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<ヒョンデ研究>10年後のヒョンデを設計する所…そこに「自動車」はなかった(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

ガールズグループMAVEの音楽放送の映像には「開発者の方たち生きているのですか」と開発者の血の出る努力を称賛する内容が6万9000人の共感を得た。MAVEのミュージックビデオ映像は2447万回の再生回数を記録した。[写真 メタバースエンターテインメント]

激しいダンスにも優雅になびく髪、発音に合わせて細かく動く口の形――。1月に人工知能(AI)技術で誕生した4人組バーチャルアイドル「MAVE」の姿だ。実際の人の顔とほんのわずかの違いだけでも「不気味の谷」になってしまう仮想人間の限界をMAVEは数十万枚のイメージを学習し修正を繰り返して800を超える豊かな「表情」を表現することで克服した。

MAVEを作ったメタバースエンターテインメントでテクニカルリーダーを務めるカン・ソングTD室長は「表情や顔の質感、まばたき、しかめた鼻筋のしわまでキャプチャーする最先端スキャニング技術でユーザーの現在の状況や気持ちまで認識するAIをサービスするのが目標」と話した。

◇バーチャルアイドルに20億ウォン投資した理由


この技術に20億ウォンを投資した企業は現代自動車グループだ。この会社が運用する「ZER01NE2号ファンド」を通じてだ。メタバースエンターテインメント関係者は「メタバース技術が当面のアイドル事業を超え多様な領域に拡張できる点が審査過程で高く評価された」と伝えた。例えば渋滞の道路で自動車が口角の下がったドライバーの表情を読み取り「退屈ですか、楽しい歌を流しましょうか」と話しかける日は遠くないという意味だ。

現代自動車グループが無限拡張している。核心は「開かれた革新」だ。自動車と仮想世界というやや見慣れない組み合わせは2年前の現代自動車グループの歩みにヒントがある。ヒョンデは世界最大のIT家電見本市CES2022で「メタモビリティ」というビジョンを明らかにしている。

当時ヒョンデは「未来にはインターネットなどに構築した既存の仮想空間の概念を超え現実と仮想の区分が消えた新たな形態のメタバースプラットフォームが登場するだろう」と明らかにした。モビリティを超えバーチャルリアリティまで予想しているという意味だ。

◇映画の中の技術を現実に?

4つのタイヤで走る自動車技術ではなく「10年後」「20年後」のモビリティ技術のビジョンを描く組織もある。現代自動車グループの新技術研究開発組織である先行技術院(IATD)がそれだ。

先行技術院は現代自動車グループの未来を描く組織のひとつだ。パワートレインからデザイン、走行性能など自動車のすべてを網羅する南陽研究所や、自動車より広い範囲の新技術(ロボティクスラボ、社内ベンチャー、次世代バッテリー研究など)を開発する義王(ウィワン)研究所があるが、先行技術院はこれよりさらに一歩先の未来を描く組織だ。ここでは自動車を研究するのでなく自動車(広く見ればモビリティ)とともにある暮らしを研究する。この2つの研究所がキム・ヨンファ最高技術責任者(CTO)兼社長の傘下であるのと違い、先行技術院は鄭義宣(チョン・ウィソン)現代自動車グループ会長の直属組織でもある。実際に鄭会長は先行技術院を開設してから1カ月後に直接訪れて研究員を激励したりもした。

6月に中央日報が訪れた先行技術院には最初から「自動車」がなかった。オフィスはIT企業が集まる京畿道城南市板橋(キョンギド・ソンナムシ・パンギョ)の真ん中にあるグレイツ板橋の12階にあった。

オフィスのあちこちには『アバウト・タイム』『ミッドナイト・イン・パリ』などの映画のポスターが貼られ、バットマンやベアブリックなど色とりどりのフィギュアもあちこちで目についた。廊下の壁には育児やウイスキー、園芸などを趣味に挙げた新入社員の自己紹介も掲示されていた。2021年にできた先行技術院の従業員数はわずか2年で50人から150人に増えた。

ぱっと見ではスタートアップのように自由奔放に見えるが必ずしもそうではない。まず構成員の大部分が課長級以上の責任研究員だ。博士出身や学士・修士を終えていたならすでに会社で数年以上働いた経歴職が大部分だ。社員の中には「○○学会最優秀論文受賞」のような華麗な経歴を持っているケースも珍しくない。機械工学だけでなくバイオ、物理、化学、コンピュータ科学、技術経営など専攻分野も多様だ。

彼らは現在、エンベデッドAI(内蔵型人工知能)、量子コンピュータ、セルフヒーリング、太陽電池など13件のプロジェクトを具体化している。プロジェクトの名前でみられるように自動運転車やアーバン・エア・モビリティ(UAM)も跳び超える未来が含まれている。

2021年に始まったエンベデッドAIプロジェクトは通常のプロジェクトが3~5人で組まれるのに対し20人以上の追加人員を選抜するほど最も規模が大きい。特に人のように聞いて答える生成型AIであるチャットGPTがメガヒットしながら研究にも加速度がついた。

エンベデッドAIは各機器でAIを駆動する概念だ。自動車で自動運転をする時にカメラから入力された映像などのデータを通じてAIが周辺の状況を認識して減速などを決める。この状況認識と決定という一連の段階が普通のAIのようにデータセンターやサーバーを経由せず自動車という機器自体で作動できるという意味だ。自ら作動が可能なのでトンネルなど通信品質が良くない環境でもスムーズに駆動するなどさまざまな利点が多い。

◇車両に適用するAI研究が最も活発

現在彼らは逆説的状況を解決しなければならないという課題を抱えている。新しいモビリティに搭載されるほど賢いながらも、より軽く安く信頼できるよう作らなければならないためだ。自動運転という複雑な機能を速やかに遂行しながらも、これまでより性能を効率化して電力消費はこれまでより100分の1水準に減らさなければならないという意味だ。

宿題はここからさらに3~4歩進む。AIは複雑で多くのデータを「わからない手続き」を経て結果を出す。自動運転でうまく走っていた自動車が不意に車線をはみ出るようになるなど異常が起きた場合、どうしてそうなったのかを知る術がないが、いつどこで誤作動を起こしたかを振り返る説明可能な過程を構築するという野心もある。

開発にはかなり速度がついた。先月末にAIアルゴリズムなどのソフトウエア開発を終え、年末には「アイオニック5」にまで搭載することを目標にしている。

ヒョンデ先行技術院のチョン・ウォンソク責任研究員は「開発者がAI機能開発を向上するのに焦点を合わせるならば、エンベデッドAIプロジェクトは発達したAI機能を車両に悩むことなくスムーズに搭載できるようにする作業」と説明した。


<ヒョンデ研究>10年後のヒョンデを設計する所…そこに「自動車」はなかった(2)

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