19日の日曜日、イランのエブラヒム・ライシ大統領を乗せたヘリコプターがイラン東アゼルバイジャン州の山林保護区域に墜落した。この事故でライシ大統領のほか、同乗者のアブドラヒアン外相、ラフマティ東アゼルバイジャン州知事、ハーシェムタブリーズ金曜礼拝導師が命を失った。ライシ大統領はアゼルバイジャンのアリエフ大統領と共に両国の国境の川に建設された水力ダムの竣工式を終えて帰る途中だった。
イランは5日間の哀悼期間を宣言して「殉教者」葬儀をした。事故の原因はまだ調査中だが、イランメディアは現在までライシ大統領ら搭乗者7人全員が死亡した事故で犯罪行為の証拠は見つかっていないと報じた。予備調査の報告書によると、ヘリコプターが「高い地域でぶつかった後に火が出た」という。ヘリコプターの残骸からは銃で撃たれた痕跡は見つからなかった。ただ、調査を完全に終えたのではなく綿密な調査を進行中だと、イラン当局は明らかにした。仮に不純な外部勢力が介入したとすれば決して黙過しないという強い意志を表明した。
事故にあったヘリコプターは1969年に初飛行をした米国産のベル212だ。イランが国際社会の制裁のため部品需給が円滑でない状況の中でも使用してきた老朽機種だ。大統領のヘリコプターであるため管理を徹底にしてきたというが、現代式ヘリコプターとは違って電子装置は十分でない。操縦士が肉眼で着陸しなければならない困難があり、悪天候の中で被害にあったという推論が最も有力だ。
◆「天気はよく、霧はなかった」という主張も
ライシ大統領の突然の死でさまざまな陰謀説が出てきた。まず、事故当時に大統領ヘリコプターに随行した2機のヘリコプターは異常なく目的地に着陸したが、なぜ最も優れている大統領のヘリコプターだけが事故にあったかという疑問が陰謀説の発端となった。当時、3番目のヘリコプターに乗っていた大統領室長エスマイリー氏の言葉は、悪天候だったという報道内容とは異なる。
彼は21日、イランニュースネットワークのインタビューで、出発する当時の天気は良く、地上には霧があったが、ヘリコプターが飛行した上空には霧がなかったと話した。ただ、山の絶壁付近に小さな雲が見えると、大統領のヘリコプター操縦士が雲の上を飛行するよう指示したという。そのように雲の上に上昇して30秒間ほど前進したところ、大統領を乗せたヘリコプターが視野から消えたという事実に少し遅れて気づいたと明らかにした。エスマイリー氏は高度上昇が難しいとは感じられず、乱気流もなかったと伝えた。上昇後の視野にも下側にも雲が一つもなかったという。
◆電子装置のかく乱で事故誘発?
実際、陰謀説は今回のインタビューの前にも出ていた。まず外部勢力が作動したという説だ。最も巨視的な見方は、親ロシア国家の指導者や政府を転覆させるプログラムが作動したという主張だ。今月に入って7日にはサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子暗殺陰謀説フェイクニュース、14日にはトルコのクーデター陰謀説、15日にはスロバキア首相暗殺未遂、16日にはセルビア大統領暗殺脅迫犯逮捕、17日にはブルキナファソでクーデターの動き、18日にはコンゴ民主共和国でクーデターの動きがあった。陰謀説信奉者は19日のイラン大統領の死亡までロシアと近い人物や国家が攻撃を受けたという点を強調する。
では、誰がしたというのか。陰謀説信奉者は反ロシア勢力、具体的には米国やイスラエルを疑う。特にイスラエルが言及されている。過去にイスラエルは暗殺をするたびに自国を攻撃する国の指導者は自ら死刑宣告を出すことだと話してきた。ライシ大統領は先月13日のイランによるイスラエル本土攻撃決定に責任があるため暗殺されたということだ。
さらに事故が発生した地域はアゼルバイジャンと隣接したところであり、疑惑はさらに強まる。アゼルバイジャンはイスラエルと親しくしている。好事家は、スロバキアのロベルト・フィツォ首相がアゼルバイジャン大統領に会った後に暗殺されるところだったが、ライシ大統領もアゼルバイジャン大統領に会った直後に命を失ったのは怪しいと疑っている。
では、どのように攻撃したというのか。イスラエルはシリアのイラン領事館を攻撃する際、シリアのミサイル防衛システムをかく乱した。このためアゼルバイジャンと密接な軍事協力関係にあるイスラエルがアゼルバイジャンでイラン大統領のヘリコプターの電子装置をかく乱し、事故を誘発したと推測する。
イラン内のアゼルバイジャン分離独立勢力がイスラエルの話を受けて攻撃した可能性にも言及されている。イラン国民の約16%は国境が接するアゼルバイジャンと同じ言葉を使う人たちだ。この人たちはイランでアゼルバイジャンと近い4つの州に集中的に居住する。現在イランの最高指導者ハメネイ師もアゼルバイジャン出身だ。このような陰謀説に対し、イスラエル政府関係者はイスラエルと今回のヘリコプター墜落はいかなる関係もないと否認した。この関係者は実権がないナンバー2をあえて攻撃する必要があるのかと反問した。
【コラム】悪天候か、暗殺か…陰謀説に揺れるイラン政治(2)
イランは5日間の哀悼期間を宣言して「殉教者」葬儀をした。事故の原因はまだ調査中だが、イランメディアは現在までライシ大統領ら搭乗者7人全員が死亡した事故で犯罪行為の証拠は見つかっていないと報じた。予備調査の報告書によると、ヘリコプターが「高い地域でぶつかった後に火が出た」という。ヘリコプターの残骸からは銃で撃たれた痕跡は見つからなかった。ただ、調査を完全に終えたのではなく綿密な調査を進行中だと、イラン当局は明らかにした。仮に不純な外部勢力が介入したとすれば決して黙過しないという強い意志を表明した。
事故にあったヘリコプターは1969年に初飛行をした米国産のベル212だ。イランが国際社会の制裁のため部品需給が円滑でない状況の中でも使用してきた老朽機種だ。大統領のヘリコプターであるため管理を徹底にしてきたというが、現代式ヘリコプターとは違って電子装置は十分でない。操縦士が肉眼で着陸しなければならない困難があり、悪天候の中で被害にあったという推論が最も有力だ。
◆「天気はよく、霧はなかった」という主張も
ライシ大統領の突然の死でさまざまな陰謀説が出てきた。まず、事故当時に大統領ヘリコプターに随行した2機のヘリコプターは異常なく目的地に着陸したが、なぜ最も優れている大統領のヘリコプターだけが事故にあったかという疑問が陰謀説の発端となった。当時、3番目のヘリコプターに乗っていた大統領室長エスマイリー氏の言葉は、悪天候だったという報道内容とは異なる。
彼は21日、イランニュースネットワークのインタビューで、出発する当時の天気は良く、地上には霧があったが、ヘリコプターが飛行した上空には霧がなかったと話した。ただ、山の絶壁付近に小さな雲が見えると、大統領のヘリコプター操縦士が雲の上を飛行するよう指示したという。そのように雲の上に上昇して30秒間ほど前進したところ、大統領を乗せたヘリコプターが視野から消えたという事実に少し遅れて気づいたと明らかにした。エスマイリー氏は高度上昇が難しいとは感じられず、乱気流もなかったと伝えた。上昇後の視野にも下側にも雲が一つもなかったという。
◆電子装置のかく乱で事故誘発?
実際、陰謀説は今回のインタビューの前にも出ていた。まず外部勢力が作動したという説だ。最も巨視的な見方は、親ロシア国家の指導者や政府を転覆させるプログラムが作動したという主張だ。今月に入って7日にはサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子暗殺陰謀説フェイクニュース、14日にはトルコのクーデター陰謀説、15日にはスロバキア首相暗殺未遂、16日にはセルビア大統領暗殺脅迫犯逮捕、17日にはブルキナファソでクーデターの動き、18日にはコンゴ民主共和国でクーデターの動きがあった。陰謀説信奉者は19日のイラン大統領の死亡までロシアと近い人物や国家が攻撃を受けたという点を強調する。
では、誰がしたというのか。陰謀説信奉者は反ロシア勢力、具体的には米国やイスラエルを疑う。特にイスラエルが言及されている。過去にイスラエルは暗殺をするたびに自国を攻撃する国の指導者は自ら死刑宣告を出すことだと話してきた。ライシ大統領は先月13日のイランによるイスラエル本土攻撃決定に責任があるため暗殺されたということだ。
さらに事故が発生した地域はアゼルバイジャンと隣接したところであり、疑惑はさらに強まる。アゼルバイジャンはイスラエルと親しくしている。好事家は、スロバキアのロベルト・フィツォ首相がアゼルバイジャン大統領に会った後に暗殺されるところだったが、ライシ大統領もアゼルバイジャン大統領に会った直後に命を失ったのは怪しいと疑っている。
では、どのように攻撃したというのか。イスラエルはシリアのイラン領事館を攻撃する際、シリアのミサイル防衛システムをかく乱した。このためアゼルバイジャンと密接な軍事協力関係にあるイスラエルがアゼルバイジャンでイラン大統領のヘリコプターの電子装置をかく乱し、事故を誘発したと推測する。
イラン内のアゼルバイジャン分離独立勢力がイスラエルの話を受けて攻撃した可能性にも言及されている。イラン国民の約16%は国境が接するアゼルバイジャンと同じ言葉を使う人たちだ。この人たちはイランでアゼルバイジャンと近い4つの州に集中的に居住する。現在イランの最高指導者ハメネイ師もアゼルバイジャン出身だ。このような陰謀説に対し、イスラエル政府関係者はイスラエルと今回のヘリコプター墜落はいかなる関係もないと否認した。この関係者は実権がないナンバー2をあえて攻撃する必要があるのかと反問した。
【コラム】悪天候か、暗殺か…陰謀説に揺れるイラン政治(2)
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