◇「ローキー」のトランプ氏…バンス氏の過去の発言がまた論争に

堕胎問題は今回の大統領選挙で若者女性の気持ちを決定づける核心イシューに挙げられる。このため、超強硬な右派公約を打ち出しているトランプ前大統領も堕胎問題に対してだけは「全国的な堕胎禁止ではなく各州別に状況に合わせて決めるべき」として発言の強弱を調節をしてきた。

問題は副大統領候補に指名されたバンス氏の過去の発言だ。子どもを持たない女性に対して「子どものいない猫好き女性（＝変わり者）」と話し、「子どもがいる人々に追加投票権を与えるべき」という趣旨の発言をしたことが物議を醸している状況だが、堕胎に対しては一層強硬な発言をしてきたことが浮き彫りとなっている。


バンス氏は２０２２年上院に出馬した当時「全国的な堕胎禁止に賛成する」という立場を明確にした。これに先立ち、２０２１年にはオハイオ地域のメディアインタビューで「強姦および近親相姦が堕胎を正当化できない」とし、堕胎権に関連した強硬な立場を明らかにした。ＡＦＰは「堕胎イシューは共和党にとって難しい問題」とし「該当イシューによって、共和党が穏健で中道的な有権者から遠ざかる危険がある」と分析した。

◇「暗殺未遂」事件、再点火か

トランプ氏はバイデン大統領が辞退を決心する契機の一つになったペンシルベニア銃器暗殺未遂事件に対する関心を喚起しようとする動きを見せている。バンス氏の発言問題、最高裁や堕胎関連イシューなどを自身に有利なイシューで覆おうとする狙いとみられる。

これに関連し、トランプ氏はこの日暗殺未遂事件を捜査中のＦＢＩに銃撃事件の被害者として面談に応じると明らかにした。

ＦＢＩはこの日、トランプ氏の面談計画を発表して「容疑者であるトーマス・クルックスの車両から見つかった２つの爆発物は爆発可能な水準で、クルックスが暗号化された外国アカウントと仮名を使って必要な材料を購入した」とし、クルックスの犯行が徹底した計画によって実行されたことを強調した。

また、ニューヨーク・タイムズ（ＮＹＴ）やＢＢＣ、ＣＢＳなどもこの日、当時警察がやりとりしたメッセージを引用し、警察がトランプ氏の演説１時間４０分前にクルックスの位置を把握していながらも犯行を防ぐことができなかったと報じた。これは既に伝えられていた６２分よりもはるかに早い時点で、再度警護失敗に対する責任論が高まる可能性もある。

トランプ氏は３１日にペンシルベニアの遊説を控えている。暗殺未遂事件が発生したバトラーで大規模野外遊説を進めるとも明らかにしているが、まだ具体的な日程は公開しないでいる。

◇バイデン氏には勝ったが…ハリス氏に対しては「曖昧」な返事

一方、トランプ氏はハリス氏とのテレビ討論に対して曖昧な返事を出した。トランプ氏はバイデン氏に対しては、バイデン氏が先に提案したテレビ討論にすぐに応じ、実際の討論でも「圧勝」を収めたという評価を受けた。

トランプ氏はこの日、ＦＯＸ（フォックス）ニュースとのインタビューで、ハリス氏との討論関連の質問を受けると、「返事は『イエス』であり、おそらく討論することになるだろう」としながらも「だが、それをしないと主張することもできる」と答えた。あわせて「人々は皆、私が誰なのか知っている」とし「また、もう彼女（ハリス）が誰なのか知っている。彼女は急進左派狂人（ｒａｄｉｃａｌ　ｌｅｆｔ　ｌｕｎａｔｉｃ）であり、この国を破壊するだろう」とした。

進行者が再度討論の意思を聞いたが「ちょっと待ってほしい。だが、彼らはすでにすべてのものを持っているため」として確答を避けた。


ハリス氏「堕胎禁止」イシュー化…トランプ氏は「防弾男」を再点火か（１）