イランの国旗
◇米紙「イスラエル、ミサイルでイランに警告」
20日のニューヨーク・タイムズとABCなどによると、イスラエルが今回空爆したのはイラン中部イスファハン州ナタンズ近郊の軍事基地だ。ABCは米政府高位関係者の話として「イスラエルは戦闘機を動員してナタンズ核施設保護システムの一部である防空レーダー基地に向けミサイル3発を発射した。打撃には成功したが、イスラエル軍の目標は核施設そのものではなく、相手の貴重な資産を打撃できるというメッセージを与えようとすること」と伝えた。
ナタンズにはイランのウラン濃縮施設と核燃料製造工場などがある。西側メディアとイランメディアによるとこれらの施設は被害を受けていないとみられる。
ニューヨーク・タイムズもイランと西側政府関係者の発言、衛星写真分析などを通じイスラエルの武器がイスファハン第8シェカリ空軍基地のS300対空システムレーダーを打撃したと報道した。
同紙は「空軍基地の他の区域と近隣の空港などには被害を与えず対空防衛システムだけ精密に打撃した。イスラエルは『イランの対空防衛システムに探知されずにこのシステムをまひさせられる』というメッセージを伝えるために計算された攻撃をした」と分析した。イスラエルが今回の攻撃にどのような武器を動員したのかははっきりしないが、発射された最小1基以上のミサイルにはイランのレーダーを回避できる技術が備わっているものとされる。
BBCは民間衛星企業が19日午前に撮影したイスファハン軍基地飛行場の合成開口レーダー(SAR)衛星イメージを15日に撮影した写真と比較した結果、ここに設置されたS300防空システムのレーダーと推定される装置が毀損された残骸が確認されたと報道した。
◇イラン「被害ない、窓割れた程度」
これに対しイランはイスラエルの攻撃時に外部からイラン領空に侵入したミサイルやドローン、戦闘機も感知していないという立場だ。また、イラン領内から発射された小型爆発ドローンをイスファハン地域上空で撃墜したと明らかにした。
イラン当局は「イスラエルのミサイル攻撃があった」という米ABCニュースの報道にすぐ違うと反論した。イランのファルス通信はイスファハン基地に設置された軍用レーダーなどが攻撃標的のひとつだったが、唯一の被害はいくつかの事務室の建物のガラス窓が割れたことだけだと主張した。イランのアブドラヒアン外相はNBCニュースとのインタビューで「今回の件は空爆ではなかった。ドローンではなく子どもたちが遊ぶおもちゃに近かった」と話した。
イラン当局は今回の攻撃手段がミサイルではなく回転翼が4つあるクワッドロータードローンだと主張した。この数年間にイスラエルが行ったと推定される軍事作戦と似ているという根拠を挙げながらだ。
2022年5月に数機のドローンがテヘラン郊外のパルチン軍事基地を攻撃しエンジニア1人が死亡した。同年2月にもイラン西部ケルマンシャー州の軍用ドローン生産施設にクワッドローター機6機が侵入して爆発した。
しかしイランの主張通りのドローン攻撃があったとすれば、これはイラン側にさらに脅威になるかもしれないと専門家らは指摘する。これと関連し、韓国科学技術院(KAIST)国家未来戦略技術政策研究所のチョ・サングン教授は「航続距離が短いクワッドローター機を操縦するには標的の近くからレーザー標的指示機で終末段階を誘導しなければならない。これはイスラエルの内部同調者もしくは要員がイラン領内に浸透していたという意味になるだろう」と指摘した。
ジェットエンジンを装備し航続距離が2000キロメートルほどであるシャヘドドローンと違い、小型のクワッドローター機は航続距離が10キロメートル前後にすぎない。
また、S300を含む対空システムは基地内でも通常常に位置を変更するが、これをイスラエルが正確に打撃したということもイスラエルが偵察・監視・情報能力を誇示する次元と解説される。
◇「経済難に戦争は厳しい」おびえるイラン住民
一方、イスラエルの攻撃の報に接したイランの人々は動揺を隠すことができない様子だった。ニューヨーク・タイムズは「イスファハンの住民は外見は普段と変わらない日常を送っているが、報復と再報復が続く状況がイランとイスラエルの全面戦争につながりかねないという恐怖に震えていた」と伝えた。イスファハン出身の技術者は「私と妊娠中の妻は爆発音に相当なストレスを受けた。年間物価上昇率が50%に達する厳しい経済状況の中で戦争まで起きれば私たちの生活環境はどうなるのか」と話した。
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