１－３月期の対中輸出額が対米輸出額に逆転された中で、韓国企業の対中輸出戦略が変わらなければならないという診断が出ている。中国経済が高度成長する時は輸出特需を享受したが、いまや中国は中低速成長時代に入り込んでいるからだ。高級消費と設備投資、高齢化をキーワードに新たな需要を探しに出なければならないと指摘される。

韓国貿易協会が２９日に明らかにしたところによると、１－３月期の対米輸出額は３１０億ドルで対中輸出額の３０９億ドルより１億ドルほど多かった。対米輸出額が対中輸出額を上回ったのは２００３年４－６月期以降で初めてだ。昨年の対中輸出額が１２４８億ドルと前年より１９．９％減少した中で、今年１－３月期からは対米輸出額より少なくなる傾向に入り込んだのだ。

それでも企業は中国を依然として魅力的な市場とみて成長機会を求めている。貿易協会が１月に対中輸出企業５７０社を対象にアンケート調査を実施したところ、回答企業の８６．２％は今後、中国市場の需要回復に対する期待感を基に中国事業を維持したり拡大すると答えた。必要な支援を尋ねると中国輸出市場に積極的な消費財企業は変化した中国の消費者研究が必要だという回答が多かったという。


産業界は対中輸出拡大に向けては中国政府の政策変化、人口構造と購買力変化傾向をもう少し深く分析するべきとみる。まず中国政府の消費振興策に注目している。中国政府はコロナ禍後の経済活動再開後の経済回復遅延の原因を内需不振と診断し、自動車や家電などを対象に、新しい製品への買い換え時に補助金を提供する「以旧換新」政策を行っている。

韓国金融研究院のチ・マンス選任研究委員は「政府政策により中国の人たちが消費を増やすため高級消費財など新たな需要ができる可能性がある。韓国のファッション・ビューティー企業はもう中国で過去のような画一的な産業戦略ではなくブランド別のアプローチ方法を探さなければならないだろう」と助言した。

イーランドグループは中国で高級化ブランディングに成功した事例だ。韓国では「ＭＩＸＸＯ」「ロエム」などコストパフォーマンスを掲げるが、中国では百貨店水準の女性服ブランド「イーランド」で年間売り上げ２０００億ウォンを達成した。中国のイーランドショップは４００店を超える。イーランドグループ関係者は「高級アパレルブランドで主に使う高級生地とデザイン、縫製方式を選んで中国内の主要百貨店を中心に営業した戦略が功を奏した」と話した。

中国が大々的な設備投資に出るのも機会だ。中国政府は年間設備投資市場規模が５兆元（約１１０兆円）に達すると予想している。人工知能（ＡＩ）を製造業に組み合わせたスマート工場投資規模も大きくなっているところだ。中国のスマート工場市場は２０２０年から毎年１０％台の成長率を記録した。スマート製造革新協会のキム・ムンソン事務局長は「投資規模が大きく中国内企業だけではこなしにくいだろう。ベトナムなど東南アジアに進出している韓国のロボットやスマートファクトリー企業は注視すべき」と話す。

中国の高齢化にともなう人口構造変化もやはり新しい需要を作るとみられる。中国国家衛生健康委員会によると、昨年の中国の６０歳以上の人口は２億９７００万人で全人口の２１．１％となり、２０３５年には３０％に達する見通しだ。これに伴い、昨年約７兆元の中国のシルバー産業規模は２０３５年には３０兆元まで成長するものとみられる。中国全体の経済は中低速成長中だが、シルバー産業は高成長中という意味だ。

これを注視する韓国の医療機器企業は中国市場進出を拡大している。韓国医療機器産業協会によると、対中医療機器輸出１位の品目は歯科用インプラント固定剤だ。協会関係者は「オステムなど韓国企業が中国の医師らを対象にインプラント施術を教育してマーケティング効果を上げており、最近は韓国コンテンツの影響でピラー・レーザー治療器やコンタクトレンズも浮上する。成長を見れば中国は依然として簡単に放棄することはできない魅力的な市場」と話す。中国の医療機器市場はこの５年間に年平均成長率約１２％を記録した。