パレスチナ武装政派組織ハマスが７日（現地時間）、イスラエルに加えた大々的な攻撃を巡り北朝鮮が韓国に対して準備をしている「ハイブリッド戦」の様相を見せたものという分析が出ている。

正規戦はもちろん、非正規戦も組み合わせる奇襲によって対応無策になったイスラエルの状況が韓国でも十分再現される可能性があるという意味だ。

◇アイアンドームも物量攻勢の前にはお手上げ


外信によると、この日早朝にハマスは数千発のロケット砲で先制攻撃を加えた。ハマス側はイスラエルに約２０分間で５０００発を投下したと主張した。反面、イスラエル防衛軍は２２００発だと発表した。数値の違いはあるものの、ハマスがたとえ２０００余発のロケット砲を撃ったとしてもハマスが事前に緻密な準備を経て大規模な攻撃を加えたのは明らかだ。

これに対してイスラエルが誇る防御システム「アイアンドーム」はこれをまともに防ぐことができなかったと分析できる。外信はロケット砲攻撃により、イスラエルでこの日少なくとも３００人余りの死亡者と１５００人余りの負傷者が発生したと推定した。２１世紀軍事研究所のリュ・ソンヨプ専門研究委員は「防空システムの防御能力を超過する攻撃で迎撃に限界が発生したはず」と述べた。米・イスラエルが共同で開発して２０１１年から配備が始まったアイアンドームは多くの実戦経験を通じて命中率が９０％を超えると評価されたが短時間に雨のように降ってくるロケット砲の前では無力だった。

◇ハマスのロケット砲とは比較できない北朝鮮の長射程砲

北朝鮮軍はハマスには到底及ばないほどの水準の対南砲撃戦力を備えている。北朝鮮軍の主力長射程砲は自走砲や多連装ロケット砲で構成されている。物量や性能、普段の訓練などすべての面で武装政派ハマスを圧倒している。韓国軍当局によると、北朝鮮は１０００余門以上の長射程砲を非武装地帯（ＤＭＺ）近隣に配備している。このうち最大３４０門に達する１７０ミリ自走砲および２４０ミリロケット砲が韓国首都圏をねらっている。ハマスのロケット砲をしのぐこれらの砲をすべて動員した場合、１時間に１万６０００余発を首都圏に一度に投下することができるものと推測される。

一部では今回のイスラエル攻撃の事例のように短時間に無差別的に大規模な長射程砲攻撃が加えられた場合、これを防ぐ手段に見合うものがないとの懸念がある。韓国型迎撃システムの開発と配備を増やすと同時に民間人地域などに防護施設を拡大して点検する作業も必要だと指摘されている。

◇北朝鮮はグライダーを使った特殊部隊を運用

ハマスはロケット砲攻撃でイスラエル軍を混乱に陥れた後、電動パラグライダーに乗った隊員を国境の向こう側に浸透させた。イスラエル内部に浸透したハマスは軍人と民間人数百人を人質にしてソーシャルメディア（ＳＮＳ）を通じて関連映像を公開して恐怖感を最大化した。ロケット砲攻撃など戦線でぶつかり合う正規戦の他に、特殊部隊の後方潜入やパニックによる心理戦など非正規戦が同時に起こった。

これはいわゆる「ハイブリッド戦」と呼ばれるもので、北朝鮮がこれまで準備してきた対南戦争の公式でもある。韓国軍事専門月刊誌「プラトン」のホン・ヒボム編集長は「ウクライナ戦争などをたどりながら、いつのまにか普遍化したハイブリッド戦の概念をハマスが今回彼らなりの方式に解釈して適用した」と話した。一部では北朝鮮とイランの間の軍事交流がハマスのハイブリッド戦に対する実戦使用を助けたのではないかという推論もある。

軍当局者は北朝鮮のハイブリッド戦の戦略に関連して「開戦初期に非常に多様な攻撃様相によって韓国社会に深刻な社会的混乱と軍事的混乱を誘発した後、韓国軍と政府が反撃ポイントの特定することを難しくさせようとする狙いがある」と話した。


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