イスラエル当局はヒズボラがイスラエルの西部沿岸都市ヘルツリーヤ近隣のグリルロット基地を攻撃する計画だったものと推定していると、タイムズ・オブ・イスラエルが報じた。グリルロット基地にはＩＤＦ情報部隊とイスラエルの対外情報機関モサドの本部がある。ニューヨーク・タイムズ（ＮＹＴ）は情報当局者を引用して「イスラエルの先制打撃はこの日午前５時、テルアビブ方向に発射されるように設計されたレバノンのミサイル発射台を狙った」と伝えた。先制打撃は直前の午前４時４５分に行われたということだ。

ヒズボラは「イスラエルに対する報復攻撃の『最初の段階』が成功裏に完了した」とし、追加攻撃の可能性を示唆した。

レバント戦略問題研究所のサミ・ナデル所長は「（イスラエルの空襲は）全地域を本格的な戦争に引き込む潜在力がある」とし「作戦の範囲と強度の面で拡大を知らせる信号」とアルジャジーラに話した。ヒズボラの立場でも反撃の名分を確保したためだ。


結局、核心は抵抗の枢軸を率いるイランの選択だ。イランは自国でハマスの指導者ハニヤ氏が暗殺されて１カ月近く対応を自制している。

韓国漢陽（ハニャン）大文化人類学科のイ・ヒス名誉教授は「ネタニヤフ首相はレバノンに戦線を拡大して国内政治的利点を取ろうとすると考えられ、戦争拡大時に支援を受けにくいイランは報復攻撃を予告しながらも事実上直接攻撃は不可能」と説明した。

国立外交院のイン・ナムシク教授は「イスラエルはイランの反撃が全面戦争水準にならないという状況を読んで、親イラン勢力に対して“ジャブ”を飛ばす水準のスマートで老獪な挑発を継続するだろう」と予想した。

大統領選挙を控えて休戦交渉の進展に余念がない米国のバイデン政府はイスラエルの自衛権を支持しながらも緊張緩和に傍点をつけた。

イスラエルは先制打撃前後で休戦協議を継続した。タイムズ・オブ・イスラエルは「ヒズボラの攻撃にもかかわらず、イスラエルが休戦および人質釈放交渉のための高位交渉団を派遣することにした」と伝えた。しかしハマスは交渉参加に否定的な立場を明らかにした。


イスラエル、ヒズボラに先制打撃…懸念される中東戦争拡大（１）