飛行中の航空機の非常用ドアを開けた３０代の男が執行猶予付きの判決を受けた。大邱（テグ）地裁は２１日、航空保安法違反、財物損壊など容疑で起訴されたイ被告（３２）に懲役３年、執行猶予５年を言い渡した。収監されていたイ被告は執行猶予処分を受けて釈放された。

◆「飛行中に乗客を危険にした罪責は重い」

ただ、精神鑑定の結果、「統合失調症様障害」があると判断され、裁判所はイ被告に保護観察を受けることと保護観察期間中に精神健康医学科の治療を受けることを命じた。


裁判所は「飛行中の航空機の非常脱出口の扉を開ける行為で多くの乗客を危険にし、大きな事故につながりかねない状況だったたため、被告の罪責は極めて大きい」としながらも「しかし被告が自身の犯行をすべて認め、犯行前の通話内容を見ると身辺に脅威を感じているなど心神耗弱状態で犯行をした」と量刑の理由を説明した。

続いて「被告は精神科の治療が必要だと判断され、処罰を受けた前歴がない点、健康状態や年齢など諸般状況を総合してこのように判断した」と述べた。

◆「保護観察命令…精神健康医学科で治療も」

イ被告は今年５月６日、大邱（テグ）国際空港の２２４メートル上空で時速２６０キロで着陸態勢だったアシアナ航空機で非常脱出口のドアを開け、乗客に傷害を負わせた容疑を受けていた。また航空機の非常脱出用スライドが落下し、航空会社に推算６億ウォン（約６８８０万円）以上の被害をもたらした容疑もある。

イ被告は壁面にぶらさがるなど危険な行動をし、乗務員と乗客に取り押さえられた。当時、航空機には１９４人が乗っていて、乗客１２人が呼吸困難などを訴え、一部は病院に搬送された。警察の取り調べでイ被告は「失職後に精神的ストレスに苦しみ、早くで降りたかった」と述べた。

イ被告は公判の過程で自身の容疑をすべて認めながらも、犯行当時には心神耗弱状態にあったと主張し、精神鑑定を申請した。精神鑑定の結果、イ被告の心神耗弱状態が認められるという趣旨の結果が出た。

先月２６日の結審で検察は「被告は航空機運航に重大な危険を招き、多くの乗客に精神的被害を与えた。航空機も非常脱出スライドが落下するなど修理費として６億ウォン以上が発生した」として懲役６年を求刑していた。