－－韓国だけでなく欧州も朝ロ間の軍事協力を懸念している。

「ウクライナ戦争という特殊な状況を背景にしているが、北朝鮮がロシアと締結した『包括的な戦略パートナーシップ条約』は韓半島だけでなく欧州と世界の平和を脅かす。現在グローバル安保状況はアジアと欧州を分離できない一つの状況で展開しているだけに、包括的な視点で安保情勢を分析することが極めて重要だ」


－－コロナ封鎖が解除され、脱北者の国内入国が増える傾向にある。


「昨年１９６人の脱北者が国内に入国したが、半分以上が２０・３０歳代だ。８日と２０日にそれぞれ亡命した民間人と軍人も２０歳代と確認された。脱北の動機にも相当な変化がある。過去は主に経済的な理由だったなら、最近は子どもの教育や自身の生活や将来のビジョンなどが脱北の動機として表れている。また市場化と共に携帯電話普及率増加による情報化現象が起きていて、政権よりも自分自身と家族の生活を重視する個人主義的な意識が強く表れていることも脱北に影響を及ぼしている」

－－北朝鮮住民を統一の主体として包容するという戦略は可能なのか。

「南北の住民の間では直接・間接的な意思疎通が行われているとみる。韓国では脱北者が各種メディアでする証言や報告書を通じて北朝鮮に関する情報に接していて、北朝鮮の住民も自発的に韓国ドラマのような映像を視聴しているからだ。これを通じて南北住民間の偏見がかなり払拭されていると考える。特に世界史を見ると、権力が文化の伝播を遮断して成功した事例は少ない。北朝鮮政権が反動文化史上排撃法、平壌（ピョンヤン）文化語保護法、青年教養保障法などを通して北朝鮮の住民を統制すること自体が、それだけ北朝鮮内に韓流が広がっているという証拠だ」

－－金正恩委員長の娘ジュエが後継者である可能性は。

「２０２２年１１月に初めて登場して以降、礼遇の水準と軍事現場に訪問する頻度が高まっている。キム・ジュエが後継者になる可能性を開いておくべきだと考える。こうした状況で後に別の（子どもを出す）選択をする場合、後継構図に関して相当な混乱を招く可能性も排除できない。一部では北朝鮮が儒教的で家父長的な伝統が強いのに女性が指導者になれるのかという声があるが、北朝鮮は首領中心の全体主義体制であるため指導者が決定する方向で後継者が決まるとみる。北朝鮮は世襲的な独裁権力のジレンマに陥っている。世襲体制が続く限り被害者は結局、北朝鮮の住民になるしかない」


韓国統一長官「韓米日、１０月にワシントンで北朝鮮人権テーマに初会議」（１）