米国をはじめとする国際社会が自制を呼びかけているにもかかわらず、イスラエルのネタニヤフ首相がハマスに対する強硬基調に固執するのは自国内の政治的状況のためだ。ネタニヤフ首相は２０２２年末、いわゆる「虹色連立政権」を土台に３回目の執権に成功したが、最高裁を無力化する内容の司法府改編を強引に進める過程で世論の激しい反発に直面した。２０２３年１月には市民数十万人が街頭に出て首相退陣デモを展開したりもした。

このような状況で昨年１０月７日ハマスの奇襲攻撃により、現在までのところ１４００人余りの犠牲者が出てくるなど予想できない被害によって首相退陣世論が再点火すると、「ハマス殲滅（せんめつ）」を掲げて内部の不満世論を抑えようとしているのではないかという言葉も出ている。

米国のバイデン大統領の苦心も深まっている。バイデン大統領は開戦初期から引き続き「自衛権擁護」などの論理でイスラエルに力を加えてきた。だが、最近米国大学街を中心に反戦デモが拡散して、自分勝手なネタニヤフ氏の行動によって忍耐心が底をついた。先月１日、米国市民を含む７人が乗った国際救護団体の車両に対するイスラエル国防軍の誤爆事件以降、バイデン大統領がネタニヤフ首相に「容認できない。民間人保護のためにすぐにでも措置を取らないなら、イスラエルを積極的に支持してきた米国の政策に変化があるだろう」と述べたのは最後通告性の警告と解釈された。


今回の攻勢は米国とイスラエル首脳間の亀裂を見せていると７日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル（ＷＳＪ）が伝えた。バイデン大統領が６日ネタニヤフ首相との電話会談でガザ地区ラファの地上戦に反対するという立場を繰り返し明らかにしてわずか数時間後に、イスラエル国防軍がラファ東部を空襲したという。

大統領選挙を控えて民主党の伝統的支持層である青年層とムスリムの民心離反が加速化しているのも負担だ。米政府が先週イスラエルに派遣しようとしていた米国産弾薬船籍を保留したのもこのような雰囲気と無関係ではない。