あす午前に予定された尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領の記者会見に対する国民の期待は少なくない。実際、尹大統領は昨日、大統領室民情首席秘書官に金周賢（キム・ジュヒョン）元法務次官を任命しながら「司法リスクがあるなら私が解決するべきであり、民情首席秘書官がすることではない」と話した。記者会見で金建希（キム・ゴンヒ）夫人の疑惑などについて国民に詳細に説明するという意味と読み取ることができる。「大統領が『国民が気になっていることを中心に準備しよう』と述べた」という大統領室の発表もあった。かなり遅くなったが幸いだ。ただ、大統領の詳細な説明が冗長な一方的主張に流れてはいけない。先月１日の医療問題関連の談話がそうだった。似た印象を与えれば今回の会見も失敗となる。

今回の会見の成敗は結局、尹大統領の共感能力と率直な態度にかかっている。金氏の疑惑について「捜査中なので話しにくい」とか「法理的に合わない主張」という論理を強調するよりも、普通の国民が考える不公正と怒りをよく把握して共感に向かう答弁を出すのが核心だ。２月のＫＢＳ（韓国放送公社）との特別対談のように「大統領や大統領夫人はどこの誰であっても冷淡に接するのは本当に難しい」というような表現で適当に済ませることではない。総選挙で冷ややかな民心を肌で接した鄭鎮碩（チョン・ジンソク）新任秘書室長がどれほど大統領に直言して民心をありのままに伝達したかが分かる部分でもある。

故チェ・スグン上等兵特検要求についても同じだ。「高位公職者犯罪捜査処が捜査しているので結果を待ってみよう」という言葉よりは「１０年目に苦労して得た尊い一人息子の海兵の死が悔しい死にならないようにしてほしいというチェ上等兵の親の切実な声に耳を傾ける」などという、共感の言葉が優先されなければいけない。大韓民国の将兵は我々みんなの息子ではないのか。さらに海兵隊捜査団長に経緯はともかく集団抗命首魁罪という大層な罪目を適用した過程、理由についても率直に明らかにするのがよい。


本当の共感は相手の立場を理解するところから出発する。味方、陣営、家族の声ばかりを前に出せば、誰からも共感を得ることはできない。自身の共感能力を国民に示す最後の機会と考えて大統領が会見を行うことを望む。残りの任期３年は９日の会見にかかっているという切迫した心情で臨んでほしい。

大統領の態度も変数になるはずだ。生放送で中継される会見で国民は大統領の表情、話し方、ジェスチャー一つ一つに目を向ける。記者や国民に教え諭すような印象を与えれば内容がいくら良くても効果はなくなる。よく聞いて、謙虚に、誠実に答弁すれば、国民は大統領の考えと誠意を理解すると信じる。また、勇気を持って謝罪すべきことは謝罪すれば、今後の政局運営にむしろプラスに作用する契機になるはずだ。