米陸軍が中国とロシアのような対等な敵(Near Peer)との戦争を準備しながら定員を47万人に削減するという戦力構造変革白書を発表した。未来の戦争に向けた改編だが、議会の一部では特殊戦部隊が担当した心理戦などが影響を受けないか憂慮している。しかし現在、米陸軍を圧迫する要素は予算問題であり、議会が予算案を通過させなければ欧州や中東での訓練などに悪影響を及ぼすという懸念が提起されている。
<1>規模を縮小する米陸軍
先月27日(以下、現地時刻)、米陸軍が2029会計年度までに陸軍の定員を現在規定された49万4000人から47万人に削減する「陸軍戦力構造変革(Army Force Structure Transformation)」白書を発表した。現在、米陸軍の全体兵力は募兵の困難などのため定員を大きく下回る44万5000人だが、2029会計年度までに新たな定員を満たす予定だ。
クリスティン・ウォーマス陸軍長官は定員調整が技術的に進歩した敵との大規模戦闘作戦に転換する過程で出てきたとし、新しい能力を含む大規模な現代化努力をしているだけに兵力構造の変化も必要だと強調した。ウォーマス長官は昨年秋現在の主力である旅団戦闘チーム単位作戦よりも、軍団と師団単位の作戦に焦点を合わせる新しい戦力構造への変化に言及した。増強する編制ではインド太平洋に2個、欧州に1個がある戦区級多領域タスクフォース(MDF)が5個に増える。インド太平洋に1個が増え、残りの1個は中東とアフリカのエジプト、中央アジア地域を担当している中部司令部作戦地域に焦点を合わせるとみられる。
白書にはMDFが本部と本部大隊、多領域効果大隊、遠距離火力大隊、間接火力防御能力(IFPC)大隊、旅団支援大隊などで構成されると明らかにしている。軍団と師団のための統合航空およびミサイル防衛のために固定および反固定場所でロケット・砲兵・迫撃砲・無人機・巡航ミサイルを防御するIFPC大隊4個と機動短距離対空防御大隊も4個追加される予定だ。
編制調整による縮小にはまず、旅団戦闘チームに配属された工兵資産を師団に再配備するというものがある。陸軍は大規模な戦闘作戦で必要に応じて資産を集中できる柔軟性を付与しながらも、効率化を通じて工兵規模を約1万人減らしたと明らかにした。ストライカー旅団戦闘チームと歩兵旅団戦闘チームの騎兵大隊非活性化、歩兵旅団戦闘チーム武器中隊の小隊転換など近接戦闘兵力の調整を通しても1万人の席を減らした。
陸軍は過去20年間に倍に増えた特殊戦兵力も約3000人減らす予定だが、具体的な縮小内容は伝えられていない。しかし一部の専門家と議員は米陸軍がグリーンベレーやレンジャーのような特殊部隊を維持するため、中国とロシアの情報戦や心理戦などに対応しているノースカロライナ州フォートリバティに駐留する第8心理作戦グループのような軍事情報支援作戦(MISO)戦力を縮小しないのか懸念している。米特殊戦部隊に属するMISO要員は数は少ないが、これまでアフリカなどで多くの対反乱作戦を遂行してきた。
<2>中国版スターリンク、順調に進行するのか
中国が自らの低軌道衛星インターネットサービス構築に速度を出している。米国防メディアのディフェンスワンによると、2023年に中国は米国(116回)に次いで2番目に多い67回の商業用ロケット打ち上げをした。中国は通信・航法・地球観測など多様な衛星を打ち上げたが、独自開発した低軌道衛星通信サービス用衛星も一部含まれる。この衛星はウクライナ戦争でウクライナ軍が利用しているスペースXのスターリンクと似たサービスを目標にしている。
中国は2020年、国網プロジェクトとして知らされた計画を通じて、地球の低軌道に1万3000個の衛星を乗せる計画だ。中国は2020年9月、国網プロジェクトに必要な低軌道衛星打ち上げ計画を国際電気通信連合(ITU)に提出し、2021年序盤に低軌道衛星インターネットを構築して運営する中国衛星ネットワークグループ(CSNG)を設立した。
衛星の開発と打ち上げは中国航天科技集団(CASC)が主導し、中国科学院マイクロ衛星革新研究所も参加している。国網プロジェクト用衛星の最初の打ち上げは2023年7月に行われ、11月23日、12月6日、そして12月30日にも打ち上げが続いた。
中国政府は米国政府がスターリンクを利用して自分たちに圧力を加えているとし、これに対応しようと独自のグローバル衛星インターネット網を構築する計画だ。これを通じてスターリンクのようにインターネット接続が制限された農漁村や隔地奧地の連結性を高め、軍の遠征作戦能力も向上するとみられる。中国の国網プロジェクトに対し、西側は軍用通信網利用のほか、キラー衛星の役割も担うと懸念している。
しかし中国が解決すべき問題もある。まず、サービス提供範囲を保障するには多くの低軌道衛星が必要で、寿命が約5年の衛星を年に数千個を打ち上げる必要がある。このためにロケット打ち上げ費用の削減が求められるが、まだスペースX水準には達していない。2つ目は巨大な衛星群を管理する先端技術と安い端末技術が必要だ。
1万3000個「衛星万里の長城」を築こうとする中国 [ミリタリーブリーフィング](2)
<1>規模を縮小する米陸軍
先月27日(以下、現地時刻)、米陸軍が2029会計年度までに陸軍の定員を現在規定された49万4000人から47万人に削減する「陸軍戦力構造変革(Army Force Structure Transformation)」白書を発表した。現在、米陸軍の全体兵力は募兵の困難などのため定員を大きく下回る44万5000人だが、2029会計年度までに新たな定員を満たす予定だ。
クリスティン・ウォーマス陸軍長官は定員調整が技術的に進歩した敵との大規模戦闘作戦に転換する過程で出てきたとし、新しい能力を含む大規模な現代化努力をしているだけに兵力構造の変化も必要だと強調した。ウォーマス長官は昨年秋現在の主力である旅団戦闘チーム単位作戦よりも、軍団と師団単位の作戦に焦点を合わせる新しい戦力構造への変化に言及した。増強する編制ではインド太平洋に2個、欧州に1個がある戦区級多領域タスクフォース(MDF)が5個に増える。インド太平洋に1個が増え、残りの1個は中東とアフリカのエジプト、中央アジア地域を担当している中部司令部作戦地域に焦点を合わせるとみられる。
白書にはMDFが本部と本部大隊、多領域効果大隊、遠距離火力大隊、間接火力防御能力(IFPC)大隊、旅団支援大隊などで構成されると明らかにしている。軍団と師団のための統合航空およびミサイル防衛のために固定および反固定場所でロケット・砲兵・迫撃砲・無人機・巡航ミサイルを防御するIFPC大隊4個と機動短距離対空防御大隊も4個追加される予定だ。
編制調整による縮小にはまず、旅団戦闘チームに配属された工兵資産を師団に再配備するというものがある。陸軍は大規模な戦闘作戦で必要に応じて資産を集中できる柔軟性を付与しながらも、効率化を通じて工兵規模を約1万人減らしたと明らかにした。ストライカー旅団戦闘チームと歩兵旅団戦闘チームの騎兵大隊非活性化、歩兵旅団戦闘チーム武器中隊の小隊転換など近接戦闘兵力の調整を通しても1万人の席を減らした。
陸軍は過去20年間に倍に増えた特殊戦兵力も約3000人減らす予定だが、具体的な縮小内容は伝えられていない。しかし一部の専門家と議員は米陸軍がグリーンベレーやレンジャーのような特殊部隊を維持するため、中国とロシアの情報戦や心理戦などに対応しているノースカロライナ州フォートリバティに駐留する第8心理作戦グループのような軍事情報支援作戦(MISO)戦力を縮小しないのか懸念している。米特殊戦部隊に属するMISO要員は数は少ないが、これまでアフリカなどで多くの対反乱作戦を遂行してきた。
<2>中国版スターリンク、順調に進行するのか
中国が自らの低軌道衛星インターネットサービス構築に速度を出している。米国防メディアのディフェンスワンによると、2023年に中国は米国(116回)に次いで2番目に多い67回の商業用ロケット打ち上げをした。中国は通信・航法・地球観測など多様な衛星を打ち上げたが、独自開発した低軌道衛星通信サービス用衛星も一部含まれる。この衛星はウクライナ戦争でウクライナ軍が利用しているスペースXのスターリンクと似たサービスを目標にしている。
中国は2020年、国網プロジェクトとして知らされた計画を通じて、地球の低軌道に1万3000個の衛星を乗せる計画だ。中国は2020年9月、国網プロジェクトに必要な低軌道衛星打ち上げ計画を国際電気通信連合(ITU)に提出し、2021年序盤に低軌道衛星インターネットを構築して運営する中国衛星ネットワークグループ(CSNG)を設立した。
衛星の開発と打ち上げは中国航天科技集団(CASC)が主導し、中国科学院マイクロ衛星革新研究所も参加している。国網プロジェクト用衛星の最初の打ち上げは2023年7月に行われ、11月23日、12月6日、そして12月30日にも打ち上げが続いた。
中国政府は米国政府がスターリンクを利用して自分たちに圧力を加えているとし、これに対応しようと独自のグローバル衛星インターネット網を構築する計画だ。これを通じてスターリンクのようにインターネット接続が制限された農漁村や隔地奧地の連結性を高め、軍の遠征作戦能力も向上するとみられる。中国の国網プロジェクトに対し、西側は軍用通信網利用のほか、キラー衛星の役割も担うと懸念している。
しかし中国が解決すべき問題もある。まず、サービス提供範囲を保障するには多くの低軌道衛星が必要で、寿命が約5年の衛星を年に数千個を打ち上げる必要がある。このためにロケット打ち上げ費用の削減が求められるが、まだスペースX水準には達していない。2つ目は巨大な衛星群を管理する先端技術と安い端末技術が必要だ。
1万3000個「衛星万里の長城」を築こうとする中国 [ミリタリーブリーフィング](2)
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