5日の全人代開会式と6日の習近平主席が参加する解放軍・武警部隊代表団会議に出席せず身辺異常説が出ていた中国人民解放軍中央軍事委委員で政治工作部主任の苗華氏が11日の閉会式に出席し健在を誇示した。これに対し全人代代表資格を維持した李尚福前国防相は閉会式まで姿を表わさなかった。シン・ギョンジン特派員
この日午後3時に北京の人民大会堂で行われた全人代閉会式は新型コロナウイルス防疫を理由に隔離された昨年よりやや寂しかった。記者の数は増えたが首相記者会見が開かれた金色大庁がある3階は接近が遮断された。2階の記者席と外交使節傍聴席も開会式より取材記者が半分以下に減った。
全人代の趙楽際委員長は閉会式で、中央政府に対する中国共産党の指導を法的に明文化した政府組織法改正案を採決で通過させた。既存の政府組織法では「首相責任制」を明示するなど党政分離の原則を盛り込んでいたが42年ぶりの改正案では「党」が条文の各所に登場した。趙委員長は「習近平同志を核心とする党中央の周囲に堅くまとまり中国式現代化で強国建設と民族復興の偉業を全面的に推進するため休まず努力しよう」と述べた。全人代では経済成長率5%を規定した政府業務報告と予算案なども通過した。
関心を集めた習主席の演説はなかった。習主席は昨年の全人代では閉会演説を通じて台湾問題に対する立場を明らかにし国防力強化の意志を明らかにした。首相内外信記者会見もなくなり李強首相の立場表明もなかった。
前日閉会した国政諮問機関に当たる人民政治協商会議では政府業務報告から抜けていた「平和統一」を明文化した政治報告を2085人の満場一致で通過させた。政協の王滬寧主席は閉会演説で「政治協商会議は中国式現代化推進で政治的地位を高め、思想的理解を深めなければならない」としながら習近平政権3期目のキャッチフレーズである「中国式現代化」を改めて強調した。
外信は両会に失望を隠さなかった。ニューヨーク・タイムズは6日、両会と関連し「朝鮮民主主義人民共和国に来られたことを歓迎します」という中国ネットユーザーのコメントを紹介しながら「(コメントには)中国が独裁し隠遁する隣国(北朝鮮)のようになっているという思いが込められている」と評価した。1988年から24回にわたり中国首相記者会見を取材した同紙のチャールズ・フッツラー元特派員は「中国がどのように作動し、中国が自国民と世界に自身をどのように説明するのかを見られる窓口が閉じられた」と批判した。英フィナンシャル・タイムズは「過去の中国共産党には党総書記と政府首相の2人のトップがいたが、いまはナンバー2が消え習近平だけ残った」と指摘した。
両会のすべての焦点が習主席1人に向けられ5%の成長率達成に向けた政策、不動産と青年失業など山積した難題も後回しにされた。英時事週刊誌エコノミストは「中国式議会が習近平の権力を誇示する『習近平のショー』になった」と指摘した。その上で「多くの中国人が国という船が方向舵を失い漂流していると心配するが、これは偉大な操舵手習近平を疑っているものとみるほかなく、これは2024年の中国では許されない」と付け加えた。
首相の会見と習近平主席の演説消えた両会…外信「中国を見る窓が閉じられた」(2)
この記事を読んで…