慶尚南道泗川の海上養殖場。高水温被害に備えて酸素供給機で養殖漁場に酸素を供給している。[写真 慶尚南道]
高水温注意報は水温が28度に達すると発令される。クロダイなどタイ類とボラは生育適正水温が20~28度で相対的に他の養殖魚種に比べると高い方だ。だが熱に強いタイ類も30度を上回る高水温には対応できない。養殖場のスタッフは自治体で支援された免疫増強剤を飼料に混ぜて魚に食べさせていた。他の養殖場では日照量を減らすため大型の黒い遮光幕で海水面を覆ったりもしている。
◇水温上昇する釜山~全羅南道近海
韓国国立水産科学院が2日に明らかにしたところによると、最近高水温特報が釜山(プサン)加徳島(カドクド)~慶尚南道(キョンサンナムド)全域~全羅南道長興(チョンラナムド・チャンフン)にかけた南海中部沿岸で拡大した。慶尚南道の鎮海湾(チンヘマン)、全羅南道得糧湾(トゥクリャンマン)、全羅南道汝自湾(ヨジャマン)の3つの内湾は28度以上水温が3日にわたり続き高水温警報に格上げされた。先月31日基準で警報区間の主要海域の水温は27.3~28.8度だ。残りの1段階低い高水温注意報海域もいつ警報に引き上げられるかわからない。海域別の偏差はあるが水温が26.4~28.8度を示しているためだ。
慶尚南道南海岸海域は梅雨期の7月7日~7月28日までは水温が19度~22度を維持した。だが梅雨が終わり猛暑が続くと水温が急激に上がっている。
国立水産科学院のハン・インソン気候変動研究科長は「今年の梅雨は長く高水温になる時期が前年より3週間ほど遅かったが、東海岸とは違い水深が低い南海岸と西海岸を中心に水温が急速に上がっている。その上高温多湿な北太平洋高気圧がとどまってヒートドーム現象で海域をさらに熱くしているが、台風6号も韓国ではなく日本側に進むようで高水温現象は徐々に深化するものとみられる」と説明した。
ハン課長は続けて「このように気候が安定した状況では海水の表層と低層間の循環もなされず水温が高まり続けるほかない。現在としては水温が高まり警報区域がさらに拡大するものとみられる」とした。
◇養殖魚の半分がクロソイ…高水温に弱い
一般的に水温の1度上昇は陸上での気温5度以上の変化に匹敵するほど海洋生物には致命的だ。このため毎年7~9月は海上養殖場の漁民に最大の山場だ。特に慶尚南道近海で海上養殖場を運営する漁民の心配が大きい。慶尚南道6市郡の海上養殖場402ヘクタールで育てる魚種の50%以上がクロソイだからだ。クロソイは適正水温が12~21度で、高水温に特に弱い。
統営(トンヨン)の0.4ヘクタールの養殖場でクロソイ15万匹を育てるハンさんは「日陰がなければクロソイが生きられないので遮光幕も設置し栄養剤も一緒に食べさせている。しなければ全部死ぬ」と吐露した。この日午後2時ごろ統営慾知島(ヨクチド)の水温は27.9度を記録した。この1週間は1日最高水温が26度~28.7度だったほど熱かった。昨年夏には28度を超えたことはなかった。
昨年慶尚南道で高水温被害はなかったが、2021年には統営と巨済(コジェ)、古城(コソン)、南海(ナムヘ)、河東(ハドン)の213カ所の養殖場で魚類1042万匹が死んだ。被害額は116億5900万ウォンに達し、養殖場大量死の中でも最悪の年と記録されるほどだ。それに先立ち2018年と2019年にも大量死が発生し、それぞれ7億4600万ウォンと91億300万ウォンの財産被害を受けた。まだ南海岸一帯に高水温による直接被害は発生していないが水温がますます高まっており緊張状態となっている。
◇「被害最小化」…自治体が管理に乗り出す
慶尚南道は漁業災害にともなう被害を最小化するための非常管理に入った。4億5500万ウォン相当の免疫増強制22トンを6市郡に供給した。漁民が高水温による漁業災害に対応できるよう液化酸素供給機、循環ポンプなど3090台の装備普及も終えた。予算だけで11億2500万ウォンが投入された。養殖水産物災害保険料として15億ウォン相当を支援し、災害保険加入も奨励している。慶尚南道関係者は「被害を最小化するために養殖場管理に格別の関心と注意が必要な時」と呼び掛けている。
この記事を読んで…