アルジャジーラは今回の攻撃にもかかわらず両国の貿易と観光は中断していないと報じた。イランのシスタンバルチェスタン州道路交通局の関係者は「約４５０台のトラックが国境を通過するなど依然として活発に貿易活動が維持されていて、パキスタン人も観光目的でイランに入国している」と伝えた。

イラン－パキスタンの紛争はイスラエル－ハマス戦争とは異なるという声もある。双方の攻撃があったイラン・パキスタン・アフガニスタンの国境が接するバルチスタンと近隣地域は、分離主義武装組織とイスラム極端主義組織が拠点としていて武力衝突が多かったところだ。２０１０年代から武装組織がここで両国の軍人を殺害して自殺爆弾テロを起こし、両国間に葛藤が生じてきた。イランがシーア派イスラムの盟主である一方、パキスタンは人口の８５－９０％がスンニ派であり、イスラム分派紛争の延長線上にあるという分析もある。

ガーディアンは「イランはパキスタンがテロ犯をバルチスタン国境地域に潜伏するよう許容したと非難する一方、パキスタンはイランがバルチスタン分離主義武装勢力に隠れ家を提供したと非難した」と伝えた。今回もイランはスンニ派の独立を要求するジャイシュ・アル・アドルを処断するという名分でパキスタン領土を攻撃し、パキスタンはバローチ族民族主義で武装した分離主義勢力を攻撃するという名分を掲げた。


国際危機グループの中東専門家ヒルターマン氏は１７日、ワシントンポストに「今月に入って中東の複数の政府と武装団体が中東内の緊張状況に巻き込まれた」とし「何らかの計算や意思疎通の錯誤、偶発的攻撃が緊張を深刻に高めるおそれがある」と懸念を表した。

イラン国営メディアのプレスＴＶは１８日、イスラム革命防衛隊が１５日にイラク内の「イスラエル諜報施設」に７発の弾道ミサイルを発射し、イスラエル情報機関モサドの要員５人が死亡したと伝えた。

紅海では米軍とフーシ派の武力攻防が続いた。米中央軍司令部は１７日、Ｘ（旧ツイッター）に「発射準備ができたフーシ派のミサイル１４機を対象に爆撃を行った」と明らかにした。今回の攻撃はフーシ派を狙った米軍の４回目の爆撃だ。

これに先立ちフーシ派もこの日、米貨物船を攻撃した。フーシ派のサレア軍事報道官は「アデン湾で米船舶を複数の適切なミサイルで攻撃した」と明らかにした。米船舶は火災が発生したが人命被害はないと確認され、安定的に移動したと、ＡＰ通信は伝えた。米国とフーシ派の葛藤で紅海物流問題の余波が広がっている。物流会社オナーレーンロジスティクスは顧客に送ったメールで「少なくとも６カ月間は解決せず、最大１年間は続くと予想する」とし「運送費上昇と船舶不足が今年７－９月期まで続くだろう」と説明した。


今度はパキスタンがイランに報復空襲（１）