米国のドナルド・トランプ前大統領の大統領選キャンプで「ヘイリー警戒令」が拡散している。共和党予備選に出馬した元サウスカロライナ州知事のニッキー・ヘイリー氏に対する支持率が高まり、トランプ氏のランニングメイトになる可能性が出てきたという懸念のためだ。米政治専門メディア「ポリティコ（Ｐｏｌｉｔｉｃｏ）」は「トランプキャンプ内でヘイリーが副大統領になることを防ぐための権力争いが激しくなっている」と１８日（現地時間）、伝えた。

トランプキャンプの要人が「ヘイリー副大統領」に反対する最も大きな理由は共和党内のクーデターの可能性だ。トランプ氏が大統領に当選してヘイリー氏が権力継承第１位の副大統領になれば上院の伝統的共和党議員がトランプ氏を追い出して自分たちと政策基調が似たヘイリー氏を大統領にしようとするだろうという懸念だ。

トランプ氏を支持するマット・ゲイツ下院議員はポリティコに対して「ヘイリーが副大統領になることは既得権である『ネオコン（ｎｅｏｃｏｎ）』にはファンタジーである反面、（トランプ支持層の）『ＭＡＧＡ（Ｍａｋｅ　Ａｍｅｒｉｃａｎ　Ｇｒｅａｔ　Ａｇａｉｎ、米国を再び偉大に）』には悪夢になる」としながら「ヘイリーは就任初日から副大統領官邸を反トランプ抵抗軍司令部にしてトランプをことごとく妨害するだろう」と話した。


新保守主義者を意味するネオコンは国際問題に米国が積極的に介入しなければならないと考える人々のことを指す。理論的にはシカゴ大学政治学科教授だったユダヤ系政治哲学者レオ・シュトラウスに影響を受けた人々だ。ジョージ・Ｗ・ブッシュ政府で要職についていた元ホワイトハウス大統領補佐官のコンドリーザ・ライス氏らが代表的だ。２０００年代以降、共和党の主流を形成し、駐国連大使を務めたヘイリー氏も同じような外交基調を持っている。

反面、トランプ氏の過激支持層を意味するＭＡＧＡ勢力は「米国第一主義（Ａｍｅｒｉｃａ　Ｆｉｒｓｔ）」を強調して米国が「世界の警察」役を果たすことに反対してきた。ヘイリー反対者の１人であるトランプ氏の長男、ドナルド・トランプ・ジュニアも１５日に最初の予備選日程のアイオワコーカス（党員大会）で「ヘイリーは世界で起きるすべての戦争に参加したがっている」と非難した。ポリティコは「共和党が２つに分かれた状況でヘイリーの副大統領任命問題は党のアイデンティティに関わっている」とし「トランプが共和党の伝統主義者と和解することができるかという問題」と指摘した。

このような内部の反対にもトランプ氏は引き続き周辺にヘイリー氏の副大統領起用に対する意見を聞いているという。トランプ氏がヘイリー氏に手を差し出すかどうかは今後の予備選過程次第だという見方もある。トランプ氏と近いが共和党伝統主義者であるリンゼー・グラム上院議員は「当選に役立つと考えればトランプはヘイリーを副大統領に選ぶだろう」としながらも「（予備選で）互いに傷が重なれば可能性は低くなるだろう」と話した。

◇ニューハンプシャー「ヘイリー・トランプ同率」の調査結果

アイオワコーカスで３位にとどまったヘイリー氏は２３日に開かれるニューハンプシャー州予備選で反騰を狙っている。米世論調査機関「アメリカン・リサーチ・グループ」が１２～１５日ニューハンプシャー州有権者６００人を対象にした調査では、トランプ氏とヘイリー氏がそれぞれ４０％の支持率を獲得していることが１７日、分かった。

同じ機関の調査でヘイリー氏の支持率は先月２０日２９％から１１％ポイントも高まった。ヘイリー氏の支持層構成は共和党員３５％、無所属５１％で無党層の投票率が最大変数に浮上するものとみられる。州予備選は党員だけが投票に参加できるコーカスとは違い、一般人も投票に参加することができる。

このようなヘイリー氏の上昇の勢いにトランプ氏はＳＮＳにヘイリー氏と２０１６年民主党大統領選候補だったヒラリー・クリントン前国務長官の顔を合成したイメージを掲載して、ヘイリー氏の結婚前の名前を取り上げてインド系移民２世という点を印象づけるなど性・人種攻勢に出ている。

一方、共和党上下院議員１７９人は連邦最高裁判所にトランプ氏の大統領選挙出馬を認めないコロラド州最高裁の判決を見直してほしいとする内容の意見書を１８日、提出した。