先月22日の金曜日午後8時ごろ、モスクワ北西側のクラスノゴルスクに位置したクロッカスシティーホール音楽公演会場でテロが発生し、144人が死亡、360人以上が負傷した。極端主義テロで悪名高いイスラム国(IS)は今回のテロを自らの犯行と明らかにした。米国はテロ発生の可能性をロシアにあらかじめ伝えたと主張し、ロシアと戦争をするウクライナは今回のテロと無関係だと強調した。事件発生後、ロシア当局は主犯4人、共犯8人の計12人のテロ犯を逮捕し、取り調べに入った。
事件発生3日目の先月25日、ロシアのプーチン大統領は「急進イスラム主義者」が主犯としながらも、誰が今回のテロで利益を得るのかと反問した。ウクライナにも責任があることを暗示したのだ。ロシア政府は数日後、ウクライナから「相当な金額と暗号通貨を受けた」犯人が残金を受けるためウクライナに向かうところ捕まったと明らかにした。結局、ウクライナが急進イスラム主義者を買収してロシアにテロ攻撃をしたという主張だ。
◆米国「ウクライナはテロと無関係」
米国と西欧は「ロシアがテロを口実にウクライナに猛攻を加えるためテロの背後にウクライナを挙げている」と非難している。米国と西欧は2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻で始まったウクライナ戦争で反ロシア抗争を支援している。ひとまず背後を除けば犯人はISや急進イスラム主義者だ。ロシアはISという言葉を使用しなかったが、ISは事件直後に自らの犯行だと発表した。米国はさらに具体的にIS-K(ISホラサン州)に言及した。
ISの機関紙は安保筋を引用し、「IS戦士がロシアの首都モスクワ郊外のクラスノゴルスクに集まったキリスト教徒を攻撃して数百人を死傷させ、建物を破壊した後、基地に安全に撤収した」と報じた。この記事にはテロ犯4人がテロを決意する写真と詳細な攻撃内容も書かれていた。そして今回の攻撃がISとイスラムに対抗して戦う国家間の戦争という自然な脈絡で発生したと説明した。今回の報道にはテロを行った組織がIS-Kという言葉はないが、西欧情報当局とメディアはIS-Kがテロを独自に計画して遂行したと判断した。
◆ドイツ・フランスもテロ脅威に苦しむ
先月28日、IS機関紙アンナバは、ロシアが失敗を認めるよりも隠そうとし、西欧十字軍国家が行ったのと同じ形で敵国の西欧をテロ共謀疑惑で非難すること以外に代案を探せなかったと嘲弄した。そしてロシアとイランがこの数年間、IS戦士の攻撃を受けてきたが、敗北を認めるよりも西欧を非難したと指摘した。さらに、IS戦士の攻撃には背後勢力があるという「陰謀説」に浸る人たちは、戦士が神の意に基づき多くのことを準備しているだけに敗北を認める準備をするべきだと忠告した。陰謀説をやめて現実を直視するべきという警告だ。モスクワ以外の十字軍国家の首都でも類似の攻撃をするということだ。
ISはドイツ・ミュンヘンのアライアンスアリーナを攻撃対象とし、「彼らが出てくる時に捕まえろ」という脅迫メッセージをアラビア語で発表した。今年夏のパリオリンピック(五輪)を控えたフランスはモスクワテロ以降、警戒態勢を最高段階に引き上げた。
◆IS-Kの後援者はパキスタン情報局?
では、いったいIS-Kはどんな組織なのか。2011年、シリア内戦の隙を利用してISI(イラクのIS)とISS(シリアのIS)が一つになりISIS(イラクとシリアのIS)が発足した。ISISは2014年6月29日、自らが占領したイラクとシリアを統合したイスラム国家建設を宣言し、自らをIS(イスラム国)と呼び始めた。世界のムスリムはISの急進的で残酷なイスラムは真のイスラムではないため受け入れないと考える。それで世界メディアに向けてISという言葉の代わりにダイシュ(DaishまたはDaesh)を使用してほしいと要請した。ISのアラビア語表記の頭文字を並べた言葉だ。意味はISもダイシュも同じだが、無慈悲な犯罪組織が自らをイスラム国と呼ぶのを英語に慣れた世界の人たちが批判なく受け入れるのではと心配したからだ。ムスリムが夢見るイスラム国家はテロ分子のISではないからだ。
IS-KはISのホラサン支部であり、アフガニスタンを拠点とする。ペルシャ語で日が昇るところを意味するホラサンは現在、イラン北東部地域の州の名称だ。伝統的にはイラン・アフガニスタン・トルクメニスタン・ウズベキスタンまで含む広い地域をいう。したがってIS-Kは歴史的にホラサンと呼ばれたところをすべて統治するという大きな夢を抱いている。
実際、IS-Kはパキスタン情報局と密接な関係があると知られている。パキスタンにもタリバンがあるが、これら組織の名称はタフリケ・タリバン・パキスタン(TTP)だ。アフガニスタンのタリバンと同じくパシュトゥン族が中心だ。TPPはパキスタン軍警を対象に戦いながら独立国家の建設を追求する。パキスタン政府にとってはパロチスタン族の独立勢力と共に悩みの種だ。
【コラム】階層・国家間で貧富の差拡大、テロ組織も金が優先(2)
事件発生3日目の先月25日、ロシアのプーチン大統領は「急進イスラム主義者」が主犯としながらも、誰が今回のテロで利益を得るのかと反問した。ウクライナにも責任があることを暗示したのだ。ロシア政府は数日後、ウクライナから「相当な金額と暗号通貨を受けた」犯人が残金を受けるためウクライナに向かうところ捕まったと明らかにした。結局、ウクライナが急進イスラム主義者を買収してロシアにテロ攻撃をしたという主張だ。
◆米国「ウクライナはテロと無関係」
米国と西欧は「ロシアがテロを口実にウクライナに猛攻を加えるためテロの背後にウクライナを挙げている」と非難している。米国と西欧は2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻で始まったウクライナ戦争で反ロシア抗争を支援している。ひとまず背後を除けば犯人はISや急進イスラム主義者だ。ロシアはISという言葉を使用しなかったが、ISは事件直後に自らの犯行だと発表した。米国はさらに具体的にIS-K(ISホラサン州)に言及した。
ISの機関紙は安保筋を引用し、「IS戦士がロシアの首都モスクワ郊外のクラスノゴルスクに集まったキリスト教徒を攻撃して数百人を死傷させ、建物を破壊した後、基地に安全に撤収した」と報じた。この記事にはテロ犯4人がテロを決意する写真と詳細な攻撃内容も書かれていた。そして今回の攻撃がISとイスラムに対抗して戦う国家間の戦争という自然な脈絡で発生したと説明した。今回の報道にはテロを行った組織がIS-Kという言葉はないが、西欧情報当局とメディアはIS-Kがテロを独自に計画して遂行したと判断した。
◆ドイツ・フランスもテロ脅威に苦しむ
先月28日、IS機関紙アンナバは、ロシアが失敗を認めるよりも隠そうとし、西欧十字軍国家が行ったのと同じ形で敵国の西欧をテロ共謀疑惑で非難すること以外に代案を探せなかったと嘲弄した。そしてロシアとイランがこの数年間、IS戦士の攻撃を受けてきたが、敗北を認めるよりも西欧を非難したと指摘した。さらに、IS戦士の攻撃には背後勢力があるという「陰謀説」に浸る人たちは、戦士が神の意に基づき多くのことを準備しているだけに敗北を認める準備をするべきだと忠告した。陰謀説をやめて現実を直視するべきという警告だ。モスクワ以外の十字軍国家の首都でも類似の攻撃をするということだ。
ISはドイツ・ミュンヘンのアライアンスアリーナを攻撃対象とし、「彼らが出てくる時に捕まえろ」という脅迫メッセージをアラビア語で発表した。今年夏のパリオリンピック(五輪)を控えたフランスはモスクワテロ以降、警戒態勢を最高段階に引き上げた。
◆IS-Kの後援者はパキスタン情報局?
では、いったいIS-Kはどんな組織なのか。2011年、シリア内戦の隙を利用してISI(イラクのIS)とISS(シリアのIS)が一つになりISIS(イラクとシリアのIS)が発足した。ISISは2014年6月29日、自らが占領したイラクとシリアを統合したイスラム国家建設を宣言し、自らをIS(イスラム国)と呼び始めた。世界のムスリムはISの急進的で残酷なイスラムは真のイスラムではないため受け入れないと考える。それで世界メディアに向けてISという言葉の代わりにダイシュ(DaishまたはDaesh)を使用してほしいと要請した。ISのアラビア語表記の頭文字を並べた言葉だ。意味はISもダイシュも同じだが、無慈悲な犯罪組織が自らをイスラム国と呼ぶのを英語に慣れた世界の人たちが批判なく受け入れるのではと心配したからだ。ムスリムが夢見るイスラム国家はテロ分子のISではないからだ。
IS-KはISのホラサン支部であり、アフガニスタンを拠点とする。ペルシャ語で日が昇るところを意味するホラサンは現在、イラン北東部地域の州の名称だ。伝統的にはイラン・アフガニスタン・トルクメニスタン・ウズベキスタンまで含む広い地域をいう。したがってIS-Kは歴史的にホラサンと呼ばれたところをすべて統治するという大きな夢を抱いている。
実際、IS-Kはパキスタン情報局と密接な関係があると知られている。パキスタンにもタリバンがあるが、これら組織の名称はタフリケ・タリバン・パキスタン(TTP)だ。アフガニスタンのタリバンと同じくパシュトゥン族が中心だ。TPPはパキスタン軍警を対象に戦いながら独立国家の建設を追求する。パキスタン政府にとってはパロチスタン族の独立勢力と共に悩みの種だ。
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