3日に発生した「盆唐(プンダン)通り魔事件」の加害者のチェ容疑者(22)は、平凡な中産層の家で育った。しかし、特別目的高校への進学に失敗した後、一般高校を自主退学し、家族と離れて孤独に過ごしてきたことが分かった。社会的挫折が2020年の統合失調質パーソナリティ障害の発病につながり、その結果、社会的孤立が深刻化する悪循環の中にあった。チェ容疑者と推定される人物が2日に残したインターネットの投稿には「生きる日が残りわずかだ。もうすぐ異世界に行く」という内容が書かれていた。捜査チームの関係者は「一人暮らしをしていたチェ容疑者が犯行3日前に両親の家に移った。一人暮らしの家に荷物が残っており、引っ越したわけではない」と話した。近所の人たちは「毎日帽子を深くかぶって歩いていた」「通りすがりに挨拶をしたことがあるが、一人ぼっちだったとは思わなかった」とチェ容疑者を記憶していた。
チェ容疑者が運転していた乗用車にはねられ、脳死状態に陥ったAさん(64)が同日午前2時頃に息を引き取り、事件の被害者は14人の負傷から死者1人、負傷者13人(重傷11人、軽傷2人)となった。警察はチェ容疑者の容疑を「殺人未遂」から「殺人など」に変更した。
「孤立した一人ぼっち」という点はチェ容疑者が先に無差別殺傷を犯したチョン・ユジョン容疑者(24)、チョ・ソン容疑者(33)と共有する共通分母だ。チョン・ユジョン容疑者は不遇な成長過程・境遇に対する不満を抱いて5月、家庭教師アプリで知り合った20代女性の家を訪ね、凶器で無残に殺害した。犯行前に父親と電話で話して傷ついた思いを打ち明けたが、謝罪を受けられなかったことから「私が大きな事件を起こしてしまえば私も死ななければならない」という言葉を残し、殺人計画を実行に移した。チョン・ユジョン容疑者の殺人動機は「私がこの世で一番可哀想」という検察公訴状の一文に凝縮されている。
先月21日、ソウル新林(シルリム)駅近くで通り魔事件を起こし、20代男性1人を殺害し、30代男性3人を負傷させたチョ・ソン容疑者も警察の調査で「私は不幸だが、他人も不幸にしたかった」と供述した。前科3犯で少年部送致の前歴が14件あるチョ・ソン容疑者は現行犯で逮捕された当時、「一生懸命生きてもだめだった。むかついて殺した」と社会に対する怒りを表した。「最近の事件の加害者は皆、自分の感情に埋もれた社会的孤立というのが共通点」(建国大学警察学科イ・ウニョク教授)という解釈が出た。
◆凶器テロ頻発、殺人予告文氾濫…「社会の底辺の攻撃性エネルギー凝縮」
過去にも孤立した孤独な犯人が犯した無差別車両・凶器暴動事故は度々起こったが、最近のように頻発してはいなかった。「世の中に復讐したかった」と言って1991年にソウル汝矣島(ヨイド)広場で車を走らせて23人の死傷者(死亡2人、負傷21人)を出したキム・ヨンジェ事件が代表的だ。その後は2008年の論峴洞(ノニョンドン)考試院殺人事件、2016年の梧牌山(オペサン)トンネル銃撃事件などが起きた。
このため、専門家らは最近連続して起こった無差別殺傷事件が社会病理的側面を反映していると診断した。中央(チュンアン)大学社会学科のシン・ジヌク教授は「最近の事件は社会の底辺にどれほど大きな攻撃性エネルギーが凝縮されているかを示している」とし、「世界最高水準の自殺率に表れたり、無差別犯罪が頻繁・果敢になる様相」と説明した。東国(トングク)大学警察行政学部のクァク・デギョン教授は、「社会とつながっている糸が切れたと考えている人には、怖いものがない。韓国社会の随所に隠されていた時限爆弾が今になって爆発している」と述べた。
殺人犯罪を予告する文がオンラインに氾濫しているという点も前例のない現象だ。警察は6日午後6時までに殺人予告文を投稿した54人を検挙した。「冗談だった」と述べたケースが多いが、「新林駅で女性20人を殺す」と予告して購入したナイフの写真を投稿したイ氏(24)は実際、「新林洞事件に関する投稿を見て怒りを感じた」と供述した。4日、ソウル盤浦洞(パンポドン)高速バスターミナルに凶器2点を所持して現れ、6日に拘束された20代男性ホ氏は行動する前にSNSに「警察官を刺して殺す」と投稿したことが確認された。東国大警察行政学部のイ・ユンホ名誉教授は「犯行を行った人々と類似した立場・状況に置かれた人々が多いため」と診断した。
実際に最近、無差別殺人を犯した人たちと模倣犯罪の予告文を投稿して検挙された人たちはほとんど定職のない20~30代だ。現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は「健康な社会生活ができない青年たちが出てきている」とし「最近の事件が青年層に集中したのは経済的問題とも無関係ではないように見える」と診断した。韓国の青年(15~29歳)失業者と非経済活動人口は2020年81万8000人まで急騰した。新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)のパンデミックが終了したことで、昨年は66万人まで減少したが、「求職活動をしないで休んだ」という非経済活動青年は2020年の44万8000人から昨年は39万人へと小幅の減少に止まった。2004年の26万人から持続的に増加傾向が続いているわけだ。
◆日本の長期不況後の「通り魔」に似ている…アノミー社会への懸念
最近の現象が、1990年代の長期不況以降、街頭で不特定多数を無差別殺傷するいわゆる「通り魔」問題に震撼した10年余り前の日本と似ているという分析も出ている。日本で起きた事件の犯人たちは「この社会は私の価値を認めてくれなかった」(1999年、池袋通り魔殺人事件)、「死刑になりたかった」(2001年、附属池田小学校殺傷事件)、「世の中が嫌になった」(2008年、秋葉原通り魔事件)など社会に向けた怒りのメッセージを吐き出した。7人の死者を出した秋葉原通り魔事件の犯人・加藤智大(当時25歳)の場合、勤めていた自動車メーカーの工場から契約解除された後、インターネット掲示板に非正規職関連の不満を繰り返し吐露していた。逮捕後は、「世の中が嫌になった。誰でもよかった」と述べた。
怒りの社会を研究してきた高麗(コリョ)大学社会学科の金文朝(キム・ムンジョ)名誉教授は「社会の主流から離脱したという疎外感のため、価値混乱を体験し犯行を犯すことになる『疎外型アノミー』現象が我が国でも起きている」と診断した。国民大学社会学科のチェ・ハンソプ教授は「至急対策を講じなければ誰もが攻撃を受けるかもしれないと考え、社会的信頼と幸福感が墜落し、結局、より大きな社会問題を引き起こす典型的なアノミー社会に陥る恐れがある」と述べた。
チェ容疑者が運転していた乗用車にはねられ、脳死状態に陥ったAさん(64)が同日午前2時頃に息を引き取り、事件の被害者は14人の負傷から死者1人、負傷者13人(重傷11人、軽傷2人)となった。警察はチェ容疑者の容疑を「殺人未遂」から「殺人など」に変更した。
「孤立した一人ぼっち」という点はチェ容疑者が先に無差別殺傷を犯したチョン・ユジョン容疑者(24)、チョ・ソン容疑者(33)と共有する共通分母だ。チョン・ユジョン容疑者は不遇な成長過程・境遇に対する不満を抱いて5月、家庭教師アプリで知り合った20代女性の家を訪ね、凶器で無残に殺害した。犯行前に父親と電話で話して傷ついた思いを打ち明けたが、謝罪を受けられなかったことから「私が大きな事件を起こしてしまえば私も死ななければならない」という言葉を残し、殺人計画を実行に移した。チョン・ユジョン容疑者の殺人動機は「私がこの世で一番可哀想」という検察公訴状の一文に凝縮されている。
先月21日、ソウル新林(シルリム)駅近くで通り魔事件を起こし、20代男性1人を殺害し、30代男性3人を負傷させたチョ・ソン容疑者も警察の調査で「私は不幸だが、他人も不幸にしたかった」と供述した。前科3犯で少年部送致の前歴が14件あるチョ・ソン容疑者は現行犯で逮捕された当時、「一生懸命生きてもだめだった。むかついて殺した」と社会に対する怒りを表した。「最近の事件の加害者は皆、自分の感情に埋もれた社会的孤立というのが共通点」(建国大学警察学科イ・ウニョク教授)という解釈が出た。
◆凶器テロ頻発、殺人予告文氾濫…「社会の底辺の攻撃性エネルギー凝縮」
過去にも孤立した孤独な犯人が犯した無差別車両・凶器暴動事故は度々起こったが、最近のように頻発してはいなかった。「世の中に復讐したかった」と言って1991年にソウル汝矣島(ヨイド)広場で車を走らせて23人の死傷者(死亡2人、負傷21人)を出したキム・ヨンジェ事件が代表的だ。その後は2008年の論峴洞(ノニョンドン)考試院殺人事件、2016年の梧牌山(オペサン)トンネル銃撃事件などが起きた。
このため、専門家らは最近連続して起こった無差別殺傷事件が社会病理的側面を反映していると診断した。中央(チュンアン)大学社会学科のシン・ジヌク教授は「最近の事件は社会の底辺にどれほど大きな攻撃性エネルギーが凝縮されているかを示している」とし、「世界最高水準の自殺率に表れたり、無差別犯罪が頻繁・果敢になる様相」と説明した。東国(トングク)大学警察行政学部のクァク・デギョン教授は、「社会とつながっている糸が切れたと考えている人には、怖いものがない。韓国社会の随所に隠されていた時限爆弾が今になって爆発している」と述べた。
殺人犯罪を予告する文がオンラインに氾濫しているという点も前例のない現象だ。警察は6日午後6時までに殺人予告文を投稿した54人を検挙した。「冗談だった」と述べたケースが多いが、「新林駅で女性20人を殺す」と予告して購入したナイフの写真を投稿したイ氏(24)は実際、「新林洞事件に関する投稿を見て怒りを感じた」と供述した。4日、ソウル盤浦洞(パンポドン)高速バスターミナルに凶器2点を所持して現れ、6日に拘束された20代男性ホ氏は行動する前にSNSに「警察官を刺して殺す」と投稿したことが確認された。東国大警察行政学部のイ・ユンホ名誉教授は「犯行を行った人々と類似した立場・状況に置かれた人々が多いため」と診断した。
実際に最近、無差別殺人を犯した人たちと模倣犯罪の予告文を投稿して検挙された人たちはほとんど定職のない20~30代だ。現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は「健康な社会生活ができない青年たちが出てきている」とし「最近の事件が青年層に集中したのは経済的問題とも無関係ではないように見える」と診断した。韓国の青年(15~29歳)失業者と非経済活動人口は2020年81万8000人まで急騰した。新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)のパンデミックが終了したことで、昨年は66万人まで減少したが、「求職活動をしないで休んだ」という非経済活動青年は2020年の44万8000人から昨年は39万人へと小幅の減少に止まった。2004年の26万人から持続的に増加傾向が続いているわけだ。
◆日本の長期不況後の「通り魔」に似ている…アノミー社会への懸念
最近の現象が、1990年代の長期不況以降、街頭で不特定多数を無差別殺傷するいわゆる「通り魔」問題に震撼した10年余り前の日本と似ているという分析も出ている。日本で起きた事件の犯人たちは「この社会は私の価値を認めてくれなかった」(1999年、池袋通り魔殺人事件)、「死刑になりたかった」(2001年、附属池田小学校殺傷事件)、「世の中が嫌になった」(2008年、秋葉原通り魔事件)など社会に向けた怒りのメッセージを吐き出した。7人の死者を出した秋葉原通り魔事件の犯人・加藤智大(当時25歳)の場合、勤めていた自動車メーカーの工場から契約解除された後、インターネット掲示板に非正規職関連の不満を繰り返し吐露していた。逮捕後は、「世の中が嫌になった。誰でもよかった」と述べた。
怒りの社会を研究してきた高麗(コリョ)大学社会学科の金文朝(キム・ムンジョ)名誉教授は「社会の主流から離脱したという疎外感のため、価値混乱を体験し犯行を犯すことになる『疎外型アノミー』現象が我が国でも起きている」と診断した。国民大学社会学科のチェ・ハンソプ教授は「至急対策を講じなければ誰もが攻撃を受けるかもしれないと考え、社会的信頼と幸福感が墜落し、結局、より大きな社会問題を引き起こす典型的なアノミー社会に陥る恐れがある」と述べた。
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