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<ヒョンデ研究>鄭義宣会長は「1%」を探しに行った、ネイバーにも表示されない「秘密基地」(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

1996年に行われた現代自動車南陽総合研究所竣工式。鄭周永現代グループ先代会長(故人、左からで4人目)と鄭夢九現代自動車グループ名誉会長(右から4人目)らが参加した。[写真 ヒョンデ]

RN22eは世界ただひとつの異種交配車両だ。アイオニック6の車体にアイオニック5Nの電気モーターを載せた。助手席に乗り込むとテストカーという事実がすぐにわかった。運転者を保護するためのロールケージがあちこちに設置されていた。試験中の電気装置はそのまま外部に露出している。ヒョンデのホ・ヨン責任研究員は「1台当たり10億ウォンをかけてRN22eはわずか2台だけ製作された。ドイツとオーストラリアなど訪ねる所が多く現代自動車グループで最も忙しい車両だ」と話した。RN22eは南陽研究所の先行技術力を見せる。海外メディアでは「本当にヒョンデが作った車なのか」という評価が出てきた。

◇生きて動く研究所、それが南陽

カン・チーム長がRN22eの始動ボタンを押しアクセルを踏むと内燃機関のように力強いエンジン音が聞こえた。一般的な電気自動車はモーターだけあるためエンジン音は存在しない。彼は「高性能内燃機関特有の排気音とエンジン音を作るために研究所で開発した『Nアクティブサウンドプラス技術』を適用した」と誇らしげに話した。


研究チームとともに走行試験場に移動してRN22eに試乗した。やはり印象的なのは変速衝撃を作るNeシフト機能だった。アクセルを踏み込むと変速の衝撃を感じることができた。1段から2段、2段から3段にエンジン車のギアがチェンジする時のような変速の衝撃が全身を包んだ。

電気モーターで駆動する電気自動車は最初から変速の衝撃というものは存在しない。だがモーターの回転速度を微細に調整して変速の衝撃を「創造」したのだ。eシフトはアイオニック5Nに適用される予定で、量産電気自動車にeシフト機能が適用されるのは世界初だ。カン・チーム長の続く説明だ。

「eシフトはかつてヒョンデを嘲笑していた海外メディアも大きな関心を見せた技術です。運転者が高性能内燃機関でトラックを回りながら触覚と視覚的な感覚を電気自動車でもそのまま感じられるようにしました」。

◇最近の宿題「高性能内燃機関に似た電気自動車」

彼の話の通りeシフトは南陽研究所が集中している先行研究の力を見せる事例だ。電動化制御リサーチラボが2020年初めに開発したこの技術は、事業性検証と車両テストを通過して3年ぶりに光を見ることになった。

ホ責任研究員がアクセルを踏むとダッシュボードにエンジン回転数(RPM)を表示する画面が出てきた。これもまたヒョンデが新たに準備している新技術だ。

このように最近南陽研究所では「高性能内燃機関に似た電気自動車」の開発が最も大きな宿題だ。ヒョンデはアイオニック5Nをはじめ高性能電気自動車のラインナップを拡大する計画だ。そうした点からRN22eはアイオニック6Nに進むためのひとつの飛び石だ。自動車融合技術院のイ・ハング院長は「フォーミュラ1が電気自動車が出場するフォーミュラEに変身しているように、高性能車市場も電気自動車が大勢に位置するだろう。極限の技術を扱う高性能電気自動車の無限競争がいままさにスタート地点を過ぎたもの」と話した。

◇電動化、SDVで未来10年描く

技術開発だけでなく組織文化も変えているところだ。ヒョンデと起亜は12日に研究開発本部組織を大々的に改編した。電動化とSDV(ソフトウエア中心車両)開発に最適化した組織に転換するのが核心だ。本部とセンターが独立的に技術開発をし、協業が必要な場合には1カ所に集まり、その後は散らばって柔軟に動く形態だ。鄭会長が強調するソフトでスピーディな方向に組織が変化しているのだ。彼は新年会で「独自の車両運営システム(OS)を確実に構築する」としてSDVを強調した。現代自動車グループの未来10年を電動化とSDVに求めているのだ。

これは現代自動車グループだけではない。世界的自動車メーカーも同様の方向に動いている。ドイツのフォルクスワーゲンは2020年にソフトウエア子会社カリアドを設立して自動車ソフトウエア開発だけに5000人を投じている。米GMとフォードも車両用ソフトウエア開発を目標に開発人材を増員している。

翰林(ハンリム)大学人工知能融合学部のチョン・テギョン教授は、「最近ヒョンデがクラウドとコネクテッド分野でソフトウエア人材を大規模に補充したと承知している。この100年が車両用ハードウエア競争だとすれば、自動運転車とAIが主導するこれからの100年はソフトウエア競争力が最も重要になるだろう」と予想した。

電気自動車、特に核心部品であるバッテリー技術の開発競争も激しい。日本のトヨタは最近全固体電池の量産計画を正式に発表した。全固体電池はリチウムイオンと比べエネルギー密度が高く火災のリスクが少ない。南陽研究所でもリチウムイオン金属など次世代バッテリー研究の真っ最中だ。大林(テリム)大学未来自動車学部の金必洙(キム・ピルス)教授は「独自のバッテリー技術開発は世界的自動車メーカーの共通課題。ゲームチェンジャーとなるバッテリー技術が登場すれば電気自動車市場も急変するため自動車メーカーは備えざるを得ない」と話した。

◇2019年以降に投資停滞…GMの4分の1水準

だがさらに果敢な研究開発投資に出なければならないという指摘もある。規模の面で競合企業との格差が大きく広がっており、これさえもこの3~4年間は停滞しているという話だ。

自動車データ分析会社ウォーズオートによるとヒョンデは昨年24億9109万ドル(約3628億円)を研究開発に投じた。これはGMの98億ドル、フォルクスワーゲンの158億ドルと比較すると非常に低い数値だ。さらに2019年からは停滞状態だ。2015年に2兆1700億ウォン(現在のレートで約2387億円)だったヒョンデの研究開発投資規模は2015年に2兆1700億ウォンでその後2016に2兆3500億ウォン、2017年に2兆5000億ウォン、2018年に2兆7600億ウォン、2019年に3兆400億ウォンと毎年2000億~3000億ウォン増えた。だが2020年は3兆1000億ウォン、2021年は3兆900億ウォンを投じるのにとどまった。

売り上げに対する研究開発投資の割合もやはりヒョンデは競合企業に大きく遅れている。ヒョンデの昨年の売り上げに対する研究開発投資の割合は1.75%で、GMの6.25%、フォードの4.93%、テスラの3.77%に満たない。ウォーズオート関係者は「ヒョンデが低コストで新車を開発できる魔法を持っているか、研究開発費を別の方法で計算するためかもしれない」と皮肉った。

現代自動車グループは12日、海外法人の留保金7兆8000億ウォンを韓国に持ち込み電気自動車投資などに活用すると明らかにした。ヒョンデ関係者は「未来自動車投資拡大に向けた措置」と説明した。金必洙教授は「世界的自動車メーカー水準に投資を拡大してこそ未来自動車のファーストムーバーになれる。資本のリショアリング(国内回帰)が研究開発投資と生産基地拡充に寄与するだろう」と予想する。


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