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「北朝鮮が砲弾供給量で駆け引きすれば、焦るプーチンが年内に平壌訪問も」

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

中央日報のインタビューに応じるソウル大のキム・ビョンヨン経済学部客員教授(国家未来戦略院長) ウ・サンジョ記者

露ボストーチヌイ宇宙基地で13日に会った北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とロシアのプーチン大統領の「不適切な会談」の余震が続いている。挑発を繰り返してきた北朝鮮も問題だが、国連安保理常任理事国であるロシアの無責任を非難する声も多い。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は20日(現地時間)、国連総会の基調演説で「露朝の軍事取引は大韓民国の安全保障と平和を直接狙った挑発だ」と批判した。

露朝問題に詳しいソウル大のキム・ビョンヨン経済学部客員教授(61、国家未来戦略院長)に会い、今回の露朝首脳会談の意味と影響について尋ねた。プーチン大統領の年内平壌(ピョンヤン)答礼訪問の可能性については「露朝間の取引、ウクライナ戦争様相によって変わる」とし「11月に平壌で露朝政府間の委員会が開かれるが、砲弾供給量をめぐり北朝鮮が駆け引きをすれば、プーチンが焦って年内に平壌に行く可能性もある」という見方を示した。

--今回の首脳会談をどう見ているのか。


「ロシアの実際の必要と戦略的な考慮が北朝鮮と一致した。実際の必要は砲弾やロケットなど通常兵器であるはずで、北朝鮮は食料・エネルギーおよび先端軍事技術を望んだはずだ。このすべての取引が一度に実現したようには見えない。戦略的な考慮とは、露朝ともに米国に圧力を加え、米国主導の現状を変えようという意図があったということだ。ロシアは北朝鮮と軍事的に連帯して北朝鮮を動かすことができる点を見せようとした。北朝鮮もロシアと取引して米国の制裁を無力化し、核兵器の高度化を早期に成し遂げる可能性があることを誇示しようとした。また金正恩は自分が歓待される姿を浮き彫りにし、2019年のハノイ・ノーディールで墜落した国内的地位を高めようとしたはずだ」

--具体的にどんな水面下取引があったと見るか。

「ロシアが切実に望む砲弾を北朝鮮が持っているという点が核心だ。軍事専門家らはウクライナを侵攻する前にロシアの砲弾の在庫が350万-500万発ほどで、年間砲弾生産量は数十万発と推定する。ロシアは戦争中に一日5000発以上、これまで計300万発ほど使用したと推算される。全体死傷者の70%が砲弾によるものであり、砲弾が戦争の核心だが、砲弾が不足して戦争遂行能力が制約され、ロシアは防御中心に対応している」

--いわゆるビッグディールはあったと見るべきか。

「露朝取引に対するプーチンの言及に一貫性がない。ロシアは陽動作戦を展開している。一方でロシアは自国の砲弾生産量を年間200万発程度に増やし、北朝鮮産の砲弾を受けながら、できる限り持ちこたえようという計算だ。北朝鮮の砲弾供給はロシアの砲弾生産量が消費量に追いつくまで短期的に借りるブリッジローン(Bridge loan)の性格が濃厚だ。ロシアは『短期的に十分なインセンティブを与えて北朝鮮から砲弾の供給を受けるべきであり、長期的には北朝鮮の言いなりになる必要はない』という考えだろう。今は切迫した状況で短期借入に動いたが、砲弾を十分に確保すれば北朝鮮は捨てられるかもしれない。ひとまず食料・エネルギーを与えるスモールディールで始め、軍事的ビッグディールは今後議論しようという形で取引があった可能性が大きいとみられる」

--大韓民国の安保にどんな脅威を与えるだろうか。

「今回の会談ですぐに決定するものではない。ロシアの先端軍事技術が北朝鮮に提供されれば、これは韓半島(朝鮮半島)の平和に大きな脅威となる。北朝鮮が武器提供の見返りに食料とエネルギーを得れば、経済的に持ちこたえる力が一定期間生じることになるため、韓半島の平和に一時的な衝撃だ。こうした面で武器と経済の交換はスモールディールだ。半面、ロシアの先端武器技術は北朝鮮の軍事力を不可逆的に引き上げるため、我々には永久の衝撃となる。したがって北朝鮮の通常兵器とロシアの先端武器技術の交換であるビッグディールがはるかに危険になる。今の構図ではスモールディールの可能性が大きく、ビッグディールはウクライナ戦争の様相と砲弾生産量を増やそうとするロシアの努力の結果にかかっている。スモールディールがビッグディールに向かうことも、スモールディールで終わることも考えられる」

--国際政治に及ぼす影響は。

「ロシアや北朝鮮は今のような地政学的状況を自国に不利だと判断し、これを変えようと試みた。露朝が連帯してお互いを対米・対西側レバレッジに使うことで、ウクライナ戦争と非核化に加えられる負担を減らそうとするだろう。我々に重要な問題は、韓半島の変動性がさらに大きくなった点だ。ウクライナ戦争の余波が北朝鮮を通じて我々に直接影響を与えることが可能になった。北朝鮮の非核化がさらに難しくなった点も問題だ。北朝鮮の非核化が米中覇権競争と連結したことが1次衝撃なら、今回の露朝密着は2次衝撃だ。北朝鮮の非核化はこうした地政学的多重性を同時に解かなければいけない。北朝鮮がウクライナ戦争に介入することで戦争に引き込まれていく状況が生じるかもしれない。北朝鮮が望んだものと全く違う結果が出る可能性もある。北朝鮮がロシアと密着したのは、見方によっては大きなギャンブルだ」

--中露朝関係に微妙な気流が感知される。

「ロシアは失敗している国(Failing state)であり、北朝鮮はすでに失敗した国(Failed state)だ。一部で言及される中露朝構図の形成はとても魅力的に聞こえるが、国際制裁を受ける露朝と連合するというのは中国として大きな魅力でないかもしれない。露朝会談直後に中国の王毅外相がモスクワに向かったが、露朝密着を喜ぶよりも危険だと考えるはずだ。中国は北朝鮮への影響力を独占したいはずで、ロシアと分け合うことを望まない。中国がさらに必要とするものは、中国に絶対的に依存する北朝鮮だ。中露を天秤にかける北朝鮮は中国にとって潜在的な損失だ。ロシアの先端武器技術まで受けた北朝鮮が中国の話を聞かない場合、中国は北朝鮮を対米レバレッジとして使用できなくなる。このように3カ国の思惑が異なるため、中露朝構図の形成はそれほど簡単なことではない。ロシアは中露朝連合軍事訓練を望むだろうが、中国が同意するかは疑問だ。中露朝が連合軍事訓練まですれば、米国と西側は中国をさらに遠ざけて強く圧力を加えるはずで、中国経済はさらに厳しくなるだろう」

--露朝に対してはどんな追加制裁が可能だろうか。

「米下院が露朝軍事協力を制裁する法案を超党派的に発議した。個人・企業・機関に対するセカンダリーボイコットを含め、対ロシアおよび対北朝鮮制裁を強化するだろう。ここにはロシアと北朝鮮の武器製造、特に砲弾製造サプライチェーンに亀裂を招く制裁を含むのが望ましい。砲弾の原料、火薬などのサプライチェーンを把握し、露朝に入るのを最大限に防がなければいけない。米国は韓日米の安保協力を強化し、対北朝鮮抑止力を強めようとするだろう」

--国連が機能していない。

「昨年から北朝鮮が弾道ミサイルを発射しても、中露の反対で国連が新たな北朝鮮制裁を加えることができなかった。さらに危険なのは過去に北朝鮮制裁に賛成したロシアが『従来の北朝鮮制裁は自分たちでなく国連安保理がした』と主張している点だ。国連の機能不全が深刻だが、国連を改革したり、代わりの新しい国際機構を作るのもかなり難しい状況だ」

--いま必要な対応戦略は。

「我々はもう国連以外の多国間および小規模ネットワークを多数作らなければいけない。尹錫悦大統領が国連総会で露朝軍事取引を大韓民国に対する挑発だと批判した。来年11月の米大統領選挙の結果が4月の韓米首脳会談合意と8月のキャンプデービッド韓日米協力合意に否定的な影響を与えないよう、合意を早期に履行する努力が必要だ。同時に韓国は北東アジアの平和とロシアの未来のためにロシアが長期的な見地で政策を決定するよう促す必要がある」

--望ましい対北朝鮮政策は。

「北朝鮮に対する抑止力を強化する一方で、北朝鮮の核が南北の最大障害物であることを想起させながら南北対話と南北関係改善に開かれた立場であることを周知させなければいけない。北朝鮮がロシアから先端武器技術を受けたことが確認されたり、北朝鮮の実際の挑発がある場合は9・19軍事合意を破棄できるだろうが、我々が先に破棄する必要はない。今の北朝鮮は耳を傾ける可能性がほとんどないが、露朝の密着でも何も得られない北朝鮮が危機に直面した時に帰ってくることができる橋を設けておくことが必要だ。北朝鮮政策は軍事的対応、外交的対話、経済的レバレッジ、北朝鮮情報化の4つの軸をすべて動員しなければいけない。これを段階と状況に合わせて順に配列する複合順次戦略を駆使する必要がある」



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