◇「猫の首に鈴をつける」難題
日本が打ち上げた「高齢者基準70歳」引き上げ論争が韓国にも波紋を広げている。世界で最も速く高齢社会に進む状況で高齢者基準の上方修正、定年延長は避けて通れない問題だからだ。
日本財界を代表する経団連(経済団体連合会)の十倉雅和会長は23日、日本政府の経済財政諮問会議で「高齢者の定義を(現在の65歳から)5歳延ばすことを検討すべき」と提案した。高齢者の基準を引き上げると、65歳以上のために作った各種社会保障制度(基礎年金、介護保険など)適用基準も70歳以上に引き上げて財政負担を減らすことができる。
高齢者の基準上方修正は定年延長と両輪になっている。日本はすでに2021年から企業に70歳定年を勧告してきた。多くの日本企業で65歳を越えても働く人口が増える傾向にある。スペインやドイツもそれぞれ2027年と2029年を目標に定年を65歳から67歳に延ばす計画だ。米国・英国は最初から定年というものを置いていない。年齢にともなう差別になる場合があるという理由からだ。
韓国で高齢者の基準は65歳だ。1981年敬老優待という趣旨で制定した老人福祉法を根拠としているからだ。65歳以上から国民年金・基礎年金・医療給与はもちろん、地下鉄無賃乗車、通信費割引など各種福祉の恩恵を受けることができる。
老人福祉法を制定した当時、高齢者の比重は全体人口の3.8%、期待寿命は66歳だった。現在は高齢者の比重が全体人口の20%に迫っている。期待寿命は82.7歳だ。定年はもちろん、制定から43年経った高齢者基準も引き上げるべきだという指摘が出ている理由だ。低出産高齢社会委員会が最近成人男女1535人に対して質問調査を行った結果、66.1%が高齢者基準(65歳)の引き上げに同意した。
各種福祉恩恵を受けている高齢者基準は65歳だが、職場における勤労基準法上定年は60歳だ。2016年58歳から60歳に引き上げられた後、変化がない。だが、各種統計が働ける年齢を引き上げなければ「持続不可能な社会」に入るという警告を再度鳴らしている。最近、韓国統計庁が発表した将来の人口推計(2022~2072年)によると、全体人口で65歳以上の高齢者人口が占める比率が2022年17.4%から2025年20%→2036年30%→2072年47.7%に増える。50年後になれば人口の半分が高齢者になるということだ。反面、統計上「働き盛りの年齢」に分類される生産可能人口(15~64歳)の比率は2022年71.1%から2072年45.8%に縮小する。
事実、この問題は重要だが、解くのが難しい高次方程式だ。高齢者貧困率(39.3%)が経済協力開発機構(OECD)加盟国1位という状況で、高齢者の基準を引き上げれば反発を呼ぶのは必至だ。定年を延長する場合、青年の雇用が減り「世代葛藤」の火種になりかねない。
韓国政府は今年末までに「年齢制改編案」を用意する計画だ。だが、形だけのもので終わる可能性がある。これまで数回推進してうやむやになった前例があるからだ。慶煕(キョンヒ)大学老人学科のキム・ヨンソン教授は「政府が『猫の首に鈴をつける』とみなすのではなく、定年延長、高齢者基準の上方修正問題も年金改革問題と同じくらい重要な議題として扱わなければならない」と話した。
企業の懸念払拭のためにも努力しなければならない。定年を延長する場合、企業の負担が大きくなるが、これは韓国企業の賃金体系がほぼ号俸制による年功序列型で組まれているからだ。
梨花(イファ)女子大学社会福祉学科のチョン・スンドゥル教授は「定年を延ばすには現在の賃金体系を業務と生産性によって給与が異なる職務給制度に変えるなど柔軟な勤務体系に改編する作業を同時に推進しなければならない」と話した。
日本が打ち上げた「高齢者基準70歳」引き上げ論争が韓国にも波紋を広げている。世界で最も速く高齢社会に進む状況で高齢者基準の上方修正、定年延長は避けて通れない問題だからだ。
日本財界を代表する経団連(経済団体連合会)の十倉雅和会長は23日、日本政府の経済財政諮問会議で「高齢者の定義を(現在の65歳から)5歳延ばすことを検討すべき」と提案した。高齢者の基準を引き上げると、65歳以上のために作った各種社会保障制度(基礎年金、介護保険など)適用基準も70歳以上に引き上げて財政負担を減らすことができる。
高齢者の基準上方修正は定年延長と両輪になっている。日本はすでに2021年から企業に70歳定年を勧告してきた。多くの日本企業で65歳を越えても働く人口が増える傾向にある。スペインやドイツもそれぞれ2027年と2029年を目標に定年を65歳から67歳に延ばす計画だ。米国・英国は最初から定年というものを置いていない。年齢にともなう差別になる場合があるという理由からだ。
韓国で高齢者の基準は65歳だ。1981年敬老優待という趣旨で制定した老人福祉法を根拠としているからだ。65歳以上から国民年金・基礎年金・医療給与はもちろん、地下鉄無賃乗車、通信費割引など各種福祉の恩恵を受けることができる。
老人福祉法を制定した当時、高齢者の比重は全体人口の3.8%、期待寿命は66歳だった。現在は高齢者の比重が全体人口の20%に迫っている。期待寿命は82.7歳だ。定年はもちろん、制定から43年経った高齢者基準も引き上げるべきだという指摘が出ている理由だ。低出産高齢社会委員会が最近成人男女1535人に対して質問調査を行った結果、66.1%が高齢者基準(65歳)の引き上げに同意した。
各種福祉恩恵を受けている高齢者基準は65歳だが、職場における勤労基準法上定年は60歳だ。2016年58歳から60歳に引き上げられた後、変化がない。だが、各種統計が働ける年齢を引き上げなければ「持続不可能な社会」に入るという警告を再度鳴らしている。最近、韓国統計庁が発表した将来の人口推計(2022~2072年)によると、全体人口で65歳以上の高齢者人口が占める比率が2022年17.4%から2025年20%→2036年30%→2072年47.7%に増える。50年後になれば人口の半分が高齢者になるということだ。反面、統計上「働き盛りの年齢」に分類される生産可能人口(15~64歳)の比率は2022年71.1%から2072年45.8%に縮小する。
事実、この問題は重要だが、解くのが難しい高次方程式だ。高齢者貧困率(39.3%)が経済協力開発機構(OECD)加盟国1位という状況で、高齢者の基準を引き上げれば反発を呼ぶのは必至だ。定年を延長する場合、青年の雇用が減り「世代葛藤」の火種になりかねない。
韓国政府は今年末までに「年齢制改編案」を用意する計画だ。だが、形だけのもので終わる可能性がある。これまで数回推進してうやむやになった前例があるからだ。慶煕(キョンヒ)大学老人学科のキム・ヨンソン教授は「政府が『猫の首に鈴をつける』とみなすのではなく、定年延長、高齢者基準の上方修正問題も年金改革問題と同じくらい重要な議題として扱わなければならない」と話した。
企業の懸念払拭のためにも努力しなければならない。定年を延長する場合、企業の負担が大きくなるが、これは韓国企業の賃金体系がほぼ号俸制による年功序列型で組まれているからだ。
梨花(イファ)女子大学社会福祉学科のチョン・スンドゥル教授は「定年を延ばすには現在の賃金体系を業務と生産性によって給与が異なる職務給制度に変えるなど柔軟な勤務体系に改編する作業を同時に推進しなければならない」と話した。
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