2010年代初期、ダイムラーAG(現メルセデス・ベンツ・グループ)のディーター・ツェッチェ会長は新生中国自動車市場が内燃機関自動車に傾けば輸送用石油需給の崩壊で共倒れの道を進みかねないと懸念した。「中国は新エネルギー自動車の方向に進むとよいだろう」と遠まわしに言った。
2020年代に入り中国では純粋内燃機関自動車からの転換政策が力を得て「未来型自動車新産業」が急速に発展した。その中心にはバッテリーを基盤とした新エネルギー自動車産業があった。先月、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)は中国の電気自動車(EV)メーカーである小鵬汽車(Xpeng)に7億ドル(約1033億円)を出資して株式5%を取得し、中国市場を狙った2つの戦略車両を開発することにした。この車はXpengのEV専用プラットフォームを利用する予定だ。フォルクスワーゲン系列のアウディも上海汽車集団(SAIC)のEV専用プラットフォームを使っている。売上の30%を中国市場に依存するフォルクスワーゲン・グループの苦肉の策という側面もあるが状況はそう簡単ではない。
長い歴史を持つ自動車メーカーはこのように中国EVメーカーと新たな協業に乗り出している。伝統的自動車メーカーと中国自動車メーカー間の投資と協業がEV側に集中し、自動車産業の様相も変化しつつある。2020年代の中国は世界最大の自動車市場であり、世界1位EV生産国、世界1位リチウムイオン二次電池生産国だ。特にテスラは今の地位に来るまで「ギガ上海」の役割が大きく、イーロン・マスクも比亜迪(BYD)のような中国EVメーカーをライバルに挙げる状況だ。中国製造業がないなら、良質の低価格二次電池も、競争力のあるEV専用プラットフォームもなく、製品を出して売る大きな市場もない状況が到来した。
中国バッテリーメーカーと米国EVメーカーはたびたび合資のニュースを伝える。「車両電子化」時代にも先進的自動車製造基盤で市場を再席巻できると信じている米国やドイツなど欧州の自動車メーカーは事実上敗北を認めた。また、中国のBYDは安定したセル(cell)ビジネスを通じてEV専用プラットフォームを韓国EVメーカー「KGモビリティー」と日本「トヨタ」に供給している。中国の寧徳時代新能源科技(CATL)がバッテリー事業競争者で、韓国3社(LGエナジーソリューション、SKオン、サムスンSDI)ではなく自国のBYDのほうを警戒しているという話が出るほどパラダイムが変わった。
「Kバッテリー」という魔法の呪文が流行している。しかし壬辰倭乱(文禄・慶長の役)直前に日本を無視した通信使のように「中国二次電池とEVは海を渡ることができない」という安易な判断からは、もうそろそろ抜け出さなくてはいけない時期を迎えた。市場の予測失敗で押し出された二次電池の産業競争力を再び強化する方案を悩む時だ。
パク・チョルワン/瑞靖大学スマート自動車学科教授
2020年代に入り中国では純粋内燃機関自動車からの転換政策が力を得て「未来型自動車新産業」が急速に発展した。その中心にはバッテリーを基盤とした新エネルギー自動車産業があった。先月、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)は中国の電気自動車(EV)メーカーである小鵬汽車(Xpeng)に7億ドル(約1033億円)を出資して株式5%を取得し、中国市場を狙った2つの戦略車両を開発することにした。この車はXpengのEV専用プラットフォームを利用する予定だ。フォルクスワーゲン系列のアウディも上海汽車集団(SAIC)のEV専用プラットフォームを使っている。売上の30%を中国市場に依存するフォルクスワーゲン・グループの苦肉の策という側面もあるが状況はそう簡単ではない。
長い歴史を持つ自動車メーカーはこのように中国EVメーカーと新たな協業に乗り出している。伝統的自動車メーカーと中国自動車メーカー間の投資と協業がEV側に集中し、自動車産業の様相も変化しつつある。2020年代の中国は世界最大の自動車市場であり、世界1位EV生産国、世界1位リチウムイオン二次電池生産国だ。特にテスラは今の地位に来るまで「ギガ上海」の役割が大きく、イーロン・マスクも比亜迪(BYD)のような中国EVメーカーをライバルに挙げる状況だ。中国製造業がないなら、良質の低価格二次電池も、競争力のあるEV専用プラットフォームもなく、製品を出して売る大きな市場もない状況が到来した。
中国バッテリーメーカーと米国EVメーカーはたびたび合資のニュースを伝える。「車両電子化」時代にも先進的自動車製造基盤で市場を再席巻できると信じている米国やドイツなど欧州の自動車メーカーは事実上敗北を認めた。また、中国のBYDは安定したセル(cell)ビジネスを通じてEV専用プラットフォームを韓国EVメーカー「KGモビリティー」と日本「トヨタ」に供給している。中国の寧徳時代新能源科技(CATL)がバッテリー事業競争者で、韓国3社(LGエナジーソリューション、SKオン、サムスンSDI)ではなく自国のBYDのほうを警戒しているという話が出るほどパラダイムが変わった。
「Kバッテリー」という魔法の呪文が流行している。しかし壬辰倭乱(文禄・慶長の役)直前に日本を無視した通信使のように「中国二次電池とEVは海を渡ることができない」という安易な判断からは、もうそろそろ抜け出さなくてはいけない時期を迎えた。市場の予測失敗で押し出された二次電池の産業競争力を再び強化する方案を悩む時だ。
パク・チョルワン/瑞靖大学スマート自動車学科教授
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