労働組合のこうした請願は「スーパー３０１条」と呼ばれる貿易法に基づいている。該当条項は貿易相手国の不公正な貿易行為で米国の貿易に制約が生じる場合、広範囲な領域で報復できるよう許容した米国の代表的な保護貿易措置だ。ＵＳＴＲは請願があればその内容を検討し、４５日以内に調査を開始するかどうかを決定しなければならない。

専門家らは大統領選を控えてバイデン政権が調査要請を拒否しないとみている。米国家安全保障会議（ＮＳＣ）アジア上級部長を務めたジョージタウン大のエバン・メデイロス教授は「選挙がある年に労組寄りの民主党大統領には（調査要請への対応は）当然のこと」と話した。

請願を受け入れない場合、共和党の大統領候補に確定したトランプ前大統領の猛攻も無視できない要素だ。専門家らは「共和党大統領候補のトランプ前大統領も中国との大々的な貿易戦争を予告してきた人物であるだけに、バイデン政権も強硬姿勢を見せる可能性が高い」と予想した。


実際、バイデン大統領は請願があったこの日、Ｘ（旧ツイッター）に「我々は常に中国の不公正慣行に対抗している。私が大統領である限り、米国の労働者と雇用を保護するために戦う」と投稿し、中国造船業者に対する不公正慣行調査を示唆した。

米当局が本格的な調査に着手する場合、米中貿易摩擦はさらに強まるしかない。ＦＴは「造船業が米中貿易戦争の新たな戦場になった」とし「両国関係の緊張が高まるだろう」と伝えた。

造船業に広がった米中貿易戦争は韓国にも影響が及ぶ可能性がある。国連貿易開発会議（ＵＮＣＴＡＤ）の集計によると、韓国の世界商業用造船市場シェアは２９．２４％と、中国（４６．５９％）に次いで２番目だ。造船業で対中国規制と牽制が強化されれば、韓国に反射利益が生じるという見方が出ている。


「価格を下げて市場掌握」　造船業に戦線拡大した米中貿易戦争（１）