中国がスポーツとＡＩ（人工知能）技術の融合を試みている。スポーツ関連産業がＡＩという未来技術と出会い、新たな発展動力を得ようとしている。

◇「競技場内外でセンセーショナルを巻き起こしたＡＩ」

２０１７年、柯潔氏は「アルファ碁」と三度の対局の末、すべて敗れた。この時でさえ、多くの人々はＡＩに対して傍観者的立場だった。だが、それから６年が過ぎた今、ＡＩはすでに私たちの生活の至るところで存在感を放つようになった。


特にＡＩは囲碁、チェス、将棋のようなマインドスポーツを再編した。サッカー、バスケットボール、テニス、陸上、卓球、バドミントンなど、スポーツのハイレベルな試合やトレーニングにもビッグデータの分析、補助審判システム、運動パートナーロボットなどあらゆるところにハイテク要素が適用された。

ＡＩは囲碁・チェスなどスポーツの対局やトレーニングはもちろん、さらに踏み込んで観覧方法にも変化をもたらした。対局の生中継プラットフォームには初心者も理解しやすいように各着点別の勝率がリアルタイムに表示される。

中国国際将棋協会の葉江川主席は「ＡＩが初めて登場した時、多くの人々はマインドスポーツが魅力を失ってしまうのではないかと心配したが、いま見ると各種目の愛好家を倍増させた」とし「スポーツ種目の発展に翼をつけてくれた」と話す。

ＡＩは多くの産業の世代交代およびアップグレードを後押しする重要な「インフラ」になったが、スポーツ産業も例外ではない。ＡＩは試合のテレビ中継、消費者インサイト、スポーツ競技力分析分野で、必須の核心技術となった。

スポーツコンテンツ生産分野では人工知能生成コンテンツ（ＡＩＧＣ）がダークホースに浮上している。

先日閉幕した広州マラソン大会では、選手が決勝ラインを通過するとすぐにハイライト動画リンクが携帯電話に転送された。選手はすぐに動画をダウンロードしてソーシャルメディア（ＳＮＳ）に共有し、ファンは「いいね」で応援した。このサービスを提供した凱利時科技の劉建宏会長は広州マラソンでＡＩを利用して合計２万７０００件余りの動画を製作したと明らかにした。

劉氏はＡＩの技術力でスポーツ生中継の敷居を一段と低くして、一般アマチュア競技も低費用でスマート生中継やデータ収集、ハイライト製作ができるようになったと説明した。

◇「スマートスポーツで新しくなった運動経験」

先日閉幕した「第２５回中国ハイテクフェア（ＣＨＴＦ）」では激闘ロボットが人々の目を引いた。

軽いセンサー装備を着用さえすればプレーヤーはモーションセンシングでロボットを操縦して近接戦闘を体験することができた。ロボットと人間の動作がほぼ一致し、少しの時間にも汗が吹き出るほどだった。このロボットを研究開発した深圳市の工匠社科技のパートナー、涂亮氏は「プレーヤーは直接身体を使って対決することなく、ロボットの代役を通じて自身の動きで戦うことができる」とし「自身の激闘技術を最大限発揮して、身体はけがを負うことがない」と説明した。

拡張現実（ＡＲ）スマートゴーグルもＣＨＴＦで高い関心を集めた。スマートゴーグルを着用して泳げばスピードや距離など運動データ情報が表示される。杭州光粒科技関係者はゴーグルにホログラムディスプレイ技術を適用していて、運動情報を素早く識別することができると紹介した。関係者はＡＲと現実が互いに干渉しないので運動の妨げにはならないと説明した。


中国、運動とＡＩ技術を融合…スマートスポーツ分野で飛躍狙う（２）