【コラム】インフレが落ち着いたら景気低迷リスクの峠
サービスと製造業いずれも停滞した。今年初めからしばらく見られたサービス部門の回復傾向はかすんできたが、最近のPMIではさらにそうなった。製造業は最初から回復傾向があったわけではない。さらに深く見れば10月に最も著しい変化を見せたのは消費者サービスと金融サービスで度重なる急激な需要減少だった。この2つの分野とも今年初めには需要が強かったが、金利上昇と続く生活費圧迫により拡張傾向が現在の萎縮に転換している。
このようにますます暗くなる経済見通しを心配しない国はほとんどない。特に欧州で需要減少が深刻だ。ビジネス活動はユーロ圏で5カ月連続、英国では3カ月連続で萎縮した。日本経済の強力な上昇も鈍化し、今年最も低い生産増加を記録した。脱コロナ禍とともに始まった中国経済の内需拡張は9カ月ぶりに中断されたが、これは製造業生産の急激な減少とサービス部門のわずかな成長を反映する。これに対しインドは世界の主要経済の中で成果が目立った。この数カ月間で15年来最高の増加率を記録し好況を継続した。だがそんなインドすらも10月には上昇がやや鈍化した。
物価上昇抑制という観点からは良い便りがあった。需要減少により世界的に企業の価格決定力(プライシングパワー)がさらに弱まり、これは賃金上昇鈍化の兆候とともに作用し商品とサービス価格インフレを3年間で最も低い水準に落とした。価格圧力は米国とユーロ圏で最も激しく冷え込んだ。このため通貨緊縮政策を緩和しようとする中央銀行の目標が来年初めには表面化するものとみられる。
最も熱い関心は物価上昇と繰り広げるこうした戦いが世界的にPMIを50未満に引き下げるなど世界的に景気を不況に追い込むのかどうかだ。今後発表されるPMI指数でその答の端緒を見いだすことができる。50を超えれば景気が拡張局面、反対に50未満なら縮小局面だ。
クリス・ウィリアムソン/S&Pグローバルマーケットインテリジェンス首席エコノミスト
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