イスラエルが、本土を狙って攻撃を準備中だったレバノンの親イラン武装勢力ヒズボラを先制打撃し、ヒズボラはドローンおよびロケット攻撃でこれを正面から受けた。ヒズボラは２００６年イスラエル・レバノン戦争以来、イスラエルに対して最大規模の攻撃に出た。パレスチナの武装組織ハマスの最高政治指導者イスマイル・ハニヤ氏に対する本格的な報復に出なかったイランとハマス－ヒズボラ－フーシ派（イエメン）など親イラン「抵抗の枢軸」が追加で武力攻撃に出る場合、中東戦争は収拾がつかないところまで拡大する可能性がある。



２５日（現地時間）、イスラエル国防軍（ＩＤＦ）はレバノン内のヒスボラ軍関連のターゲットを空襲したと明らかにした。ＩＤＦのダニエル・ハガリ報道官は声明を通じて「ＩＤＦは、イスラエル領土に対してミサイルとロケットを発射する準備をしているヒズボラテロ組織を確認した」とし「このような脅威を除去するための自己防御行為の一環として、レバノンのテロ目標物を攻撃した」と明らかにした。


アルジャジーラによると、イスラエルの空襲はイスラエル北部と相対しているレバノンの国境５キロ以内の地域でその大部分が行われた。

◇「ヒズボラの６０００発ロケット攻撃を事前捕捉」…１５分前に先制攻撃

イスラエルは今回の措置が先制打撃（ｐｒｅｅｍｐｔｉｖｅ　ｓｔｒｉｋｅ）という点を強調した。ＩＤＦは「テロ団体ヒズボラが今朝、発射体を利用してベン・グリオン国際空港をはじめ、イスラエル中部地域まで打撃しようとした」とし「レバノン南部に対する先制空襲でこのような試みを無力化した」と明らかにした。ＩＤＦは「１００機余りの戦闘機を動員して数千基に達するレバノン内のロケット発射台を同時に打撃した」と説明した。ＩＤＦは、ヒズボラがイスラエルに約６０００発のロケットとドローン攻撃を計画していたと明らかにしたとイスラエルメディアが伝えた。

ヒズボラは直ちに大規模反撃に出た。イスラエルが先制打撃の事実を公式発表した直後、ヒズボラは「イスラエルに大規模なドローンおよびロケット攻撃を加えた」とし「これは先月のレバノン・ベイルートの空襲でヒズボラ最高司令官フアド・シュクルが死亡したことに対する報復」と明示した。ヒズボラはイスラエル北部のメロン空軍基地とゴラン高原を含めてイスラエル軍事基地とテント１１カ所に３２０余発の「カチューシャロケット」を発射したと明らかにした。

ヒズボラは「多数の敵の施設とテント、アイアンドームプラットフォーム、今後発表する特殊軍事目標物を狙った」と説明した。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はこの日安全保障内閣を招集した。ネタニヤフ首相は内閣会議で「イスラエル中部の戦略的目標物に向かって発射されたヒズボラのドローンをすべて撃墜した」と話した。イスラエルのヨアブ・ガラント国防長官はその後４８時間、全国に非常事態を宣言した。

イスラエルはヒズボラの反撃以降、追加的にレバノン南部を空襲したと明らかにした。ヒズボラの複数のロケット発射台を標的にし、先の先制打撃のときに比べると低強度空襲だったと説明した。

レバノン保健省はイスラエルの空襲で少なくとも３人が死亡、２人がけがをしたと明らかにした。イスラエル国防軍のナダブ・ショシャニ報道官は「ヒズボラの攻撃による被害はほぼない」と話した。イスラエルが防空網「アイアンドーム」を稼動してヒズボラの攻撃を防ぐ動画がＸ（旧ツイッター）に投稿された。

被害規模が限定的なら、両側ともに追加措置には慎重な場合もある。特にイスラエルの主張が正しければ自衛権発動次元で先制打撃を決めたのはイスラエルが名分と正当性を確保することができる側面がある。


イスラエル、ヒズボラに先制打撃…懸念される中東戦争拡大（２）