1945年以降世界で最も重要な機軸通貨は米国のドルだ。米ドルが長く基軸通貨という事実は経済学の「ナッシュ均衡」の概念にとてもよく合致する。世界のすべての国が米ドルで貿易をしている時に自分だけ他国の通貨で貿易をするといえばおそらく取引する相手を見つけるのが難しいだろう。そのため一度すべての国がドルを基軸通貨として貿易を始めれば特別なことがない限りだれも米ドル以外の通貨で貿易をしなくなるが、これが経済学のナッシュ均衡だ。経済学でのナッシュ均衡は一度均衡点に達すれば外部からとても大きな衝撃が作用しない限りその均衡状況が維持されるというのが特徴であるためだ。
それならどのようにして米ドルは世界の基軸通貨になったのか。第2次世界大戦が終わった1945年に欧州とアジアが戦争で廃虚になった状態で、依然として活発な生産活動が可能な米国は世界経済で圧倒的な位置を占めた。当時各国が貿易をする上で自身が商品を輸出して受け取る通貨として唯一の経済大国である米国のドル以外を望まなかったため米ドルは世界が使う基軸通貨になった。そして80年近く時間が流れたいまでも世界は依然として米ドルを基軸通貨にする経済的均衡を維持している。だが米国経済の地位は80年前とはずいぶん違う。
◇米ドルの価値維持のためにG7首脳会談できる
事実基軸通貨国の地位を維持するということは普通の難しさではない。何よりも模範的な基軸通貨になるためには財政赤字があってはならない。万一、米国政府が多額の借金をしているならば世界の市民がそれほど借金が多い国が発行した通貨を信じて使えるのか疑うだろう。国が負債を返せず不渡りを出せばその国の通貨は紙切れになるためだ。また、基軸通貨国は世界で最も良い商品を生産しなければならない。もし米国の商品が他の国に比べ劣るならば他の国は米国の商品を買わないだろうし、さらには米国人も米国製品を買わなくなるため他国の製品を買うことになるだろう。すると米国は輸出より輸入が多くなり貿易赤字が増え、結局米ドルの価値が下落する。したがって米国が模範的な基軸通貨国になろうとすれば米国の工場が世界一の製品を生産し続けなければならず、米国政府は倹約しながら暮らして財政赤字を避けなければならない。
1945年から始まり約20年間は米国がこうした模範的な基軸通貨国だった。むしろ当時米国と各国は、米国のすべての製品が圧倒的に品質が高く、米国人が輸入する必要がなかったため世界で米ドルが広がらない可能性を多く心配した。いずれにせよ欧州やアジアが米ドルを利用して取引するためには英国、フランス、日本などが米ドルをある程度持っていなければならないためだ。そこで第2次世界大戦後に米国はこうした国々に米ドルを借款として貸し付けたり、そうでなければそのまま援助したりした。それで欧州とアジアの国は米国からもらったり借りたりしたドルを利用して貿易ができた。米ドルを中心とする世界貿易のナッシュ均衡がこのように模範的に運営されるケースを経済学では安定的ナッシュ均衡という。外部の衝撃にも揺らがず維持されるナッシュ均衡という意味だ。
だがこうした状況は1970年ごろに重大な変化を迎えることになる。米国経済がこれ以上模範的ではなくなったためだ。まず米国はベトナム戦争を始めて戦争に必要な財源を調達するために多くの借金をすることになる。そして日本とドイツなどの国を筆頭にいつのまにか米国製品より安く良い品質の製品を作る国が現れることになったのだ。基軸通貨としてのドルの地位が揺らぎ始めたのだ。米ドルがナッシュ均衡ではあるが外部の衝撃に弱い不安定なナッシュ均衡に変質したのだ。
この時、米財務長官が欧州と日本の財務担当者にした有名な話がある。「ドルはわれわれ米国の通貨だがあなたたちの問題です」。
すなわち米ドルの価値が下落すれば損をするのは米国よりも欧州や日本のような他の国であるので、欧州と日本が米ドルの価値を高めろという話だ。居直りのような発言だが間違った話ではないということが問題だった。突然米ドルに対する信頼が下落すれば欧州と日本が持っている米ドルの価値が下落し各国は大きな損害をこうむることになる。さらに大きな問題はドルでなければどこの国の通貨で貿易するのかはっきりしなくなるためだ。
米ドルの地位揺れ「不安定なナッシュ均衡」になれば韓国に直撃弾(2)
それならどのようにして米ドルは世界の基軸通貨になったのか。第2次世界大戦が終わった1945年に欧州とアジアが戦争で廃虚になった状態で、依然として活発な生産活動が可能な米国は世界経済で圧倒的な位置を占めた。当時各国が貿易をする上で自身が商品を輸出して受け取る通貨として唯一の経済大国である米国のドル以外を望まなかったため米ドルは世界が使う基軸通貨になった。そして80年近く時間が流れたいまでも世界は依然として米ドルを基軸通貨にする経済的均衡を維持している。だが米国経済の地位は80年前とはずいぶん違う。
◇米ドルの価値維持のためにG7首脳会談できる
事実基軸通貨国の地位を維持するということは普通の難しさではない。何よりも模範的な基軸通貨になるためには財政赤字があってはならない。万一、米国政府が多額の借金をしているならば世界の市民がそれほど借金が多い国が発行した通貨を信じて使えるのか疑うだろう。国が負債を返せず不渡りを出せばその国の通貨は紙切れになるためだ。また、基軸通貨国は世界で最も良い商品を生産しなければならない。もし米国の商品が他の国に比べ劣るならば他の国は米国の商品を買わないだろうし、さらには米国人も米国製品を買わなくなるため他国の製品を買うことになるだろう。すると米国は輸出より輸入が多くなり貿易赤字が増え、結局米ドルの価値が下落する。したがって米国が模範的な基軸通貨国になろうとすれば米国の工場が世界一の製品を生産し続けなければならず、米国政府は倹約しながら暮らして財政赤字を避けなければならない。
1945年から始まり約20年間は米国がこうした模範的な基軸通貨国だった。むしろ当時米国と各国は、米国のすべての製品が圧倒的に品質が高く、米国人が輸入する必要がなかったため世界で米ドルが広がらない可能性を多く心配した。いずれにせよ欧州やアジアが米ドルを利用して取引するためには英国、フランス、日本などが米ドルをある程度持っていなければならないためだ。そこで第2次世界大戦後に米国はこうした国々に米ドルを借款として貸し付けたり、そうでなければそのまま援助したりした。それで欧州とアジアの国は米国からもらったり借りたりしたドルを利用して貿易ができた。米ドルを中心とする世界貿易のナッシュ均衡がこのように模範的に運営されるケースを経済学では安定的ナッシュ均衡という。外部の衝撃にも揺らがず維持されるナッシュ均衡という意味だ。
だがこうした状況は1970年ごろに重大な変化を迎えることになる。米国経済がこれ以上模範的ではなくなったためだ。まず米国はベトナム戦争を始めて戦争に必要な財源を調達するために多くの借金をすることになる。そして日本とドイツなどの国を筆頭にいつのまにか米国製品より安く良い品質の製品を作る国が現れることになったのだ。基軸通貨としてのドルの地位が揺らぎ始めたのだ。米ドルがナッシュ均衡ではあるが外部の衝撃に弱い不安定なナッシュ均衡に変質したのだ。
この時、米財務長官が欧州と日本の財務担当者にした有名な話がある。「ドルはわれわれ米国の通貨だがあなたたちの問題です」。
すなわち米ドルの価値が下落すれば損をするのは米国よりも欧州や日本のような他の国であるので、欧州と日本が米ドルの価値を高めろという話だ。居直りのような発言だが間違った話ではないということが問題だった。突然米ドルに対する信頼が下落すれば欧州と日本が持っている米ドルの価値が下落し各国は大きな損害をこうむることになる。さらに大きな問題はドルでなければどこの国の通貨で貿易するのかはっきりしなくなるためだ。
米ドルの地位揺れ「不安定なナッシュ均衡」になれば韓国に直撃弾(2)
この記事を読んで…