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トランプ氏再執権の可能性に緊張する地球村

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版
ドナルド・トランプ氏が共和党の大統領候補に近づいている。この勢いなら3月末までに代議員の過半を確保し、共和党の候補者選びが事実上終了する可能性がある。この場合、1892年の米大統領選挙以降初めて前大統領が自身に勝利した現職大統領と再対決することになる。

仮に11月5日の大統領選でトランプ氏が勝利し、来年1月20日に大統領に就任することになる場合、韓国を含む世界各国はまたも多様なトランプリスクに直面することになる。予測不可能なトランプ氏の一方的な政策を把握するのは容易でないが、1期目とトランプ氏個人の性向からある程度の推定は可能だ。

軍事安保レベルで見ると、トランプ氏はよく知られているように米国が海外の紛争に介入することを極度に嫌う。同盟関係や米国の大戦略に基づく従来の戦略的価値も考慮の対象ではない。このため欧州、中東、アジアなど各地域では懸念の声が出ている。真っ先に影響が及ぶところはウクライナだ。トランプ氏はウクライナ支援を中断するのが明らかだ。すでに共和党有権者の大多数と中道層はウクライナ戦争支援に否定的であり、トランプ氏がぶつかる政治的反対はほとんどない。イスラエル-ハマス戦争もバイデン大統領とトランプ氏の立場の違いは明確だ。バイデン氏は若い世代と米国内の少数人種を考慮しなければならないためネタニヤフ首相のイスラエルと違う路線であることを強調するのに対し、新教勢力を選挙に動員しなければならないトランプ氏としてはイスラエルを支持するはずだ。


どっちみち今回の米大統領選で有権者はすでにどの候補を選択するかを決めている状態だ。問題は投票しに行くかどうかだ。イスラエルをめぐるバイデン氏とトランプ氏の政策の違いは投票率で重要な変数の一つになるとみられる。

台湾有事に関してバイデン氏は台湾に対する絶対的守護の立場だが、トランプ氏は選挙期間に戦略的あいまい性を維持する考えだ。ウクライナ、中東、台湾、北朝鮮で自身の任期中にはいかなる問題もなかったと主張し、自身が当選すればバイデン氏の安保政策の失敗を簡単に解決できると宣伝している。

トランプ氏の経済リスクはどうか。ひとまず、1期目の韓米自由貿易協定(FTA)改定要求のように韓国だけが別に負担する費用構図とはやや異なる展開が有力視される。現在まで把握されたリスクは、輸入品目全般にわたる10%関税賦課とインフレ抑制法(IRA)廃止公言などだ。1974年に制定された貿易法の301条に基づく関税賦課は自由貿易とグローバル化に対する敵対感が強まった米国有権者のための通商政策だ。バイデン政権と専門家集団が立ち上がり、米国消費者の被害と物価上昇懸念、そして世界各国の対米報復貿易措置の可能性をいくら説明しても、選挙期間内に共感を得るのが難しいとみられる。今後、米国経済に副作用が表れる時点になってこそ、トランプ氏は関税引き下げを誘引策に、欧州およびアジア諸国との個別交渉に入る可能性が高いが、2020年初めの中国との交渉妥結が前例だ。実際、関税賦課よりも韓国企業にさらに深刻なトランプリスクはインフレ抑制法の全面廃止シナリオだ。バッテリーを含むエネルギーと気候環境に関連し、すでに推進中の生産および投資計画に相当な波及力があると予想される。クリーンエネルギー産業と技術に約3700億ドル規模にのぼる税制・金融優遇を与えるインフレ抑制法の場合、2022年夏の立法当時、韓国電気自動車に及ぶ被害の懸念はほぼ解決されたが、韓国企業が中国とのバッテリー産業競争で優位を獲得できる好材料を提供しているからだ。

現実的な問題もある。1つ目はインフレ抑制法に含まれた莫大な規模の税金および金融優遇とそれによる生産投資計画が多数の共和党選挙区で進行中という点だ。2つ目、インフレ抑制法案に含まれた処方せんの薬価格引き下げ、特にインスリン費用を月35ドル以下に引き下げた点などにより、インフレ抑制法をすべて廃止することに対する政治的な負担は共和党にもある。また、廃止してもすでに支出が確定した場合には予算の回収も不可能だ。気候危機関連条項だけを切り離して法改正をしようとすれば、予算調整手続きに適用するものが不透明になり、民主党上院のフィリバスターにより座礁する可能性が高い。

結論的にトランプ氏が当選する場合、安保および通商に関するリスクが少なくない。幸いなのは韓国はすでにトランプ氏の政策基調を一度経験したため対処できる可能性が高いという点だ。



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