ペルーのディナ・ボルアルテ大統領（６１）が就任から２年も経たないうちに弾劾危機に陥った。大統領の月給だけでは購入できないような高価な時計と腕輪を着用したといういわゆる「ロレックスゲート」のためだ。

１日（現地時間）、ＡＰ通信によると、ペルー野党議員はこの日「道徳的無能」を理由にボルアルテ大統領に対する弾劾案を議会に提出した。検察と警察が先月２９日と３０日にそれぞれボルアルテ大統領の自宅と大統領宮内の官邸・執務室などに家宅捜索に入ってから２日後のことだ。

今回のスキャンダルは先月１４日に「副大統領就任（２０２１年７月）以降、撮影された写真１万枚余りを検討した結果、ボルアルテが取得経緯の不明な高級時計を少なくとも１４本をはめていた。そのうちの１本は１万４０００ドル（約２１２万円）のロレックス」という現地メディアの報道から始まった。その後、ボルアルテ大統領が別のロレックス時計３本と５万ドル相当のカルティエの腕輪を着用しているという報道が続いた。ボルアルテ大統領が着用した貴金属の総価格は５０万ドルと推定された。ワシントン・ポスト（ＷＰ）によると、この期間にボルアルテ氏が受け取った月給は副大統領（社会開発部長官兼任）時代８１３６ドル、大統領就任後４２００ドルだ。


これに対して検警は先月１８日に不法マネービルなどの容疑でボルアルテ大統領に対する捜査に着手し、家宅捜索を通じてロレックス正規商品証明書と高価装身具を確保した。検察は５日にボルアルテ大統領を呼んで調査する予定だ。

ボルアルテ大統領は「ロレックスの時計は１８歳の時から働いてきた私の努力の結実」として反発した。また「私は２０２６年に大統領職から退く」としながら現在は辞任する気持ちはないことを明確にした。ペルーの弾劾手続きは国会総議席数（１３０議席）の４０％（５２人）以上の議員の同意を受けると開始される。弾劾案が可決されるには全体３分の２（８７人）以上の議員の賛成が必要だ。

ＷＰは「１９８５年以降に選出されたすべてのペルー大統領（計８人）が１回以上犯罪容疑で捜査を受けた」とし「ボルアルテが前任者と同じ道を歩む確率がある」と伝えた。ボルアルテ大統領は前任のペドロ・カスティージョ大統領（２０２１～２０２２年）がこのような「道徳的無能」などを理由に弾劾された後に就任した。これに先立ち、ペドロ・パブロ・クチンスキ（２０１６～２０１８年）、マルティン・ビスカラ（２０１８～２０２０年）大統領も「道徳的無能」を理由に途中で退いている。