韓国政府が専攻医の復帰を圧迫するために残った宥和策をすべて出した。医療現場正常化のための苦肉の策だ。一部では政府の措置が「原則から後退した免罪符を与えること」と指摘する。このような批判にもかかわらず、政府は専攻医寄りの対応を打ち出したが、復帰につながるかは不透明だ。

８日、政府が発表した宥和策は２通りだ。まず、復帰しなかった専攻医にも免許停止のような行政処分は行わない。

次に修練規定の特例適用だ。現在の規定通りなら、離脱専攻医は１年内に同じ専攻、同じ年次に復帰できない。だが、この規定を適用しないということだ。専門の試験を一度さらに導入する方案も推進する。保健福祉部の鄭允淳（チョン・ユンスン）保健医療政策室長は「必要なら追加試験（７月）を受けることができるように検討する」と述べた。「１月受験、追加修練」という極端な宥和策も検討する。


政府はこの日の会見で、過去のように「厳正対応」「不法行為」のような強い用語は全く用いなかった。「大韓民国の大事な財源」「大韓民国医療の未来を導いていく主役」と専攻医を持ち上げた。「これ以上躊躇（ちゅうちょ）せずに決断してほしい」と泣きついたようなものだ。続いて週当たりの勤務時間の縮小（８０→６０時間）、連続勤務の上限縮小（３６時間→２４～３０時間）施行方針を強調した。

同時に復帰デッドラインを今月１５日で釘をさした。９月の追加募集に必要な病院別欠員を１５日に確定して２２～３１日募集に入る。２２１カ所の修練病院長は専攻医に一人ひとり連絡して辞職の有無を確認するか一部病院のように内容証明を送り、そのどちらでもない場合には一括辞職処理しなければならない。保健福祉部関係者は「欠員を確定しない病院は今の状況で問題ないという意味とみなして専攻医ＴＯ（定員）を縮小する方針」としながら「これ以上の延長はない」と話した。

専攻医は依然として冷笑的だ。京畿道（キョンギド）のある大学病院辞職専攻医Ａさんは「政府の対策が出てきても、みんな必須医療科には絶対に復帰しない」としながら「専攻医なしでは回らないような医療システムでは政府が脅しても復帰する考えはない」と話した。延世（ヨンセ）大医大のアン・ソッキュン教授非常対策委員長は「未復帰専攻医に行政処分しないことは（政府が）半歩前進したものと考える」としつつも「全体的に専攻医からの信頼を得るにはまだ足りない」と話した。「ビッグ５」病院職務教授Ｂさんは「今回の対策で病院や科を移して復帰する専攻医が一部いるだろう」としながらも「ほとんどは必須分野よりも人気の科に行くようだ。そしてそれほど動きそうではない」と話した。

今回復帰しない専攻医は相当な「時間損失」を甘受しなければならない。２年目専攻医が２月に離脱したとすれば１年目の修練期間も認定されない。保健福祉部関係者は「過去１年の修練を修了するには２月２９日まで修練しなければならなかったのにそうしなかった。このために来年３月公衆保険医（３６カ月）に入隊しなければならず、服務後に専攻医になるためには１年目から新たに始めなければならない」と話した。

一部では２０２０年医師ストライキの時の行政処分を取り消し、そして今回も医者に押されたと指摘する。韓国患者団体連合会は８日の声明で「医師の集団行動に免罪符を与える悪い先例を残すという点で憂慮されるが、患者被害を最小化するために必要な措置だったかもしれない」と評価した。

だが、大枠では避けられない選択だったという評価だ。曺圭鴻（チョ・ギュホン）保健福祉部長官は「重症・急病患者の診療空白を最小化しようとする趣旨であり、公益に符合するという判断により苦心の末に決断した」と話した。

専門家は「これからは専攻医が決断する時期」と話す。延世大保健行政学部のチョン・ヒョンソン教授は「政府が事実上最後のカードを提示し、ボールは専攻医の手に移った」としながら「まず病院に戻った後、医療改革特別委などに参加して自分たちが希望する政策的代案を提示しなければならないだろう」と話した。保健福祉部は「専攻医が医療改革特別委に参加して２０２６学年度以降の医師人員推計方案に対してより客観的かつ透明に議論」することを提案した。韓国稀貴難治性疾患連合のキム・ジェハク会長は「専攻医が患者のために復帰決定を早期に下すよう願うばかり」と話した。