「南朝鮮(韓国)の失業問題がどれほど深刻ならば『あなたは解雇されませんでしたか』という言葉があいさつの言葉として通用するだろうか」。
北朝鮮労働党統一戦線部傘下の平壌(ピョンヤン)出版社が「韓国の人権状況は世界最悪」としながら21日に発刊した対南誹謗用パンフレット「人権凍土帯」の一節だ。韓国の一部の陰謀説もそのまま記述されたが、韓国統一部は「北朝鮮がどれだけ国際社会の基準とかけ離れているかを見せる」と指摘した。
◇韓国をまねてみたが…
この日公開された北朝鮮の人権凍土帯は98ページの量で、3月に韓国が政府レベルで初めて発刊した北朝鮮の人権報告書に対する正面対抗の性格とみられる。
人権凍土帯は「間違いなく抹殺される社会政治的権利」「無惨に踏みにじられる経済文化的権利」など4つの細部目次で構成される。これは「市民的・政治的権利」「経済的・社会的・文化的権利」など国際人権規約に基づいた順序でまとめられた韓国政府の北朝鮮人権報告書を模倣したとみられる。
だが韓国政府の報告書は2017年以降の脱北者508人の証言を基に作成したのに対し、北朝鮮の人権凍土帯には直接収集した証言が1件も掲載されていない。韓国政府の報告書は陳述者の性別、脱北年度、脱北時の年齢、脱北前の居住地まで詳細に明らかにして信憑性を高めた。
◇荒唐無稽な指摘だらけ
実際の内容を見ると大部分が韓国メディアで報道された内容を任意的に切り貼りしていた。不正確な統計と各種陰謀説も目に付いた。
一例として北朝鮮は「尹錫悦(ユン・ソクヨル)逆徒が執権してから失業者数はおよそ580万人」と主張した。だが韓国統計庁によると先月基準で失業者は80万7000人で、この15年で最も低い水準だった。統計庁関係者は北朝鮮の主張に対し「根拠のない数値」と反論した。
このほかにも「(韓国の)老人らは早く死ねばこの苦痛が終わると言いながら子どもと社会を恨んで自殺の道を選んでいる」「(韓国の)大学生の88%程度が『登録金(授業料)』を調達するために『アルバイト』と呼ばれる放課後労働をしており、甚だしくは女子学生が体まで売っているという」など極端な一部事例を一般化した誹謗が続いた。
これと関連して、統一部の具炳杉(ク・ビョンサム)報道官は31日の定例会見で「宣伝メディアにいちいち対応しない」としながらも、「北朝鮮が現在国際社会が共有している普遍的な基準とどれだけかけ離れているのか自ら見せている」と指摘した。
◇在韓米軍こき下ろし
韓米同盟を離間させるような部分もあった。北朝鮮は韓米相互防衛条約第4条を取り上げながら「南朝鮮の領土主権は米国に完全に渡され米国が軍事戦略上必要なところならば何の制限もなく奪って利用する」と主張した。その上で「米国にとって南朝鮮住民は水辺のカモ、山中のキジ、野ネズミにすぎず、女性はただの慰みものにすぎない」とした。4条は「米国の陸海空軍を韓国の領土内とその付近に配備する権利を韓国は許容し米国は受諾する」と在韓米軍駐留の根拠を規定しているが、米国が任意に韓国領土を奪ったかのように強弁したのだ。
一方、北朝鮮は韓国軍内の性暴力問題を指摘しながら「よほどでなければ国連人権理事会が立ち上がり『南朝鮮軍内の性暴力を予防し人権を増進せよ』と勧告しただろうか」と言及した。
これまで国連人権理事会で採択された北朝鮮の人権決議に対して「虚偽とねつ造で一貫したインチキ文書」として猛非難した北朝鮮が、今度は国連の権威を借りて対南誹謗に活用した形だ。
統一研究院のオ・ギョンソプ研究委員は「北朝鮮が国連の人権モニタリング結果を取捨選択して対南攻勢に活用したということは逆説的に国連の指摘をとても意識しているという傍証。人権凍土帯は事実関係に基づかずに韓国社会の一部の弊害を誇大包装した内容であふれており国際社会に及ぼす波紋はほとんどないだろう」と話した。
◇「無根本」逆攻勢再開か
北朝鮮はこれに先立ち2013~2017年にも「南朝鮮人権対策協会」を前面に出して官営メディアを動員した対南誹謗に熱を上げた。「朝鮮人権じゅうりん調査通報」「南朝鮮人権白書」など報告書を出して韓国社会の悲劇であるセウォル号事故、MERS流行などを取り上げながら「残酷な人権じゅうりん惨事」と非難する形だった。
当時の北朝鮮の無分別な攻勢は国連が2013年から北朝鮮人権調査委員会(COI)を設立し本格的な北朝鮮の人権実態調査に着手した時期とも重なる。COIは翌2014年2月に最終報告書を通じて北朝鮮国内の人権じゅうりんを「反人道犯罪」と規定しながら「北朝鮮当局により組織的で広範囲で深刻な人権侵害が強行された」と指摘した。
これに対し北朝鮮は同年9月に朝鮮人権協会報告書を出し、「(北朝鮮の)人権状況に対し歪曲された見解が流布されている」として反論に出た。人権への指摘を体制に対する脅威と受け止める北朝鮮が内部動揺を防ぐために必死な逆攻勢に出たのだ。
今回北朝鮮が人権凍土帯を発刊して精製されていない主張を吐き出すのも最近の国際社会の人権圧力をそれだけ痛く受け止めたためという指摘が出ている。
北朝鮮労働党統一戦線部傘下の平壌(ピョンヤン)出版社が「韓国の人権状況は世界最悪」としながら21日に発刊した対南誹謗用パンフレット「人権凍土帯」の一節だ。韓国の一部の陰謀説もそのまま記述されたが、韓国統一部は「北朝鮮がどれだけ国際社会の基準とかけ離れているかを見せる」と指摘した。
◇韓国をまねてみたが…
この日公開された北朝鮮の人権凍土帯は98ページの量で、3月に韓国が政府レベルで初めて発刊した北朝鮮の人権報告書に対する正面対抗の性格とみられる。
人権凍土帯は「間違いなく抹殺される社会政治的権利」「無惨に踏みにじられる経済文化的権利」など4つの細部目次で構成される。これは「市民的・政治的権利」「経済的・社会的・文化的権利」など国際人権規約に基づいた順序でまとめられた韓国政府の北朝鮮人権報告書を模倣したとみられる。
だが韓国政府の報告書は2017年以降の脱北者508人の証言を基に作成したのに対し、北朝鮮の人権凍土帯には直接収集した証言が1件も掲載されていない。韓国政府の報告書は陳述者の性別、脱北年度、脱北時の年齢、脱北前の居住地まで詳細に明らかにして信憑性を高めた。
◇荒唐無稽な指摘だらけ
実際の内容を見ると大部分が韓国メディアで報道された内容を任意的に切り貼りしていた。不正確な統計と各種陰謀説も目に付いた。
一例として北朝鮮は「尹錫悦(ユン・ソクヨル)逆徒が執権してから失業者数はおよそ580万人」と主張した。だが韓国統計庁によると先月基準で失業者は80万7000人で、この15年で最も低い水準だった。統計庁関係者は北朝鮮の主張に対し「根拠のない数値」と反論した。
このほかにも「(韓国の)老人らは早く死ねばこの苦痛が終わると言いながら子どもと社会を恨んで自殺の道を選んでいる」「(韓国の)大学生の88%程度が『登録金(授業料)』を調達するために『アルバイト』と呼ばれる放課後労働をしており、甚だしくは女子学生が体まで売っているという」など極端な一部事例を一般化した誹謗が続いた。
これと関連して、統一部の具炳杉(ク・ビョンサム)報道官は31日の定例会見で「宣伝メディアにいちいち対応しない」としながらも、「北朝鮮が現在国際社会が共有している普遍的な基準とどれだけかけ離れているのか自ら見せている」と指摘した。
◇在韓米軍こき下ろし
韓米同盟を離間させるような部分もあった。北朝鮮は韓米相互防衛条約第4条を取り上げながら「南朝鮮の領土主権は米国に完全に渡され米国が軍事戦略上必要なところならば何の制限もなく奪って利用する」と主張した。その上で「米国にとって南朝鮮住民は水辺のカモ、山中のキジ、野ネズミにすぎず、女性はただの慰みものにすぎない」とした。4条は「米国の陸海空軍を韓国の領土内とその付近に配備する権利を韓国は許容し米国は受諾する」と在韓米軍駐留の根拠を規定しているが、米国が任意に韓国領土を奪ったかのように強弁したのだ。
一方、北朝鮮は韓国軍内の性暴力問題を指摘しながら「よほどでなければ国連人権理事会が立ち上がり『南朝鮮軍内の性暴力を予防し人権を増進せよ』と勧告しただろうか」と言及した。
これまで国連人権理事会で採択された北朝鮮の人権決議に対して「虚偽とねつ造で一貫したインチキ文書」として猛非難した北朝鮮が、今度は国連の権威を借りて対南誹謗に活用した形だ。
統一研究院のオ・ギョンソプ研究委員は「北朝鮮が国連の人権モニタリング結果を取捨選択して対南攻勢に活用したということは逆説的に国連の指摘をとても意識しているという傍証。人権凍土帯は事実関係に基づかずに韓国社会の一部の弊害を誇大包装した内容であふれており国際社会に及ぼす波紋はほとんどないだろう」と話した。
◇「無根本」逆攻勢再開か
北朝鮮はこれに先立ち2013~2017年にも「南朝鮮人権対策協会」を前面に出して官営メディアを動員した対南誹謗に熱を上げた。「朝鮮人権じゅうりん調査通報」「南朝鮮人権白書」など報告書を出して韓国社会の悲劇であるセウォル号事故、MERS流行などを取り上げながら「残酷な人権じゅうりん惨事」と非難する形だった。
当時の北朝鮮の無分別な攻勢は国連が2013年から北朝鮮人権調査委員会(COI)を設立し本格的な北朝鮮の人権実態調査に着手した時期とも重なる。COIは翌2014年2月に最終報告書を通じて北朝鮮国内の人権じゅうりんを「反人道犯罪」と規定しながら「北朝鮮当局により組織的で広範囲で深刻な人権侵害が強行された」と指摘した。
これに対し北朝鮮は同年9月に朝鮮人権協会報告書を出し、「(北朝鮮の)人権状況に対し歪曲された見解が流布されている」として反論に出た。人権への指摘を体制に対する脅威と受け止める北朝鮮が内部動揺を防ぐために必死な逆攻勢に出たのだ。
今回北朝鮮が人権凍土帯を発刊して精製されていない主張を吐き出すのも最近の国際社会の人権圧力をそれだけ痛く受け止めたためという指摘が出ている。
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