事故にあって姿を消した有名Ｆ１レーサーの単独インタビューだとして広報した記事が、実は人工知能（ＡＩ）のチャットボットで作った偽ニュースだった。Ｋ－ＰＯＰスターの顔を「ディープフェイク」技術で合成した不法映像物が量産されて物議をかもす時代だ。特定人物をまんまと真似するＡＩ技術が発達し、一人の存在を捏造することも可能な世の中だ。

このような未来を恐ろしく描いた映画としてＮｅｔｆｌｉｘ（ネットフリックス）のオリジナルＳＦ『ＪＵＮＧ＿Ｅ／ジョンイ』がある。軍需会社クロノイド研究所は植物人間になった伝説の傭兵「ユン・ジョンイ」の脳を複製し、ＡＩ戦闘傭兵を作ろうとするが、開発が不振するとセックスドールなど商業的用途に目を向ける。実験室に横たわっている当事者は抗議することもできない。

ＡＩ技術は言うまでもなく、特定人の映像を制作スタッフが無断編集した結果物が物議をかもした事例はすでに少なくない。当事者が立場を明らかにできない状況では解釈の余地が分かれる可能性があり、さらに慎重を期すべきだ。


最近、ネットフリックスが４年前に故人になったＫ－ＰＯＰ歌手兼女優ソルリの遺作『ペルソナ：ソルリ』の予告編を公開して論議を呼んでいる。ソルリ主演の短編をまとめようとした当初の企画中に撮影を終えた一部とインタビューを編集し、来月公開するという予告の映像がネットフリックスのブラジル公式アカウントを通じて突然発表されるや、悪質なコメントに苦しめられていた故人を商業的に利用しているという批判が殺到した。現在、ネットフリックス側は該当映像を削除した。

スターを描く追悼映像は作れる。問題は、ネットフリックス側の対応だ。該当予告編の公開経緯自体も明らかにできないとし、すべてを原点から議論中だという立場だけを明らかにしている。予告編の中の故人の発言はすでに広がり、様々な推測を生んだ後だ。約１９０カ国の同時配給力を持つグローバルＯＴＴにふさわしい責任感が見えない。

ナ・ウォンジョン／文化部記者