◇ＣＥＯ辞任も多額の報酬で議論

一時米国を代表したボーイングは各種墜落事故と機体欠陥などで信頼が揺らぎ、ボーイング恐怖症という言葉まで出てきた。特にボーイングがＢ７３７ＭＡＸの危険性を認知しながら知らないふりをした事実が明らかになり公憤を買った。

調査の結果、大型事故２件とも操縦特性補助システム（ＭＣＡＳ）と呼ばれる墜落防止システムが誤作動して発生したことが明らかになったが、事故前にすでにこのシステムに措置が必要なほど危険だという内部調査があった。それでもボーイングは「Ｂ７３７ＭＡＸは安全だ」と公表して議論になった。


２０１９年１２月に最高経営責任者（ＣＥＯ）を電撃解任する時も議論を呼んだ。当時デニス・ミューレンバーグＣＥＯが退陣しながら株式と年金引き上げ分などで６２２０万ドル（約８８億円）が支払われたためだ。解任された経営陣が莫大な報酬を得るのは不適切だという批判が提起された。

ボーイングは当時事故犠牲者遺族への支援金として１家族当たり１４万４５００ドルを支払ったが、ミューレンバーグＣＥＯは遺族に払われる金額の４３０倍の額を受け取り公憤を買った。２０１９年にエチオピア航空機の事故で父親をなくしたある遺族は声明を通じ「ボーイング経営陣は数百万ドルではなく手錠をかけて出てこなければならない」と指摘した。

◇対中輸出再開見込まれたが…

外信は中国の輸入再開が迫った状況で発生した今回の事故がボーイングにどのような打撃を与えるのか注目されると伝えた。航空宇宙専門メディアのエアカレントは中国民用航空局（ＣＣＡＣ）がＢ７３７ＭＡＸを中国に引き渡せるように許容したと昨年末に報道した。メディアは中国国家発展改革委員会が承認すればＢ７３７ＭＡＸの中国再進出が最終確定すると伝えた。

中国は２０１９年にエチオピア航空で事故が起きると世界で初めて自国内でのＢ７３７ＭＡＸの運航を禁止した。ここに米中間の外交通商対立が高まるとＢ７３７ＭＡＸを中国航空会社の新規注文から除いた。そんな中国航空当局が昨年１月にＢ７３７ＭＡＸの運航再開を許容したが、中国航空会社の同型機新規発注は２０１７年以降ボイコット状態を維持した。

だが昨年１１月に習近平国家主席が６年ぶりに米国を訪問し、バイデン米大統領と首脳会談を行い気流変化が感知された。当時ブルームバーグは両国の会談を契機に中国がＢ７３７ＭＡＸの購入を約束する可能性が大きいと報道した。

中国市場の主導権を最大のライバルであるエアバスに奪われたボーイングの立場では中国の航空機購入が切実だ。ボーイングは中国が今後２０年間に世界の航空機需要の２０％を占めると予想した。


今度は機体に大きな穴…これほどなら「ボーイング恐怖症」がくる（１）