イスラエル政府がアラブ圏メディア、アルジャジーラ放送の自国内の取材・報道活動を停止することにした。この放送局がガザ地区戦争の報道を偏向的かつ不利に行ったという理由を挙げながらだ。

イスラエルのネタニヤフ首相は５日（現地時間）、Ｘ（旧ツイッター）に「扇動メディアのアルジャジーラがイスラエルで閉鎖される」と伝えた。この日、ネタニヤフ首相が開いた閣僚会議では、全員一致でアルジャジーラ事務所の閉鎖および取材報道活動の停止が決定された。

続いてイスラエル通信相がアルジャジーラ現地事務所の閉鎖と装備押収、アルジャジーラチャンネルの遮断などを即刻施行するという行政命令に署名した。アルジャジーラは直ちに反発し、法的対応を予告した。


アルジャジーラのイスラエル・パレスチナ支局長オマリ氏は声明で「今回の措置は極めて危険なものであり、政治的な動機によるものだ」とし「法務チームがイスラエル政府の措置に対して訴訟を準備してきた」と述べた。

イスラエルのクネセト（議会）は先月１日、国家安全保障に脅威となる外国メディアの取材・報道を政府が強制的に禁止することを可能にした「アルジャジーラ法」を可決した。この法を根拠にイスラエルの首相、通信相らは国家安全保障に実質的に悪影響を及ぼすと判断される場合、外国放送局の放送を停止できるようにした。現地支局の閉鎖と共にインターネットサーバー・ウェブサイトへの接続遮断も命令できる。

この法はアルジャジーラが昨年１０月７日にハマスの攻撃で始まったガザ地区戦争でイスラエルに不利な報道をしてきたという判断に基づいて用意された。カタール王室の支援を通じて運営中の中東最大ニュースネットワークのアルジャジーラ放送はその間、アラブ圏の世論と主張を代弁してきたという評価を受けている。

◆ネタニヤフ首相「終戦ない」　ハマス「包括的休戦望む」

こうした中、イスラエルがガザ地区停戦交渉の核心である終戦とイスラエル軍の撤収は不可能だという従来の立場を繰り返した。ネタニヤフ首相はこの日の映像メッセージで「人質解放で戦闘をしばらく停止することは可能」としながらも「いかなる場合にも軍事作戦の終了とガザ地区からの軍撤収要求に応じることはできない」と述べた。

続いて「ハマスの要求に同意することは降伏を意味するだけに受け入れられない」とし「我々はすべての戦争目標を達成するまで戦う」と強調した。

一方、パレスチナ武装組織ハマスの政治指導者イスマイル・ハニヤ氏はこの日の声明で「戦争の終了とイスラエル軍のガザ地区撤収を含む包括的な休戦を望んでいる」と述べた。