カンジキウサギ。[中央DB]
7日、疾病管理庁や京畿道などによると、6日水原市のある病院に入院した20代男性Aさんに対する病院の野兎菌培養検査で陽性反応が出てきたという。Aさんは先月24日、自宅近所の牛肉ホルモン専門店で生レバーを食べて3日後に腹痛や発熱症状を訴え、同月29日に入院した。診断名は結腸(大腸)炎だったが、血液を通した野兎菌検査に陽性反応を示して保健当局に報告された。Aさんは発熱などの症状が収まり、入院4日目である今月2日に退院した。
水原市関係者は「管内の病院に入院した患者のうち野兎病検査で陽性反応が出たという報告を受けて後続措置を取っている」とし「野兎病はヒトとヒトとの間で感染は起きないことが報告されているが患者の体液などへの接触に注意しなければならない。感染が疑われる患者は現在退院した状態で正確な検査結果を待っている」と話した。
野兎病は、病原体である野兎病菌(Francisella tularensis)という菌が野ウサギやリス、タヌキなどのげっ歯類や犬・猫の血を吸ったダニ、蚊などを通してヒトにうつる感染病だ。病原菌を保有している野生動物あるいはその死体を触ったり、生で摂取したりした場合に感染することはあるが、飛沫(エアロゾル)状態で肺に感染する場合には致命率が60%に達するため、2006年第4級法定感染病に指定されてから4年後の2010年に第1級法定感染病および生物テロ感染病と指定された。
韓国での感染報告は1996年12月慶尚北道浦項で野生ウサギを料理している間に感染した事例が唯一だ。保健当局によると、世界的では年間50万件発生していることが報告され、米国では1950年代前に毎年1000件が発生していた。2019年スウェーデンではゴルフ場周辺で蚊を媒介して約979人が感染した事例もあった。ヒト間の伝播事例が報告されたことは今のところない。
翰林(ハンリム)大江南(カンナム)聖心(ソンシム)病院感染内科のイ・ジェガプ教授は「肺炎や血液媒介で感染する場合、30~60%の致命率を示すが、ダニに噛まれて皮膚から感染する場合など全体的な致命率は8%水準」としながら「粉末として野兎菌を散布し、これをヒトが吸入することになれば生物テロ武器になるため、第1群法定感染病に指定されている」と説明した。
今回の報告を受けた疾病管理庁は6日、京畿道保健環境研究院に血清検査を依頼した。最終的な判断には少なくとも5日を要するという。疾病管理庁関係者は「今回の疑い事例を除き、2021年から今年上半期まで計6件、野兎病が疑われる報告を受けたが、最終検査の結果、すべて陰性だった」とし「万が一陽性が確認された場合、疫学調査を通じて感染ルートを把握する」と説明した。
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