される。


トランプ氏は中絶権、ハリス氏はシェールガス…言葉を変えた公約がアキレス腱（１）