韓国政界はこのところ「国民の力」イン・ヨハン革新委員長の活動をめぐる議論の真っ最中だ。党指導部の不出馬または劣勢地域での出馬、尹大統領革新側近の犠牲、公認イコール当選の「洛東江(ナクトンガン)下流勢力」の交代、青年世代包容などを提案したが具体的な成果は見えない。それでも既成政治家と違ったイン委員長の直接的話法はすがすがしいという反応を聞いた。コミュニケーション不足のイメージが強かった与党が江西(カンソ)区長選挙惨敗で茫然自失の状況でそれなりに一縷の希望を見たという評価もある。
それでも与党が野党より来年4月の総選挙で有利なものと決めつけるのはまだ早い。昔から「米びつから人情がわく(自分が裕福であってこそ他人を助けられる)」という。いま韓国の経済成績はとてもみすぼらしい。1%の経済成長率も壮語できない状況で限界企業が3900社以上になる。限界企業とは3年間に事業で稼いだ金で借り入れた元金どころか利子も支払えない「ゾンビ企業」を指す。これら企業はこれまで低金利貸付と銀行の元利金償還猶予措置のおかげでどうにか耐えてきた。
当時韓国政府はコロナ禍で影響を受けた中小企業と小商工人の貸付満期を延長し元利金償還を数回猶予した。また、金利が低い貸付商品も多く出された。これにより多くの限界企業は中小ベンチャー企業振興公団と銀行が提供した3%台の低い利子のおかげで延命してきた。
だがコロナ禍の沈静化とともに2021年7月から基準金利が0.5%から徐々に上がり、2月以降は3.5%を維持している。このように金利が跳ね上がったことでさらに多くの元利金償還猶予が難しくなり、ともに市場金利も急騰した。基準金利が3.5%まで上がる間に住宅担保貸付金利はさらに大きく上がった。個人の信用度により異なるが、2021年11月に2%後半だった住宅担保貸付金利は最近7%台まで上がった。貸付金利子が以前の2倍以上通帳から毎月引き落とされ苦痛を訴える庶民が増えている。
市中銀行が庶民の犠牲で腹を肥やすという怨嗟の声が大きくなると高位金融当局者が「7-9月期の営業利益を比較すると銀行全体の利益はサムスン電子、LGエレクトロニクス、ヒョンデを合わせたより大きい」として銀行圏を直撃した。ついに大統領の口から「借入者が銀行に屈従している」という話まで出ると、直後に一部の銀行があたふたと共生金融対策を提示した。だが金融会社が預貸マージンを減らすようにまともに指導・監督することが根本的解決策ではないか。
現政権の経済チームが物価を押さえるとして金利引き上げを重視したため副作用が大きいという点を指摘せざるをえない。現在の経済チームのメンバーの大部分は米国留学派の金融専門家だが、韓国の経済政策は隣国日本や中国の政策まで広く考慮しなくてはならない。日本は数年にわたり政策金利をマイナス0.1%で据え置き、企業が円安のため営業利益を持て余すほどだ。中国は政策金利を3.85%から3.45%に引き下げた。
一橋大学の青島矢一教授は最近の訪韓特講で「アベノミクスにより政府が金融を緩和し円安を誘導したおかげで輸出産業が大きく成長した。経営利益が増加したことで企業の社内留保金が500兆円を超えた」と話した。
韓国金融当局もウォン安を誘導するのが正しいとみる。これを通じて輸出の価格競争力を維持し中小企業にも回復の機会を開く必要があった。だが経済チームは米国の金融政策だけ追いかけて行きタイミングを逃したという指摘を受ける。韓国経済の競争相手は米国でなく日本と中国だ。これらと競争できるよう条件と基盤を備えなければならなかったのに現経済チームの視線は依然として米国の尻尾ばかり追っているようでもどかしい。
大統領室と内閣で来年の総選挙出馬に向け総入れ替え人事が始まった。政策室長のポストも復活した。だが民生経済を生かすことができなかった経済トップらが国会へ、政権へ、大統領室へ、席を移すという話にため息がひとりでに出てくる。来年4月の総選挙を控えいま尹錫悦政権2期を構成するためにさまざまな人材を探しているという噂が広まっている。次期内閣には若くて斬新な人材だけでなく野党にまで門戸を大幅に広げれば良いだろう。革新的人材登用で政策変化を模索し高金利時代に厳しい民生経済から生かすように望む。
イ・サングン/西江(ソガン)大学経営学部教授
◇外部執筆者のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。
それでも与党が野党より来年4月の総選挙で有利なものと決めつけるのはまだ早い。昔から「米びつから人情がわく(自分が裕福であってこそ他人を助けられる)」という。いま韓国の経済成績はとてもみすぼらしい。1%の経済成長率も壮語できない状況で限界企業が3900社以上になる。限界企業とは3年間に事業で稼いだ金で借り入れた元金どころか利子も支払えない「ゾンビ企業」を指す。これら企業はこれまで低金利貸付と銀行の元利金償還猶予措置のおかげでどうにか耐えてきた。
当時韓国政府はコロナ禍で影響を受けた中小企業と小商工人の貸付満期を延長し元利金償還を数回猶予した。また、金利が低い貸付商品も多く出された。これにより多くの限界企業は中小ベンチャー企業振興公団と銀行が提供した3%台の低い利子のおかげで延命してきた。
だがコロナ禍の沈静化とともに2021年7月から基準金利が0.5%から徐々に上がり、2月以降は3.5%を維持している。このように金利が跳ね上がったことでさらに多くの元利金償還猶予が難しくなり、ともに市場金利も急騰した。基準金利が3.5%まで上がる間に住宅担保貸付金利はさらに大きく上がった。個人の信用度により異なるが、2021年11月に2%後半だった住宅担保貸付金利は最近7%台まで上がった。貸付金利子が以前の2倍以上通帳から毎月引き落とされ苦痛を訴える庶民が増えている。
市中銀行が庶民の犠牲で腹を肥やすという怨嗟の声が大きくなると高位金融当局者が「7-9月期の営業利益を比較すると銀行全体の利益はサムスン電子、LGエレクトロニクス、ヒョンデを合わせたより大きい」として銀行圏を直撃した。ついに大統領の口から「借入者が銀行に屈従している」という話まで出ると、直後に一部の銀行があたふたと共生金融対策を提示した。だが金融会社が預貸マージンを減らすようにまともに指導・監督することが根本的解決策ではないか。
現政権の経済チームが物価を押さえるとして金利引き上げを重視したため副作用が大きいという点を指摘せざるをえない。現在の経済チームのメンバーの大部分は米国留学派の金融専門家だが、韓国の経済政策は隣国日本や中国の政策まで広く考慮しなくてはならない。日本は数年にわたり政策金利をマイナス0.1%で据え置き、企業が円安のため営業利益を持て余すほどだ。中国は政策金利を3.85%から3.45%に引き下げた。
一橋大学の青島矢一教授は最近の訪韓特講で「アベノミクスにより政府が金融を緩和し円安を誘導したおかげで輸出産業が大きく成長した。経営利益が増加したことで企業の社内留保金が500兆円を超えた」と話した。
韓国金融当局もウォン安を誘導するのが正しいとみる。これを通じて輸出の価格競争力を維持し中小企業にも回復の機会を開く必要があった。だが経済チームは米国の金融政策だけ追いかけて行きタイミングを逃したという指摘を受ける。韓国経済の競争相手は米国でなく日本と中国だ。これらと競争できるよう条件と基盤を備えなければならなかったのに現経済チームの視線は依然として米国の尻尾ばかり追っているようでもどかしい。
大統領室と内閣で来年の総選挙出馬に向け総入れ替え人事が始まった。政策室長のポストも復活した。だが民生経済を生かすことができなかった経済トップらが国会へ、政権へ、大統領室へ、席を移すという話にため息がひとりでに出てくる。来年4月の総選挙を控えいま尹錫悦政権2期を構成するためにさまざまな人材を探しているという噂が広まっている。次期内閣には若くて斬新な人材だけでなく野党にまで門戸を大幅に広げれば良いだろう。革新的人材登用で政策変化を模索し高金利時代に厳しい民生経済から生かすように望む。
イ・サングン/西江(ソガン)大学経営学部教授
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