大谷選手が去った後もそんな感じがした。大きなイベントのように大騒ぎだったが終わってみると少しむなしく何となくさびしい。なぜそうなのか。「漫画から飛び出てきたような男」から「品切れ男(既婚男性)」にレッテルを変えたためだろうか。だがフィアンセを連れてきたとしても大谷選手は依然として礼儀正しい男で格好良かった。確かに彼には暖かい微笑を浮かべさせる力がある。スポーツ選手が持っている健康さに立派な性格、ハンサムな容貌と途轍もないパフォーマンス、その上天文学的金額の年俸。こうした完璧に近い条件がまるで童話の中の王子様のイメージを演出したのだ。こうしたイメージにより到着当日の仁川(インチョン)空港はファンと取材陣で並みの騒ぎではなかった。
こうした浮き立った雰囲気を日本がさらに加えた。1週間前に日本のテレビ朝日から連絡がきた。なぜ韓国の若者が大谷選手に熱狂するかを知りたいとしてインタビューを要請してきた。昨年末に中央SUNDAYに掲載された私の文がPDの目に入った形だった。親ばかのような心情だっただろう。自分の優秀な息子がどれだけすごいのかを確認したい日本人の心情をわからないわけではなかった。しかし編集された映像を見るとどこかさびしかった。結局自分が聞きたい話だけ選んで聞くのだなと思った。