冷戦終息から30年以上が過ぎた2023年、欧州と中東で同時に戦争が広がる状況を予測した国は地球上にほとんどないだろう。当初から米国が2つの戦場での圧倒的勝利戦略を事実上廃棄したのもこれに基づいたものだった。
だがいま、米国はウクライナ戦争と、イスラエルとハマスの戦争に、台湾とフィリピンでの中国発の局地的武力衝突の可能性まで一度に扱うことになった。ここに常時的に韓米に向け核使用を威嚇する北朝鮮まで「3個の戦場プラスアルファ」のシナリオに直面した。米国の拡大抑止に安全保障の相当部分を依存している韓国は米国の負担加重で韓半島(朝鮮半島)安保に隙き間ができる可能性に備えなければならないという指摘が出る。
◇「2つの戦争」廃棄したが…
米国は過去2カ所で全面戦争が起きても十分に勝利できるよう抑止力を維持する「2つの戦争」戦略を採択したが、オバマ政権当時に方向を修正した。中東紛争の泥沼から抜け出し国防予算縮小を試みる過程で1個の主要戦争に集中しそれ以外の地域では小規模作戦で挑発を抑制するいわゆる「ワンプラス戦略」に旋回したのだ。
ただこのように2正面作戦という米国の構想が昨年勃発したウクライナ戦争と、イスラエルとハマスの戦争でよじれている。これとともにアジアでは中国が米国の核心友邦である台湾と同盟であるフィリピンを台湾海峡と南シナ海でそれぞれ威嚇している。
厳密に言えば米国は戦争の直接当事国ではないが、事実それ以上で関与している。外交消息筋は「中東、アジア、欧州などで同時多発的に緊張が高まるのは米国とソ連の体制競争が激化しベトナム戦争が起きた1960~70年代以降で初めて」と指摘した。
◇全面戦争の火種抱える中東
現在国際社会の耳目が最も集まる地域は中東だ。イスラエルは先月27日に地上戦に突入した。3日現在ガザ地区保健当局の集計を基準として、パレスチナ人の死傷者規模は9000人を超えた。
イエメン武装組織のフーシ、レバノンの武装組織ヒズボラなど、イランの支援を受ける武装勢力が戦争に介入するレベルも高まっている。フーシは先月31日に声明を出し、「イスラエルの挑発が止まるまでミサイルとドローン攻撃を継続するだろう」と明らかにした。背後に立つイランもまた、ライシ大統領が直接「シオン主義政権(イスラエル)の犯罪がレッド ライを越えた。みんなが行動に出ることができる」(先月29日)と警告し参戦の可能性をほのめかした。戦争が拡大するかどうか自らを「抵抗の軸」と称するこうした反米国家と反米勢力がどれだけ本格的に戦争に足を踏み入れるかに掛かっている。
ただ2020年にイラン軍部の実力者ソレイマニ司令官が暗殺された時もイランは「血の報復」を公言したが結局米国を大きく刺激しない線で対応レベルを調節した。このようにイランもまた、米国と正面から向き合う場合の影響をよくわかっているところに、国際社会の制裁とコロナ禍の余波が重なった経済危機の中で戦争に絡む余力がないという分析もある。
韓国外大アラビア語科のキム・ガンソク教授は「イスラエルの行動を抑止しようとする米国と域内諸国の制御により戦争拡大の可能性は大きくないだろう。ただその過程で人道主義的危機は続く懸念がある」と話した。続けて「現在はイスラエルがハマス指導部除去にだけ集中しているが、今後武力衝突が落ちついた後には地域を安定化しガザ地区の新たなガバナンス(支配構造)を確立する作業がカギだろう」と話した。
米国、4つの戦争まで? 「安保外注化」のリスク拡大…韓国にも余波(2)
だがいま、米国はウクライナ戦争と、イスラエルとハマスの戦争に、台湾とフィリピンでの中国発の局地的武力衝突の可能性まで一度に扱うことになった。ここに常時的に韓米に向け核使用を威嚇する北朝鮮まで「3個の戦場プラスアルファ」のシナリオに直面した。米国の拡大抑止に安全保障の相当部分を依存している韓国は米国の負担加重で韓半島(朝鮮半島)安保に隙き間ができる可能性に備えなければならないという指摘が出る。
◇「2つの戦争」廃棄したが…
米国は過去2カ所で全面戦争が起きても十分に勝利できるよう抑止力を維持する「2つの戦争」戦略を採択したが、オバマ政権当時に方向を修正した。中東紛争の泥沼から抜け出し国防予算縮小を試みる過程で1個の主要戦争に集中しそれ以外の地域では小規模作戦で挑発を抑制するいわゆる「ワンプラス戦略」に旋回したのだ。
ただこのように2正面作戦という米国の構想が昨年勃発したウクライナ戦争と、イスラエルとハマスの戦争でよじれている。これとともにアジアでは中国が米国の核心友邦である台湾と同盟であるフィリピンを台湾海峡と南シナ海でそれぞれ威嚇している。
厳密に言えば米国は戦争の直接当事国ではないが、事実それ以上で関与している。外交消息筋は「中東、アジア、欧州などで同時多発的に緊張が高まるのは米国とソ連の体制競争が激化しベトナム戦争が起きた1960~70年代以降で初めて」と指摘した。
◇全面戦争の火種抱える中東
現在国際社会の耳目が最も集まる地域は中東だ。イスラエルは先月27日に地上戦に突入した。3日現在ガザ地区保健当局の集計を基準として、パレスチナ人の死傷者規模は9000人を超えた。
イエメン武装組織のフーシ、レバノンの武装組織ヒズボラなど、イランの支援を受ける武装勢力が戦争に介入するレベルも高まっている。フーシは先月31日に声明を出し、「イスラエルの挑発が止まるまでミサイルとドローン攻撃を継続するだろう」と明らかにした。背後に立つイランもまた、ライシ大統領が直接「シオン主義政権(イスラエル)の犯罪がレッド ライを越えた。みんなが行動に出ることができる」(先月29日)と警告し参戦の可能性をほのめかした。戦争が拡大するかどうか自らを「抵抗の軸」と称するこうした反米国家と反米勢力がどれだけ本格的に戦争に足を踏み入れるかに掛かっている。
ただ2020年にイラン軍部の実力者ソレイマニ司令官が暗殺された時もイランは「血の報復」を公言したが結局米国を大きく刺激しない線で対応レベルを調節した。このようにイランもまた、米国と正面から向き合う場合の影響をよくわかっているところに、国際社会の制裁とコロナ禍の余波が重なった経済危機の中で戦争に絡む余力がないという分析もある。
韓国外大アラビア語科のキム・ガンソク教授は「イスラエルの行動を抑止しようとする米国と域内諸国の制御により戦争拡大の可能性は大きくないだろう。ただその過程で人道主義的危機は続く懸念がある」と話した。続けて「現在はイスラエルがハマス指導部除去にだけ集中しているが、今後武力衝突が落ちついた後には地域を安定化しガザ地区の新たなガバナンス(支配構造)を確立する作業がカギだろう」と話した。
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