◇大統領、周辺に耳を傾けて…李代表、「反対」だけを繰り返すべきではない
今後の政局でただ尹大統領を支援するだけではないだろうことから、与党との関係にももっと気を遣わなければならなくなるだろう。
今回の惨敗の一因も大統領と与党間の不協和音だった。今回の選挙結果で野党「共に民主党」李在明(イ・ジェミョン)代表の政治的地位は非常に高まった。自身が党代表として主導した選挙で大勝を収めただけでなく、党内部も自身に対する忠誠に富んだ人物たちで埋めた。以前よりも強力かつ一糸不乱に動く姿で、民主党は力が抜けた大統領に対抗して政治的に大きな影響力を行使することができるようになった。しかし、まさにこのような点のために李代表と民主党も新たな挑戦に直面することになった。
事実、今回の選挙は、民主党をはじめとする野党への積極的支持と信頼に対する表現だったというよりも、尹政府に対する怒り・失望から始まった「無差別審判」だった。今回のような任期中盤の選挙であれば、このような否定的情緒に寄り添って票を得ることができるかもしれないが、大統領選挙での状況は違うものになるだろう。李代表と民主党の執権力、政治力が選択の基準になるはずだ。
もしかしたら今からが「政治家・李在明」の姿を見せることができる機会だ。それ以前は、大統領選候補だったものの議会経験が一度もない政治新人であり、党代表にはなったが補欠選挙を通じて登院した初当選党代表だった。今は選挙を勝利に導いた勝将になったことから、李代表を見つめる視線にも変化があるだろう。
政治指導者に対する評価はやはり政治力を発揮することができるか否かだ。葛藤と異見を妥協と譲歩によって取り込む力が政治力で、そのような姿を見せてこそ政治指導者としての信頼も得られる。
一方、政治的に困難な状況でコア支持層の声援は自身を守るのに役立ったが、今回の勝利を足掛かりに「さらに大きな夢」に向かって進むためには障害物になる可能性もある。強硬闘争ではなく、合理的で実用的な態度が外縁を広げるために役立つ。今回の選挙勝利に陶酔して傲慢な姿を見せたり無責任な反対だけを繰り返したりすることになれば民心はまたすぐ離れる。常に揺れ動いている民心という川の水が今回は尹政府という船を揺さぶったが、次の選挙では民主党という船を引っくり返してしまうかもしれない。実際、4年前の国会議員選挙で180議席を得て大きく勝利した民主党はわずか2年後に実施された大統領選挙で権力を失った。
2年前に尹錫悦を選んだ国民が今回の選挙で民主党を選択したのは、これまでの政治的両極化の中で見えなくなった協治(協力政治)を復元しろという命令だったとみることができる。尹大統領も李代表も、互いの協力なければちゃんとした仕事ができない状況が用意されたのだ。今後、この命令を実践するか否かは2人の指導者にかかっている。そしてそれに対する評価が、今後やってくる新たな政治的競争で国民の選択に影響を及ぼすことになるだろう。
カン・ウォンテク/ソウル大学校政治外交学教授
【コラム】韓国総選挙、尹大統領・最大野党代表が「協力政治をせよ」というのが国民の意思(1)
今後の政局でただ尹大統領を支援するだけではないだろうことから、与党との関係にももっと気を遣わなければならなくなるだろう。
今回の惨敗の一因も大統領と与党間の不協和音だった。今回の選挙結果で野党「共に民主党」李在明(イ・ジェミョン)代表の政治的地位は非常に高まった。自身が党代表として主導した選挙で大勝を収めただけでなく、党内部も自身に対する忠誠に富んだ人物たちで埋めた。以前よりも強力かつ一糸不乱に動く姿で、民主党は力が抜けた大統領に対抗して政治的に大きな影響力を行使することができるようになった。しかし、まさにこのような点のために李代表と民主党も新たな挑戦に直面することになった。
事実、今回の選挙は、民主党をはじめとする野党への積極的支持と信頼に対する表現だったというよりも、尹政府に対する怒り・失望から始まった「無差別審判」だった。今回のような任期中盤の選挙であれば、このような否定的情緒に寄り添って票を得ることができるかもしれないが、大統領選挙での状況は違うものになるだろう。李代表と民主党の執権力、政治力が選択の基準になるはずだ。
もしかしたら今からが「政治家・李在明」の姿を見せることができる機会だ。それ以前は、大統領選候補だったものの議会経験が一度もない政治新人であり、党代表にはなったが補欠選挙を通じて登院した初当選党代表だった。今は選挙を勝利に導いた勝将になったことから、李代表を見つめる視線にも変化があるだろう。
政治指導者に対する評価はやはり政治力を発揮することができるか否かだ。葛藤と異見を妥協と譲歩によって取り込む力が政治力で、そのような姿を見せてこそ政治指導者としての信頼も得られる。
一方、政治的に困難な状況でコア支持層の声援は自身を守るのに役立ったが、今回の勝利を足掛かりに「さらに大きな夢」に向かって進むためには障害物になる可能性もある。強硬闘争ではなく、合理的で実用的な態度が外縁を広げるために役立つ。今回の選挙勝利に陶酔して傲慢な姿を見せたり無責任な反対だけを繰り返したりすることになれば民心はまたすぐ離れる。常に揺れ動いている民心という川の水が今回は尹政府という船を揺さぶったが、次の選挙では民主党という船を引っくり返してしまうかもしれない。実際、4年前の国会議員選挙で180議席を得て大きく勝利した民主党はわずか2年後に実施された大統領選挙で権力を失った。
2年前に尹錫悦を選んだ国民が今回の選挙で民主党を選択したのは、これまでの政治的両極化の中で見えなくなった協治(協力政治)を復元しろという命令だったとみることができる。尹大統領も李代表も、互いの協力なければちゃんとした仕事ができない状況が用意されたのだ。今後、この命令を実践するか否かは2人の指導者にかかっている。そしてそれに対する評価が、今後やってくる新たな政治的競争で国民の選択に影響を及ぼすことになるだろう。
カン・ウォンテク/ソウル大学校政治外交学教授
【コラム】韓国総選挙、尹大統領・最大野党代表が「協力政治をせよ」というのが国民の意思(1)
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