先月29日午後、ベトナム・ハノイのソフィテルレジェンドメトロポールホテルに行った。中央日報・財団法人韓半島平和作り(理事長・洪錫炫中央グループ会長)共同主催の「第2回韓国・ベトナム未来対話」に参加した国内大学生の現場学習プログラムのためだった。北朝鮮と米国は5年前の2019年2月27、28日、このホテルの別館1階で首脳会談を開催した。メトロポールホテルは首脳会談当時、初日に両首脳が夕食会をし、2日目午前に談判をした場所だ。
ここで首脳会談が開かれたことを表示するためにホテル側が別館1階壁に設置したブロンズの記念プレートが目に入った。「メトロポールホテルは金正恩(国務)委員長とドナルド・トランプ大統領が朝米首脳会談を行った歴史的な場所」という内容だった。
ところがこの表示の中で気になるところがあった。北朝鮮と米国を同時に言及した表現が2カ所あったが、ともに北朝鮮を米国より前に出していた。国名は北朝鮮、米国の順、両首脳は金委員長、トランプ大統領の順だった。
最近、外交・経済面で親米の動きを見せるベトナムの立場を考慮すると意外だった。ホテル関係者に理由を尋ねたが、返答は「私はよく分からない」だった。ベトナムの外交戦略は実利と名分の間を行き来しながら柔軟性を発揮する「竹の外交」だ。ベトナムが北朝鮮を前に出したのは同じ社会主義国家である北朝鮮を意識した政治的名分ではないだろうか。
ベトナムは1950年1月に北朝鮮と修交した。ベトナム(当時は北ベトナム)にとって北朝鮮は中国、ソ連に次ぐ3番目の修交国家だ。韓国は統一ベトナムと1992年に修交したため、ベトナムにとって北朝鮮はまさに歴史と伝統の友好国ということだ。ベトナム戦争当時、北朝鮮が数百人の戦闘機パイロットと心理戦専門家を派遣し、多数の戦死者が発生したため、両国は血盟関係でもある。金日成(キム・イルソン)主席とベトナムの英雄として崇められるホーチミン主席が何度も会って友情を深め合い、北朝鮮はベトナムを東南アジア外交の拠点と考えるほどだった。
◆ハノイの韓流
こうした政治・外交的な背景にもかかわらず、2024年2月のベトナムでは北朝鮮の痕跡がほとんど見られなかった。その代わりに韓国が北朝鮮の穴を埋めていた。韓流はもちろん、各種統計がこれをそのまま表している。一日90便を超える航空機が両国を行き来し、年間360万人の韓国人がベトナムを訪れる。韓国を訪問するベトナム国民も年間55万人にのぼる。またベトナム人と結婚した韓国国内の多文化家庭が8万7000世帯、ベトナム国内でも韓国人と結婚したベトナム人6200人が各地で家庭を築いている。昨年ヒョンデ・起亜車はベトナムで販売台数1位になった。ベトナムの年間輸出額18%(2022年基準、ベトナム統計庁)がサムスン電子関連であり、韓国企業がベトナム経済を支えているともいえるほどだ。
一方、北朝鮮とベトナムを行き来する航空便はなく、人的交流は事実上ストップしている。これを示すかのようにソウルのベトナム大使館やハノイの韓国大使館の職員は各30人を超えるが、ハノイと平壌(ピョンヤン)の北朝鮮・ベトナム大使館勤務者はそれぞれ10人前後という。2019年以降、駐ベトナム北朝鮮大使は空席状態だ。
ここでおもしろい事実一つ。かつて韓国語(朝鮮語)を話すベトナム人の大半が平壌(ピョンヤン)方言だったが、最近はソウル方言に変わっているという点だ。韓国語を話すベトナム人のうち引退前後の年齢帯はほとんどが平壌で韓国語(朝鮮語)を習ったが、若い人たちはほとんどが韓国留学または韓国ドラマを通して韓国語を習った。ベトナムの中の韓国語の方言までも韓国式に変わっているのだ。
【コラム】「目は世界を見ろ」という金正恩、ベトナムで韓国の力を見たのだろうか(2)
ここで首脳会談が開かれたことを表示するためにホテル側が別館1階壁に設置したブロンズの記念プレートが目に入った。「メトロポールホテルは金正恩(国務)委員長とドナルド・トランプ大統領が朝米首脳会談を行った歴史的な場所」という内容だった。
ところがこの表示の中で気になるところがあった。北朝鮮と米国を同時に言及した表現が2カ所あったが、ともに北朝鮮を米国より前に出していた。国名は北朝鮮、米国の順、両首脳は金委員長、トランプ大統領の順だった。
最近、外交・経済面で親米の動きを見せるベトナムの立場を考慮すると意外だった。ホテル関係者に理由を尋ねたが、返答は「私はよく分からない」だった。ベトナムの外交戦略は実利と名分の間を行き来しながら柔軟性を発揮する「竹の外交」だ。ベトナムが北朝鮮を前に出したのは同じ社会主義国家である北朝鮮を意識した政治的名分ではないだろうか。
ベトナムは1950年1月に北朝鮮と修交した。ベトナム(当時は北ベトナム)にとって北朝鮮は中国、ソ連に次ぐ3番目の修交国家だ。韓国は統一ベトナムと1992年に修交したため、ベトナムにとって北朝鮮はまさに歴史と伝統の友好国ということだ。ベトナム戦争当時、北朝鮮が数百人の戦闘機パイロットと心理戦専門家を派遣し、多数の戦死者が発生したため、両国は血盟関係でもある。金日成(キム・イルソン)主席とベトナムの英雄として崇められるホーチミン主席が何度も会って友情を深め合い、北朝鮮はベトナムを東南アジア外交の拠点と考えるほどだった。
◆ハノイの韓流
こうした政治・外交的な背景にもかかわらず、2024年2月のベトナムでは北朝鮮の痕跡がほとんど見られなかった。その代わりに韓国が北朝鮮の穴を埋めていた。韓流はもちろん、各種統計がこれをそのまま表している。一日90便を超える航空機が両国を行き来し、年間360万人の韓国人がベトナムを訪れる。韓国を訪問するベトナム国民も年間55万人にのぼる。またベトナム人と結婚した韓国国内の多文化家庭が8万7000世帯、ベトナム国内でも韓国人と結婚したベトナム人6200人が各地で家庭を築いている。昨年ヒョンデ・起亜車はベトナムで販売台数1位になった。ベトナムの年間輸出額18%(2022年基準、ベトナム統計庁)がサムスン電子関連であり、韓国企業がベトナム経済を支えているともいえるほどだ。
一方、北朝鮮とベトナムを行き来する航空便はなく、人的交流は事実上ストップしている。これを示すかのようにソウルのベトナム大使館やハノイの韓国大使館の職員は各30人を超えるが、ハノイと平壌(ピョンヤン)の北朝鮮・ベトナム大使館勤務者はそれぞれ10人前後という。2019年以降、駐ベトナム北朝鮮大使は空席状態だ。
ここでおもしろい事実一つ。かつて韓国語(朝鮮語)を話すベトナム人の大半が平壌(ピョンヤン)方言だったが、最近はソウル方言に変わっているという点だ。韓国語を話すベトナム人のうち引退前後の年齢帯はほとんどが平壌で韓国語(朝鮮語)を習ったが、若い人たちはほとんどが韓国留学または韓国ドラマを通して韓国語を習った。ベトナムの中の韓国語の方言までも韓国式に変わっているのだ。
【コラム】「目は世界を見ろ」という金正恩、ベトナムで韓国の力を見たのだろうか(2)
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