韓国国家情報院は４日、北朝鮮が韓国国内の反政府勢力などに日本の福島原発汚染水放流と関連して「反対活動」の指令を下したと明らかにした。

国家情報院は国会情報委員会全体会議で、「福島汚染水と関連し北朝鮮の反応が中国に比べ相対的に弱いのではないのか」という野党「共に民主党」の金宜謙（キム・ウィギョム）議員の質疑を受けこのように答えたと情報委与野党幹事である与党「国民の力」の劉相凡（ユ・サンボム）議員と民主党の尹建永（ユン・ゴニョン）議員が明らかにした。

与野党幹事は会見で「北朝鮮は現在韓国国内の共助勢力と地下網に（汚染水放流）反対活動をするように指令を持続的に出しており、（国家情報院は）把握していると答えた」と話した。特に劉議員は「共助勢力」に対して「韓国の反政府勢力」と説明した。


これに先立ち防諜当局は北朝鮮の対南工作組織である「文化交流局」が韓国国内のスパイと地下組織に福島汚染水放流に合わせて反日・反尹錫悦（ユン・ソクヨル）政権デモのレベルを高めるよう緊急指令を下したと把握し捜査に入ったという。北朝鮮は指令文を通じて日本の汚染水放流を反政府闘争の素材とするよう注文し、尹錫悦政権を「屈従外交にやつれた逆賊一味、親米・親日積弊勢力」と規定した。また「汚染水放流反対闘争を積極的に行い、これらを断罪する集団行動に出なければならない」としながら、具体的なデモ場所としてソウルの光化門（クァンファムン）広場と日本大使館周辺などまで指定したことがわかった。

◇「北朝鮮が戦争するならば在来式・戦術核兵器結びつけた短期戦」

国家情報院は北朝鮮と中国・ロシアの海上合同演習実施の可能性についても「ロシアのショイグ国防相が北朝鮮を訪問し金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長と面談した際に中朝ロ合同演習に関する公式提案があったものと把握している」と話した。マツェゴラ駐北朝鮮ロシア大使が２日にタス通信とのインタビューで中ロ合同軍事演習に北朝鮮を含む構想について「適切なようだ」と話し最近中朝ロ海上合同演習実施の可能性が台頭した。

北朝鮮の軍事挑発の可能性と関連し国家情報院は「北朝鮮が万一戦争をするならば在来式と戦術核武器が結びついた短期戦を考えているものが明白に見える」と明らかにした。

国家情報院は最近金正恩委員長が韓国の忠清南道鶏竜台（チュンチョンナムド・ケリョンデ）付近をターゲットに作戦指示をしたことなどと関連し「外部的に見る時は（韓米合同演習の）　ＵＦＳ演習に対する対応の性格を見せているようだが金委員長の行動と北朝鮮の戦力で見ると北朝鮮はもし戦争をするならば長期戦は不可能で、速戦即決の短期戦で戦争をしようとする意志が強くみられる」と報告した。

国家情報院はまた「北朝鮮の海軍力が劣勢という状況で現在４００～８００メートルあるいは１５００メートル上空で持続的な爆発実験があるが、戦術核の威力を実験するもので今後対南挑発時にその方向を予想できる」と話した。最近の北朝鮮の巡航ミサイル発射と関連し国家情報院は「２発を発射し北朝鮮はいずれも成功したというが韓国国防部の発表のように１発は成功、１発は失敗したと把握している」と説明した。

「キム・ジュエ後継者説」に対しては、国家情報院は「北朝鮮は白頭血統に対する執着が強く、男性中心の社会のため現段階でキム・ジュエを後継者と判断するのは早計だ」と答えた。

国家情報院は「中国秘密警察署」の国内拠点という疑惑を受けた中華料理店「東方明珠」と関連してはまだ関連者の身柄処理がなかったと答えた。中央選挙管理委員会対象の北朝鮮によるハッキングは現在点検中で、９月中に選管委と協議して結果を発表する計画も明らかにした。

一方、国家情報院は「施行令改正で対共捜査権移転問題が過去に回帰するのではないか」という質疑に、「来年からは警察が対共捜査をすることになり国家情報院は補助的役割をする。国家情報院が再び捜査権を確保するのは根拠のない話で、法に基づき徹底的に履行する」と答えた。国家情報院に特殊活動費執行指針があるかとの質問には「執行指針はあるがこの場では正確に話しにくい。情報委で検討し報告できるようにする。閲覧も可能だ」と説明した。

この日の会議で情報委員は北朝鮮の指令文を受けてスパイ活動を行った容疑で逮捕起訴された元民主労総幹部の裁判で国家情報院の捜査官が指令文の暗号解読過程を試演したことと関連し、「国家安保に困難を引き起こしかねないので気を付けなければならない」と指摘した。これに対し金奎顕（キム・ギュヒョン）国家情報院長は「公開試演は不適切とみられる。裁判過程で安保関連の部分は非公開で進められるよう法律が改正されることを希望する」と答えた。